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どの世界でも女というのは強かなものだ

 俺が異世界に転生してからそろそろ半年近くになる、この大陸にも季節があるらしく、もうすぐ冬になるとのことだった。ということは転生直後は初夏だったのだろうが、多少の気温の変化は感じる程度で、日本ほどにはっきり判る変化は無い。この辺では冬でも、少し寒くはなるが雪が降るほどでは無いそうだ。


 ここ2ヵ月ちょっとの事を思い出すと、マリーさんに連れられて孤児院に行って以降、毎日充実した生活を送っている。最近では毎日のように孤児院に通っており、今では夕食だけでなく、朝食も孤児院でご馳走になっているくらいだ。もちろん孤児院側に負担が無いよう食材は自前だ。


 最近の1日のスケジュールはだいたい次のような感じだ。


1の鐘(朝5時):宿屋で起床

2の鐘(7時半):孤児院で朝食

3の鐘(10時):マリーさんと狩に出る

5の鐘(15時):孤児院に戻り獲物解体

6の鐘(17時半):孤児院で夕食

7の鐘(20時):宿屋に戻る


 毎日のように孤児院に行っているせいで、子供達とも慣れたと思う。特にクレアとスズとは気安い間柄と言ってもいいだろう。もう孤児院に住んじゃってもいいんじゃねってくらいの現状だが、宿住まいは続けていた。

 ナオちゃんと戯れる都合上、個室は必要なものだ。これも俺が紳士で居続けるためには必要な日課である。最近張り切って狩に精を出しているせいか、パラメータも順調に上がり、そのせいか身体もいろいろと元気で困ったものなのだ。ちなみに、今のステータスは次の通りだ。


----------------

名前:アスラ

種族:異世界人

モラル:251 ↑3up

レベル:12 ↑2up

筋力:32 (109) ↑3up

耐久:33 (113) ↑5up

敏捷:37 (127) ↑6up

器用:53 (181) ↑1up

精神:32 (109)

魔力:18 ( 62) ↑5up

通常スキル:体術Lv3 小剣術Lv3 投擲術Lv2 射撃術Lv1 隠密Lv4(1up) 気配察知Lv3(1up) 異次元収納Lv2 生活魔法Lv2 錬金術Lv2 闇魔法Lv3(1up) 風魔法Lv3(1up) 詠唱省略Lv4

固有スキル:エアマスター

ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定

スキルポイント:2pt

眷属:ナオ (1/1)

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 基礎パラメータは順調に伸びているが、筋力や耐久はやっとこ一般男性に届いた程度だ。まだまだ鍛えないとな。なお新しく覚えた闇魔法と、風魔法は次の通りだ。


・闇魔法Lv3『ポイズンミスト』:毒の霧を発生させ、対象に毒Lv2を付与

・闇魔法Lv3『ハイド』:対象に闇の衣を被せ、闇に紛れる

・風魔法Lv3『ウィンドシールド』:風の盾で敵の攻撃を逸らす

・風魔法Lv3『ウィスパー』:音を遠くに届けたり、遠くの音を聞く


 ポイズンミストは正直微妙だ、毒Lv2がほっといても回復しないがさほど強力な毒ではなく、即効性が無いからだ。ウィンドシールドは思いのほか防御範囲が広い、1面しか守れないが人ひとりくらいはカバーできるためそれなりに使える。後はハイドで闇に紛れて、ウィスパーで盗み聞きができるというストーカー仕様……悪用してはいけないな。


 ちなみにナオちゃんも日々進化している。驚くべきことに異次元収納覚えてほしいなぁって思っていたら、意志を組み取ってくれたのか、翌朝覚えていたのだ。スキル神のトルテさんはどうやって教えたんだろうな……?


----------------

名前:ナオ

種族:スライム(アスラの眷属)

レベル:6 ↑3up

筋力:20 (38) ↑1up

耐久:64 (123) ↑1up

敏捷:17 (33) ↑1up

器用:13 (25) ↑4up

精神: 4 ( 8) ↑2up

魔力: 3 ( 6) ↑1up

通常スキル:異次元収納Lv3(new)

固有スキル:物理耐性Lv2

ギフトスキル:アスラの加護

スキルポイント:5pt

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 パラメータについては器用の伸びが特にいい。どうしてなのかは具体的には言わないが、まぁナオちゃんのテクニックは毎晩磨かれているということだろう。


 ところで俺が今何をやっているかというと、広場で購入した串焼きを、スズに食べさせているところだ。マリーさんが今日はバザーに行くとのことで暇になったため、武器屋にでも行こうかと孤児院を出る際、クレアとスズが付いてきちゃったのだ。


 実は最近のマイブームがスズに餌付けすることだった。おかげで病的なまでに痩せていたスズの体型もだいぶマシになり、まだ幼いものの黒髪和風美少女の片鱗が見える。この子はわしが育てた!


「ねぇねぇ、お兄さん、いつんなったら武器屋に行くのさー?」

「ああ、すまん。こいつで最後だから、少し待ってくれ」


 クレアが武器屋に向かって歩き出したので、俺も残った串焼きの肉をスズの口に放り込んで、クレアの後を追う。スズもリスのように頬を膨らませ、口をもごもごさせながら付いてきた。


 武器屋に着いたら、まずは店の中を見て回り、値段と性能を鑑みて、小金貨8枚(約80万円)でスティールソードを買うことする。最近の魔獣狩りのおかげで、所持金は金貨5枚(約500万)を越えていたため余裕で買うことができた。


 武器を購入した後、店に陳列されているショートソードに見入っているクレアを見つけ、話しかける。


「ずいぶん熱心に見てるけど、クレアも武器を使うのかい?」

「うん! 今は解体用の鉈を使ってるんだけど、ショートソードもいいなーって」


 ショートソードくらいならそんな高くもないし、買ってあげてもいいんだけど、子供に高い物を買い与えるのも良くないだろうし、うーん、俺のお古でもいいのかな?


 店のおっちゃんに手持ちのショートソードの整備を頼む。


「あんちゃん、まともに手入れしてねーだろ。いい武器なのにもったいねぇじゃねーか」

「すみません、手入れの仕方が分からないもので。整備すればまだ使えますか?」

「おう、ちゃんと整備すりゃー充分使えるぜ。しょーがねーから、ついでに手入れの仕方も教えてやるよ」


 どうやら、まだ使えるようなので、銀貨1枚で整備を頼み、簡単な手入れ方法も教えてもらった。クレアはまだショートソードに見入っている。ちなみにスズはずっとクレアの後ろでぼーっと立っていた。


「クレア、スズ、もう行くぞ。俺が使ってたショートソードでよければあげるからさ」

「ほんとですか!? 大好きです、お兄さん!」


 クレアが喜びのあまり抱き着いてくる。まったく現金なものだな、でもこんなに喜んでくれるのを見ると、子供を甘やかしてしまうバカ親の気持ちも解ってしまう。微笑ましさに顔がにやけてしまうのを抑えられない。


 クレアと戯れていると、スズから射殺すかのような視線を感じる。虹彩が大きく紅いスズのジト目はとても威力が高い、端的に言って超怖い。俺はスズにこの目をされる逆らうことができない、正に蛇に睨まれたカエルの如くだ。


「すっ、スズも何か欲しいものがあれば、言ってごらん」

「それなら……いつも身に着けられるもの……ほしい」

 

 食べ物を欲しがるかと思ってたから結構意外だ。いつも身に着けられるものといったらアクセサリ類かな、アクセサリ店で高い物を買い与えるのも教育上良くないだろうしなぁ。そういやマリーさんもバザーに行ってるみたいだし、そこなら安く手に入るかもしれないな。


「そういや、バザーやってるんだったか、そこで探してみようか?」

「うん、はやくいく」

「じゃぁクレアが案内したげる、こっちだよー」

 

 クレアに付いてバザーに向かうと、いろいろな人が露店を並べていた。


 いくつかの店を回って、手ごろな装飾品が無いか探していると、一ついいものを見つけることができた。


---------------------------

名称:耐毒の指輪

スキル:猛毒耐性、麻痺耐性

説明:身に着けることで、猛毒や麻痺毒への耐性を得ることができる。

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 少しサイズの小さい指輪のためか銀貨5枚と意外に安い。子供に買い与えるのはちょっと高い気もするが、掘り出し物だし、今回だけにしておけば、まぁ問題無いだろう。それに紅い石のついた指輪は、スズの瞳の色にもあって似合うと思う。


「スズ、この指輪でいいかい?」

「(お兄さん、やっぱりスズちゃんのことが? シスターマリー狙いだとおもってたけど……)」


 耐毒の指輪を指して訊いてみると、顔を真っ赤に染めてうんうんと頷く。クレアは何やらぶつぶつ呟いている。どうやら問題無さそうなので指輪を購入するが、小さめの指輪とはいえ子供にはまだ小さく、親指にしか合わない。左手を取って親指に着けてあげると、スズは顔をぽーっとさせている。これ機嫌は直ってるんだよな?


 まぁ、取りあえずは無事に任務完了であろう。ほおけているスズの手を取ってクレアと共に孤児院に向かうと、途中でマリーさんを偶然見つけることができた。


 あれは、露店で野菜を買ってるのかな? 妙に距離感が近い気がするんだけど……気のせいだよね、お願いだから気のせいであってくれ。


「あれって……マリーさんだよな?」

「うん、今日は野菜男の日なの!」

「へっ、野菜男?」


 野菜男ってなんだ?って思ってクレアに訊くと、まずいことを言っちゃったって感じに、両手で口を押えて目を逸らす。スズのほうを向くと淡々と答えてくれた。


「野菜男はシスターマリーの獲物につけたあだ名……ちなみにあなたは肉男爵」



えーっと、肉男爵……? 何かこれは聞いてはいけない事な気がする。だめだ早く宿に帰って布団をかぶって寝よう! 今見たことも聞いたことも忘れるんだ。



お読みいただきありがとうございました。

マリーさんルートを期待されていた方には申し訳ありません。

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