第八話 〜SMG〜
・・・・・まさか、本当にできているとは・・・・・・・・・・
朝、シィに起こされ学校へと向かった。
学校に着くと、そこには赤い鉢巻をつけた数十人の少年軍団が。
鉢巻に書かれている文字は、「SMG」。
銃器の方ではなく、「シィちゃん・まじで・ガチ」とか言うかなり危ない略。
そして俺は体育館裏に連行されかけ、どうにか脱出。
その時シィは親衛隊数人に護衛されていた。
教室に着くと、
「あはははは〜〜、酉島君も大変ですなぁ〜〜♪」
実に楽しそうな声を出してくれたこいつは、緑川葵。
いつも元気で、見てるこっちまで楽しくなるような少女。
席は俺の斜め前。
「・・・・緑川。なんでそんなに楽しそうなんだよ」
「だって、おもしろいんだからしょうがないじゃん♪」
「答えになってないし。こっちは、もう少しであざだらけだったんだぞ・・・」
親衛隊はなぜか武闘派せいぞろいだった。
柔道部部長、剣道部部長、相撲部副部長、野球部期待のエース、サッカー部部長。
さっき、ちらっと見ただけでもこれだけ分かったくらいだ。
「・・・・こえぇ」
「がんばれ!」
親指立てて元気イッパイに言われても・・・・・・。
「・・・・・助けて」
「やだー。あたしはか弱い女の子だもん♪」
「・・・・・もう頼まない。それともう宿題写させないからな」
「あーーー!せこい!!っていうかあたしに言っても意味ないと思うよ?」
「それもそうか」
仕方がない。こういう時は我が親友に・・・・、
「おい、卓たすけ・・・」
いない。
そして探そうと席を立とうとすると、
「思惟様の、おとーーりじゃーーー。道をあけろーーーーー」
そんな野太い声の多重奏が聞こえ、教室の扉が開いた。
「えっと、そのぉ・・・・・はぁ〜〜」
思惟は困った顔で男共に囲まれていた。
そしてその中には・・・・、
「おらおらー、開けんかー」
卓がいた。それも実に真剣な顔で。
「・・・・お前、なにやってんだ」
「お、鶏。思惟ちゃんに近づくな!」
鶏ってなんだよ。それよりも、
「うるさい。答えろ、なにやってる」
「なにって、もちろん護衛さ」
・・・鉢巻つけてるし。
「じゃぁ、俺の敵ってことだな」
「あぁ。今まで友達でいてくれてありがとうな。これからは敵としてヨロシク」
「じゃぁ敵に情けはいらないな?」
「ふん。俺にいってんのか?」
そーかそーか。よく分かった。
卓の目の前に立ち、
「じゃぁ、もう俺は宿題を写させないし勉強も教えない」
「ふん、それくらいお前以外にもい」
「それと、今までのツケも。えーっと」
手帳を取り出し、
「48090円なり」
「・・・・・・」
卓は無言。
「それと、俺が貸しているゲームも全部返してもらおうか」
「・・・・・」
卓は無言でムサイ男共の中心へと入っていき、戻ってきた。
その手にはシィ・・・・じゃなくて思惟がいた。
「渡。俺たち、友達だよな」
そう言い、思惟をよこす。
「あぁ。俺たちは親友といっても過言ではない」
ひしと抱き合う。
そこで周りがようやく状況に気づいた。
「おまえ!!寝返ったなぁ!!!」
「ふん、文句があるならかかってこい!」
中井卓。
実は空手部の部長で、県大会優勝の猛者だったりする。
「トリニティの一人が抜けるとは・・・・」
「これはまずいんじゃないか?」
「いや!ここで諦めるわけにはいかない!!」
「じゃぁお前行けよ」
「いや、俺は暴力反対」
「お前!運動部だろ?行けよ!!」
「うるせぇ!」
「あ、てめ!殴ったな!!」
そこで内戦が始まる。
教室は、戦場と化した。
「えっと、助かった・・・・んだよね?」
「あぁ。避難するか・・・・。行くぞ卓」
「おう。思惟ちゃんは俺が守るぜ!安心しな!!」
「うん、お願い♪」
俺たちは廊下に出る。
しばらく雑談をしていると、チャイムが鳴り一時休戦となった。