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第一村人発見

下ネタちょっと多めかもしれません

 商都連合側の関所から帝国側の関所までは、目と鼻の先と言っていいほどの距離であった。

 歩いて2,3分ほどで辿り着き、さほど待つことなく俺達の番が来た。


「へー、あんたシルバーランクの冒険者なんだな。連れてるのは奴隷に女ばかりとは、いいご身分だねぇ」


「半分は仲間の冒険者ですよ。残りの皆も、そこらの冒険者には負けやしませんよ」


「ほんとかねぇ……まあいいか、入国するなら保証金として、1人当たり金貨1枚払ってもらおうか」


 たっかいなぁ、ぜったい正規の額じゃ無いだろそれ?

 チャラい兵士が提示した金額は、事前に図書塔で調べた相場の10倍近い値段だった。


「それは、なかなかの金額ですね」


「なに、これも仕方のない事なのだ。我が帝国は実力主義を掲げておってな、例え過去に何が有ろうと改心した者であれば受け入れておる。その為、時より領内で悪さを働く輩も出てしまうのだが、この保証金はその対処のために充てられるのだよ」


「なるほど、そうなのですか」


 改心した者達を受け入れるか、実にご立派だね。

 心を入れ替えさえすれば、過去に何をやってても良い風潮ってあるよね、特に少年漫画とかにさ。

 誰を何人殺そうが、例え星をいくつ吹き飛ばそうとも、被害者そっちのけで主人公が殴り合って解り合うっていうあれだ。

 程度の差こそあれ日本でも、若気の至りとかいって武勇伝を自慢する輩とかいるけど、あれってぜんぜん反省も改心もしてないよなって思うよ。


 まあ、この衛兵の場合は、大義名分に使ってるだけだと思うから、なお悪いけどな。


「もちろん、払わなくとも俺達にとっては一向に構わんぞ。ただし、その場合は身体検査で身の潔白を証明してもらう必要がある。なに、一晩もじっくり調べれば終わるからな、たった一晩で金貨1枚が浮くんだ、フヒヒ、安いもんだろ?」


 やっぱりな……後半、本心が漏れ出てるぞおい。

 ゲスい視線をうちの子達に向けるなよ、このクズ!


「……いえ、お手間を取らせるのも悪いですからね…………はい、金貨8枚です」


「チっ、確かに8人分の料金だな。通って良ーし」


 兵士に保証金を支払ってスズ達を先に行かせると、兵士の手がノルンに伸びるのが見え、俺はとっさにそれを左手で受け止める。


「なんだこの手は!」


「なに、貴方が怪我をしないようお止めしたまでです。あのままでは、貴方の手首が飛んでましたので」


「なっ、何を言っている? 誰がそんな事をするというのだ」


「そんなの決まってるじゃないですか、私ですよ、わ・た・し」


 そう微笑みながら耳打ちをし、徐々に手に力を込めて兵士の手首を強く締めていく。

 人が下手に出ると、調子に乗る馬鹿は何処にでも湧いて出てくるようだ。

 そういう輩には多少の脅しは必要だろう。


「おっ、お前、自分が何を言っているのか分かっているのか?」


「勿論です。むしろ、分かっていないのは貴方のほうですね。長年冒険者をやってますと権力者の知り合いの1人や2人は居るものですよ。シルバーランクの冒険者が、たかが兵士の1人や2人どうにか出来ないとでも思っているのですか?」


「あっ、えっ、うそ……だろ?」


 まあ、俺には居ないけどね気軽に頼れる権力者なんて。まあ、一般的なシルバーランクならそのくらい居てもおかしくはないはずだ。


「嘘だとお思いでしたら、大声で騒いだらいかがですか? 私は構いませんよ、少々手間ですが知り合いに頼めば、私は釈放、貴女とその家族は何処とも知れぬ土の中です」


「ひっ、ひぎぃ!?」


「おっと、騒いでは大事になってしまいますよ。私も鬼では有りません、貴女がちょっとの利益で満足している内は何もしませんよ。この場での事はお互い忘れて、笑顔で別れましょうか」


 兵士がコクコク頷くのを確認してから、おれは解放してやる。

 まっ、このまま騒がれたら、最悪は逃げりゃーいいや。

 このまま南沿いに隠密で進んで、コテツ達と獣国に向かっても良いし。



 幸い兵士は、虚ろな笑顔で手を振ってこちらを見送ってくれて事なきを得たので、そのまま街道をゆく。


「今回は随分と無茶をされましたね」


「国の顔たる国境の兵士があんなんだからな、この国ではああいう輩が多そうだろ。また会った時の為の、予行演習のようなものだよ。それにノルン、お前も俺の妻になるんだ、他の男に触らせるわけが無いだろ」


「ふふふ、お尻くらい構いませんのに。ですが、その気持ちは嬉しく思います」


「俺が構うんだよ。それにな、ああいう輩は一つ許すとどこまでも付けあがる。本当は俺も、もっと厳しく行くべきだったんだ」


 本当は保証金すら断っても良かったんだ。

 それをほいほい受け入れるから、相手が調子に乗る。

 自分が譲れば、相手も譲ってくれるだろうというのは、やはり日本でしか通じない価値観だ。

 自分が1歩譲れば、相手は1歩攻めて来るし、相手がDQNなら2歩、3歩と攻めてくるだろう。


 今回は俺が1歩譲って、あのDQN兵士が2歩、3歩と攻めてきたのを、それ以上は譲らずに頭突きで脳天をカチ割った態だ。

 次回からは最初の1歩を譲らないのが理想だな。


「そうでしたね、この身は貴方に捧げたもの。今後は少しとして粗末には致しません」


「ああそうしてくれ、俺はこう見えて独占欲が強いんだ。お前たちを侍らせてる俺が言える事じゃないんだろうけどさ……。その代わりと言っちゃなんだが、お前たちを守るためなら俺は、無茶な事もいくらだってするよ」


「ありがとうございます。ですが一つ訂正しておきますと、私達にも独占欲はあります。もし、私達以外に手を出す場合は御覚悟くださいね、ねぇスズ?」


「そうだよ! 私が夜相手出来ないからって、変なお店とか行ったりしたら……分かってるわよね? 浮気とかも絶対ダメだからね! マシロちゃん、そこんとこしっかり監視しててね」


「ん、任せて。他のメスの匂い、すぐ分かる」


 信用無いなぁ……まあ確かに、ここのところご無沙汰だからちょっと辛いけど、さすがに嫁の妊娠中に浮気とかクズ過ぎるだろうが。


「元からそんな気は無いから心配すんなって!」


 とはいえ、日本でも立場ある人間が妻の妊娠中に浮気、とかちょいちょいニュースが流れていたのを覚えている。

 あの頃は独り身で、性欲もあまり強くは無かったため、馬鹿だろと軽く考えていたが、今の俺にはそうならないと言い切れない部分もある。

 日々の性生活によって、俺も贅沢に慣れてしまっているのだ。

 それが急にディナーのメインが欠けてしまったようなもの。

 そんなお腹が空いた状態で、魅力的な女性に誘われたらフラフラ―っていかないとも限らない。


 ちなみにこの世界では、口や後ろの穴を使うのは一般的では無いらしい。

 日本では当たり前のようにフィクションに出てくるが、現実ではそこまで一般的では無かったのではとも思っている。

 よほど相手を思っているか理由が無いと出来ない行為だろう。

 まあ、スズなら頼めば普通にやってくれそうではあるけど……。


 ともあれ、妊娠中と思われるスズに無理をさせるわけにもいかないが、マシロとノルンの2人では少々物足りなくもあった。

 スズの戦力を10とするなら、マシロは7でノルンは4といったとこで、戦力的に半減と言って良いのだ。

 


「そんな不安そうな顔されたら心配にもなるわよ……。マシロちゃん、ノルン、私が出来ない間はお願いね。余計な事考えないよう、しっかり搾り取って頂戴!」


「わかった、がんばる」


「たくさんお相手頂けるのは嬉しいですが、二人で体力がもつでしょうか? これは何か考えないとなりませんね」


「大丈夫、と言いたいところなんだけど、よろしく頼むよ。ほんとすまんね……」


 我慢できるって言い切りたいところだけど、俺はそこまで自分を信用できてない。

 自分を過信してうっかり浮気なんてしようもんなら、恐ろしい事になるだろう。

 ならばここは、嫁の恩情に甘えておくべきだな。



 と、心の中で俺が自己弁護をしている内に、話が変な方向に進んでいた。


「そう言えばイリスは、アスラさんの事を男としてどう思っているのですか?」


 なぜそんな話に? というのは、これがノルンの考えというやつなのだろう。

 イリスを夜の仲間に引き入れようというのだろう。


「む、主殿でござるか? それはもちろん、尊敬できる最上の主だと思うでござるよ」

 

「そうでは無く、異性としてどうかという事です……」


「ふむ、そうでござるなぁ…………良い男、だと思うでござるよ」


 なんとも奥歯に物が挟まったような物言いだ。


「あー、正直に言っていいんぞ。別に怒ったりしないから」


「正直申すと拙者の好みは、こう性根が真っ直ぐで雄々しい男でござる。上背や筋肉ももちっとほしいでござるな」


「そっ、そうなのか。もしかしてあれか、お前の父親のエルヴィンさんみたいにか?」


「そう、その通りでござる! 拙者、父上よりも強い男が理想なのでござるよ!」


 脳筋マッチョの多い竜人族の村で育ったイリスが、そういう好みになるのも無理はないか。

 ちなみに、エルヴィンさんは2メートルを超えるような大柄の竜人族であり、レベルも54とかなりの強者だ。

 あれより強い男はなかなか探すの大変だろうなぁ……。

 あまり選り好みすると、前世の俺みたいに婚期を逃すことになるが、まあ頑張ってほしいものだ。

 

「イリスが駄目となると、これはもう頼れるのはナオちゃんしか……」


「いやいや、それだけは駄目だからな」


 さすがに幼女はまずい、これがWeb小説ならノク〇ーン行きになりかねない。


 ちなみにナオには生殖器が存在しない、と断言しておこう。

 ホムンクルスは作られた存在であり、子孫を残せないため不要なのだろう。

 なぜそんな事を知っているのかと言えば、彼女が定期的に体液を摂取する必要がある以上、時より肉弾戦中に部屋に忍び込んでくるのだが、その際にうっかりベッドに引きずり込んでしまった事があるからだ。

 彼女の下腹部にあったのは、ちっちゃい尿道口と肛門のみで縦スジ一つ無かった。


 つい生物学的な好奇心が首をもたげじっくり見てしまったが、どうか許してほしい。

 

「お二人とも何の話でござるか? 拙者には話の流れがサッパリ読めぬのでござるが」


「いや分からないなら良いんだ、イリスにはそのままのピュアな君でいてほしい」


 俺はもうだいぶ汚れてしまった……どうか君だけでもそのままで。


「主殿がそう言うなら、そうするでござるが。何やら失礼な事を考えてないでござるか?」


 訝し気に首を捻ったイリスをいなして躱し、そのまま街道をひたすら西へと進んでいった。




 陽が沈む頃には、雪のためにただでさえ暗かった周囲は、少し先の顔すら判別できないほどに暗くなり、雪の勢いも吹雪と言っていいほどに強くなっていた。


 さすがにこんな中で野営も辛いだろうと周囲を見回すと、街道から少し離れたところに小さな村が見える。


「今日はあの村に止めてもらおうか」


 そう提案して皆と共に村へと向かうと、柵で囲まれた村の入り口には、自警団らしき青年が2人立っていた。

 第一村人発見だ!


 俺はその青年の片割れに近づいて、恐る恐る話しかける。

 治安が悪いっていっても、いきなり襲ってきたりしないよな?


「私達は旅の冒険者なのですが、今晩この村で泊めて頂けませんか?」


「おぉ、冒険者のかたですか……こんな雪の中、さぞ大変だったでしょう。ささ、宿まで案内しますので、どうぞ中に入ってください」


 青年はもう1人に後を任せると、俺達を宿まで先導してくれる。


「ありがとうございます。いやぁ、こんなに親切に対応して頂けるとは思ってませんでしたよ」


「はは、よく言われますよ。最近、この辺りも物騒ですしねぇ」


 そんな世間話をしながら、宿へと向かう俺達。

 想像以上に人当たりの良い青年だ。

 関所の兵士も見習ってほしいものだ。


 治安が悪いって聞いてたけど、民衆全てがそうってわけでは無いのだろうな。

 こんな国で真面目に生きているだろう、彼のモラル値はきっとかなり高いだろう。


 そう考えて、興味本位で青年に鑑定を使い、内心ドキリとする。


 青年のステータスには見慣れた赤い表示、モラル値は-300を軽く下回り見事な赤字で表示されていた。




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