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事案発生、罪状は殺人と誘拐

2/26) アスラのスキルポイントを6ptに修正

スズネの()内パラメータ修正

「俺のスズに触れるな」


 一息で部屋に侵入し、領主に向かって剣を振り上げた俺は、自分でも吃驚するくらいに冷たい声音を響かせながら、淀み無い動作で剣を振り下ろす。 剣は大した抵抗も無く、肩から腹にかけて斜めに切裂き、あまりにもあっけなく領主の命の火を摘み取る。俺の初めては拍子抜けするほどにあっけないものであった。

 崩れ落ちようとする領主の身体を支えて、床の上に寝かせ、念のため首を切断しておく。ファンタジーだから蘇生とかできるかもしれんしね。死んだと思った敵に復讐とか絶対にされたくはない。


 それにしてもやっちまったなぁ、もうちょい情報欲しかったのに勢いで殺しちゃうとか、我ながら独占欲強すぎだろ。まぁ情報の吐かせ方もわからんし、結局はこれで良かったのかもな。


 この時、俺を突き動かしていたのは、正義感や良心といった大層なものではなく、ただの独占欲でしかない。今まで俺は、自分が理性的な人間であると思っていたのだが、結局のところ他人と深く関わっていなかったことで、感情的になる機会が無かっただけなのだと気づかされた。


 肉を切裂く感覚は、魔物で慣れていたためなんとも思わなかったが、思わぬ自分の感情的な行動には正直がっかりしている。これでは、おもちゃを取られて反射的に手を伸ばす赤ん坊とたいして変わらない。今後はもっと理性的な行動を心掛けねばな。


 領主を殺したことについては問題は無い。相手は自分の大切な人を弄ぼうとした人間だ、貴族な上に街の人からの信頼も厚く、敵に回して勝てる相手ではない。話せばわかるなんて奇跡に頼るわけにもいかない、懸かっているのは俺の命だけではないのだ。

 殺人を犯してしまったことへの罪悪感は無いとは言えないが、命を奪ってしまって申し訳ないといった気持ちは不思議と湧いてこない。これで相手が何の関係も無い人間とかなら話は別かもしれないが、自分の敵にまで同情出来るほどお人好しではない。

 自分は元来、命自体に価値を見出せないのかもしれない。幼い頃にアリやバッタなど虫の命を弄び遊んだことや、学生になり、テレビのニュースで遠くの国で多くの人が亡くなったという話を聞いてもなんとも思わない自分、大人になって一人暮らしをするようになり、頂きますもご馳走様も言わなくなったことなど様々な事が思い起こされた。

 思い出せば一つ一つは些細なこととはいえ、自分が命の大切さなど感じていなかったのが分かる。そう考えると、こんな俺でも、スズに対して感情的になれたのはとても喜ばしいことなのかもしれない。俺にも大切だと思える命があるということなのだから。


「領主様、いかがなされましたか!?」


 俺が余計な思索に耽っていると、異変を感じた護衛兵が扉を開けて隣の部屋に入って来るのを感じた。すぐにこの部屋に入って来るだろう。


 俺は迎撃の準備として、念のためナオちゃんを天井に張り付かせ、二手に分かれてから扉の影に隠れた。


「!? 領主様!」

 

 護衛兵はすぐさま、倒れた領主を見つけて、部屋に駆けこんでくる。俺は扉の影から飛び出し、剣を振り下ろすが、寸でのところで躱され、脇腹を浅く切り裂いたに止まった。


「くっ、貴様何者だ!? ……なんだLv23の雑魚か。おしかったな、今のが最初で最後のムグゥッ!」


 人物鑑定で俺のレベルを見たのか、格下と油断した護衛兵は調子に乗って喋りだす。護衛兵は最後まで台詞を言う前に、天井から落ちきたナオちゃんに顔を覆われ慌てだした。


 敵は一応格上だ、俺はこのチャンスを逃さずに護衛兵が動かなくなるまで、剣を何度も突き刺した。


 ふぅ、これで暫くは大丈夫だな。そういやモラルとかどうなってんだろなこれ?


----------------

名前:アスラ

種族:異世界人

モラル:216 ↓57dowm

レベル:24(レベルアップ待機中)

筋力:38 (222)

耐久:39 (228)

敏捷:45 (263)

器用:56 (328)

精神:35 (205)

魔力:27 (158)

通常スキル:体術Lv4 小剣術Lv4 投擲術Lv3 射撃術Lv1 隠密Lv6 気配察知Lv3 異次元収納Lv2 生活魔法Lv2 錬金術Lv3 闇魔法Lv3 風魔法Lv4 詠唱省略Lv4 精神異常耐性Lv2 肉体異常耐性Lv2

固有スキル:エアマスター

ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定

スキルポイント:6pt

眷属:ナオ (1/1)

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 相手が人でもレベル上がんのかよ……しかもモラル60くらいしか下がってないな。メリットがある上にリスクが低いとか、モラルも抑止力としてあんまり期待できないな。


 とりあえず、この場をなんとかしないとならないだろう。俺はナオちゃんにお願いして、領主と護衛の遺体をスキルで収納してもらい、床や壁に飛び散った血を綺麗に吸収してもらう。


 ナオちゃんが頑張っている間に、気になったことを確認しておく。


 まずは部屋に漂う異臭に関してだ、周囲を見回すと部屋の一角に椅子に座ったスズと同年代くらいの子供の姿を見つけた。この子はどれだけの時間、この部屋で過ごしたんだろう? 俺がもう少し早く気づいていればと思うのは傲慢なのだろうな。例え気づいていたとしても、助けに来たかは分からないし、ここから連れ出して供養してあげることもできない。今の俺には余計な重荷を背負う余裕はない。


 次に気絶しているスズの鑑定結果を見てほしい。


----------------

名前:スズネ・カミシロ

種族:混血種(鬼人/普人)

モラル:0

レベル:1

筋力:34 (51)

耐久:35 (53)

敏捷:43 (65)

器用:28 (42)

精神:18 (27)

魔力: 6 ( 9)

通常スキル:なし

固有スキル:忍の心得Lv1

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:2pt

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 どこから突っ込んでいいのやら……まずは名前がスズネで、姓まで付いている。厄介ごとの匂いしかしない。次に基礎パラメータがけっこう高い、これは種族のせいか?


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種族:混血種(鬼人/普人)

基礎寿命上限:70

基礎パラメータ上限:筋力(120) 耐久(120) 敏捷(140) 器用(100) 精神(90) 魔力(90)

説明:鬼人族と普人族から生まれた混血種。混血種の特徴として基礎パラメータが高い代わりに、成長が遅く、成長には多量の栄養を要する。また、繁殖力が低く、滅多に子供ができることは無い。

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 基礎パラメータが他の種族より、合計で1割くらい高い代わりに多量の栄養が要るのか、スズが大食いの割に成長しないのはこの所為だな。繁殖力のところは見なかったことにしておこう。ノータッチの誓いは忘れちゃダメ絶対だ。


 固有スキルに【忍の心得】って、忍者なんて居るの? そういや刀術スキルとかあったから、居てもおかしくは無いのか。鬼人族に居そうだよなぁ、そのうち会いに行くのもいいかもしれない。【忍の心得】は体術、小剣術、二刀流、投擲術、隠密、気配察知のセットスキルのようだ、俺のスキル構成と被ってるけどなんかこれチート臭いぞ。ちなみに二刀流は、二刀流+片手武器のスキルが必要なため俺は取得していない、適性が無いのかスキルポイント多くかかるみたいだしね。


 最後に俺の加護が付いてるんだが、いつ付いたんだこれ? ナオちゃんの時のことを考えると精……いや飲ませてないよ流石に犯罪だろうが! そうするとあれか、ブロンズランク試験前のキスが原因かな? 体液ならなんでもいいってことかもしれないな。もしかしたらキスのほうが本来の付与方法なのかもね……最初にあっちで付与した俺は、とんだ変態ってことだろうな。

 それに加護が付いてるってことは、たしか記憶保持が付くから、これで記憶が蘇ったのかもしれないな。なんか今回の騒動、これの所為な気もしてきた。


 ナオちゃんの証拠隠滅作業が完了したため、ナオちゃんを服の下に戻す。冬も近く夜は冷えるため、外に出ていたスライムボディは冷え切っていたが、慣れないことに興奮して火照った体にはむしろ気持ちいい。

 ナオちゃんを背中に貼り付け緩衝材にしつつ、スズの身体を慎重に背負う。スズの身体は、羽根のように軽く綿毛のように柔らかい、多少の誇張はあるが大袈裟すぎるというほどではない。前の世界と違ってパラメータに差があるのだから、下手に触ると本当に壊してしまいかねない。

 

 自分の周囲にいつもの隠密魔法セットを掛けると、スズを傷つけないよう気を付けながら窓の外に躍り出る。足場になる場所を探しつつ、3階から庭に下り立つが、周囲に気づかれた様子はない。その後、誰にも見つからないように塀を乗り越え、街の北側に向かった。


 夜の街を走り抜け、街の北門に着くと、衛兵の様子を確認する。衛兵は2人いたが、鑑定したところ2人とも大した実力は無さそうだ。


 ある程度まで近づいて、闇魔法の【スリープクラウド】を使用して眠らせる。相手の精神パラメータが高い場合、抵抗される可能性が高いが。俺の魔力のほうが大きく上回っていたため、2人とも眠らせることが出来た。


 他に人が居ないことを確認してから、北門から街を出ると、暫く街道を北に進む。ここまではアリバイ工作の内だ、スズを抱えたまま追手を掛けられたら、逃げられる気がしない。街に侵入するときは気づかれずに、街から出る時は北門から出たように見せかければ、街の中に居た人間が北に逃げたように思わせることができるだろう。

 ある程度、北に進んだ後、足跡を残さないよう気を付けながら東に進む。東側にある森を突っ切って、街の東の街道が見えるところまで進んでから、やっとこ一息つくことが出来た。


 もうしばらく東に進んだら、一休みするとしようか。スズ、それまで耐えてくれよ。



 その夜俺は、背中に感じる身体の軽さに反して、何よりも重い命を両肩に感じながら、東に向かって歩き続けた。


 

お読みいただきありがとうございました。

これで1章が無事終了です。

ここまで書けたのは、お読みいただいた皆様、ブクマ・評価・感想をくださった皆様のおかげです。

自分の書いたものに、何らかの反応を頂けたことで、また書こうという原動力になりました。


これまでの話を読み返してみて、後書きが我ながらくどいなぁと思いましたので、感謝の言葉は今話までとし、今後は節目のみとさせていただきます。

拙い作品ではありますが、今後も読んでいただけると幸いです。

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