転生から2年半、ソロ活動はどこまで続く?
前話から1年9ヶ月が経過しています。時間経過が多くて申し訳ありません。
ここから数話は連続した話になります。
ちなみにこれまでの時間の推移は下記の通りです。
3話(転生時):1年目の5月
10話(眷属登場時):1年目の8月
15話(肉男爵発覚):1年目の11月
17話(チョコ錬成):2年目の2月
18話(今回の話):3年目の11月
「アスラお兄さん、私、アイアンランクになりました! 約束通り、チョコ作ってくださいよー」
クレアがそう言いながら、ノックも無く俺の部屋に入って来る。ここは孤児院の一室で、今では俺の部屋になっているのだ。
前住んでいた宿からは、1ヶ月ほど前に寝ぼけて壁に穴を空けてしまったせいで、既に追い出されていた。孤児院には院長先生用に頑丈な部屋が数部屋あるとのことで、その中の一室を間借りしているのだった。
俺が転生してから既に2年半が経ち、レベルもだいぶ上がったことで筋力もかなり上昇している。起きている状態なら、器用が高いためか力加減をできるのだが、寝ているときや精神が昂っている時はそうもいかない。
孤児院でも充分注意して生活を送っている。精神異常耐性のレベルを上げて精神の昂りを抑えたり、夜寝るときは部屋に鍵をかけ、スズが寝床に忍び込むのを防いだりと、いろいろ大変なのだ。
「ちょっとお兄さん、聞いてます?」
「アスラは今、醤油作りに忙しい……クレアちゃんは後にして」
俺の膝の上に座ったスズが代わりに答える。転生前の身長が170cmも無かった俺だが、転生時に大きくしてもらったのに加えて、ここでの適度な運動が功を奏したのか190cm近く成長している。元々胴長気味な俺の懐に、低身長のスズは納まりが良いのか、胡坐をかいて作業を始めると膝の上に座ってくるのだ。
「もうすぐ終わるから、ちょっと待っててくれ」
そう言って俺は、醤油作りの仕上げに入る、といっても大豆と麦、塩、蒸留水を混ぜて【錬成】を使うだけである。錬金術ってほんと便利、ちなみに蒸留水を抜けば、味噌も作ることができた。味噌と醤油はスズ以外の子達には不評だが、記憶喪失のスズが「懐かしい味」と言っていたため、この世界にも同じような調味料があるのかもしれない。ともあれ、味噌と醤油は、俺とスズにとって必須の調味料のため、こうして定期的に作成しているのだ。
「よし、できた。それでクレアなんだって?」
「だーかーら、アイアンランクになったのよ!」
「おぉ、早かったな、おめでとう。それで約束の件か」
クレアはこの2年で14歳となり、見事に成長している。出るとこは出て引っ込むとこは引っ込み、女性らしい身体つきに変わってきており、孤児院の男の子達からの人気も高い。
どうやら、孤児院の年長組でパーティを組んで、冒険者として活動しているらしく、レベルのほうも順調に上がってきているようだった。
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名前:クレア
種族:普人族
モラル:19 ↑17up
レベル:11 ↑9up
筋力:30 (49) ↑9up
耐久:31 (50) ↑9up
敏捷:36 (59) ↑12up
器用:34 (55) ↑7up
精神:17 (28) ↑5up
魔力:16 (26) ↑10up
通常スキル:解体Lv3 小剣術Lv3 生活魔法Lv2 水魔法Lv2
固有スキル:天才
ギフトスキル:小剣の才
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鑑定結果を見ても分かるように、この年頃の少女は成長が早い。そのうち「お兄さんの服とは一緒に洗濯しないで!」とか言われるようになるのだろうか……? そう思うと気が重くなる。
打って変わってスズは、背が少し伸びた程度で、ほとんど見た目は成長していなし、レベルも1になっておらず鑑定できない。大人になってもこのままで、結婚の約束を持ち出されたら、俺は変態の烙印を押されることになるだろう。
「たしかチョコを作る約束だったか、スズ手伝ってくれ」
「わかった……まかせて」
スズが立ち上がり、棚から材料を取ってきてくれ、膝の上に座りなおした。スズの頭を撫でてあげつつ、チョコを作り始めると、クレアが軽く引いている。
「あなたたち、相変わらず仲良いわねぇ。目に毒だわ……」
「ふふん、アスラは私の嫁」
「それを言うなら旦那だし、大人になってからだからな」
スズが自慢げに答えるが、一応釘を刺しておく。元の世界の同志達よ、俺はまだノータッチの誓いをギリギリ守れているよ。
ちなみにクレアともそれなりに仲は良いが、去年の2月にチョコを作って以来、何かある毎に作ってほしいと頼まれるようになった。今は11月だから、来月になったらケーキでも作ってあげようかなと練習を始めてたりもする。やっぱり喜んで貰えるのはうれしいからね。
「よし、チョコできたぞ。持ってきな」
「ありがとーお兄さん。それとマーサさんが呼んでたよー」
「マーサさんが? 了解、この後ギルドに行ってみるよ」
スズたちと別れて、冒険者ギルドに向かう。ギルドに着くと、早速マーサさんの受付に向かった。
「クレアから聞いて来たんですが、何か御用ですか?」
「よく来たねアスラ。あんたにランクアップ試験の話が来てるよ」
どうやら、ブロンズランクへの試験を受けることができるらしい。俺もだいぶ強くなってきたことだし、試験もなんとかなりそうだな。ちなみに今のステータスがこんな感じだ。
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名前:アスラ
種族:異世界人
モラル:273 ↑19up
レベル:23 ↑9up
筋力:38 (222) ↑4up
耐久:39 (228) ↑4up
敏捷:45 (263) ↑5up
器用:56 (328) ↑2up
精神:35 (205) ↑2up
魔力:27 (158) ↑6up
通常スキル:体術Lv4(1up) 小剣術Lv4(1up) 投擲術Lv3(1up) 射撃術Lv1 隠密Lv6(1up) 気配察知Lv3 異次元収納Lv2 生活魔法Lv2 錬金術Lv3 闇魔法Lv3 風魔法Lv4(1up) 詠唱省略Lv4 精神異常耐性Lv2(1up) 肉体異常耐性Lv2(new)
固有スキル:エアマスター
ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定
スキルポイント:0pt
眷属:ナオ (1/1)
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全体的にスキルアップさせ、猛毒・麻痺・暗闇・病気・石化への耐性のセットスキルである肉体異常耐性も得ている。習得方法はやはり思い出したくはない、トルテさんの怪しいお薬はもう飲みたくはないな。また、風魔法Lv4はかなり有用な魔法だった。
・風魔法Lv4『エンチャントウィンド』:武器に風の力を付与する
・風魔法Lv4『サイレンス』:対象が発する音を消す
エンチャントウィンドはいわゆる魔法剣で、スティールソードには負担が大きいため普段使いはしてないが、武器の切れ味がすごいことになる。サイレンスは、通常は相手にかけて魔法を封じるために使うのだが、自分の音を消すこともでき、隠密性を格段に上げることができた。
隠密は固有スキルの補正が無しでもLv5になっている。Lv5にするのにスキルポイントを16ptも使用している。一般的にLv5がスキルレベルの上限と言われているが、任意にスキルポイントを振れる俺にはLv6を32ptで覚えられるのが見えていた。32ptといったらレベル16分のスキルポイントだから、普通の人は貯まる前に他のスキルに使ってしまうのだろう。
ともあれ補正有りでLv6の隠密はチートと言ってもいいだろうから、油断しなければブロンズランクの依頼でも無事にこなすことができるだろう。
「ランクアップですか、ちなみにブロンズランクになる利点と欠点を教えてもらえます?」
「そういや、話してなかったね。こいつを読んでおくれ」
マーサさんが渡してくれた紙には、ブロンズランクについて記載されており、概要は次の通りだ。
・冒険者カードが発行され、大陸共通の身分証となる。
・冒険者カードで討伐履歴を見ることができるため、討伐部位が不要になる。
・報酬から引かれている税率が低くなる。
・指名依頼を受けることができるようになる。
・めったにないが、強制依頼を受ける必要がある。
ブロンズランクから便利なファンタジーアイテム、冒険者カードが手に入るらしい。高価なものだから失くすと金貨1枚の罰金が取られるとのことだ。たしかにこんな高いのを低ランクの冒険者には渡せないな……。
あとは、アイアンでは報酬から、税金と手数料で4割引かれていたのが3割に変わるそうだ。残りの指名依頼は無視でいいけど、強制依頼は面倒だな。
「この強制依頼って断ったらどうなりますか?」
「断ると、断った街のギルドで依頼を受けれなくなるね。まぁ他の街に行くなら断っても問題は無いよ」
なるほどね、いざというときのために他の街にも行けるようにしとくか、冒険者カードがあれば他の街にも入れるだろうしな。これはさっさとブロンズランクになっておこう。
「分かりました、試験受けますが、どうすればいいです?」
「ならまずは、この手紙を持って西側のギルドに向かっておくれ」
マーサさんに場所を教えてもってから、手紙を持って西側のギルドに向かうことにする。聞いた話では、西側のギルドは高ランクの人間が多いらしい。以前、訓練所で会ったギルドマスターのおっさんもいるだろうし、面倒事に巻き込まれないといいんだがな。
こんな事考えてフラグ立っても嫌だし、さっさとギルドに向かうとするか。願う事なら、何事も無く済みますように。
お読みいただきありがとうございました。
時間経過が多いとステータス表示が多くなってしまいますね、今後は最低限になるよう調整したいとは思います。調整しても普通よりは多いと思いますが・・・。




