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第七話 〜双〜

 『渡とシィちゃんへ♪

  たださんとあたしは出張へ行くことになっちゃいましたーー。

  お金は心配しないでね。ちゃんと送るから。

  二人きりだからって、襲っちゃダメよ♪

                      千紘より☆』


 ・・・・・またいきなり・・・・・・・・。


「どうした?」

シィが身を乗り出し覗き込んでくる。



「ふむ、出張とな。あれか?遠くに仕事に出るという」

勉強したらしく、この地球の知識を多少つけてきたシィが言う。


「あぁ、二人で生活しろってこった。いっつも急に決めるからな・・・・」

「ふむ。二人っきり・・・・・・。ふむぅ・・・・・・・・」

「・・・・なんで嬉しそうなんだ・・・・・・・」


「嬉しそうな顔をしているか?我はちっとも嬉しくない。どっちかといえば・・・・なんだけか?そうだ最悪だ」

そっぽを向き、言い放つ。


「・・・・・・・・」

やっぱり俺はまだこいつのこと分かってないのかな。

少しうれしそうな顔をした気がするのだが。

まぁどうでもいいか。


 あ、そうだ。


「シィも家事とかしろよな」

「家事だと?我が?・・・・馬鹿な!我に手を煩わせる気か?仮にも魔王だぞ」

「・・・・・・・」

「いっぺん死んでみるか?」

小さい火の玉を手に言う。


・・・・・・・なんでこいつは・・・・・・・・・・・。


「・・・・遠慮しておく。分かった、俺がやればいいんだろ・・・・・・・・・・」

「うむ。全てお前に任せよう。手を抜くなよ?手を抜いたらオマエを67個の肉片へと変えてやる」

火の玉が霧散する。


「そういや、なんで髪の色変わるんだ?」

「あぁ、スタイルというんだが。呪文を出すのに合った姿をすれば、少し負担が軽くなり威力が高くなるのだ」

スタイルねぇ。


ん?でも・・・・。

「それじゃぁ、なんで学校のあれは呪文使わないのに変わるんだ?」

「あれはコピーだからだ。スタイルは自然に覚えるものだ。それにコピーは呪文を使えなくなる」

「んじゃぁ、ず」

「拒否する。めんどくさいからな」


・・・・・よんでやがったか。ずっとコピーでいろって言うつもりだったんだが・・・・・・・・。


「どんくらいスタイルがあるんだ?」

「まぁ今は少ないな。まだレベルが低いからな。戦闘経験をつめばもっと増えるだろう。11種類といったところか」

「どういうスタイル?」

「教えるか」


・・・・・なんでそんなに無愛想なんだよ。

ってか本当にずっとコピーでいて欲しいんだが。


「んで今日の飯はどうする?なんか食いたいものはあるか?」

「なんでもいい。うまければな」

「んじゃぁ、材料で適当に作るか」


 そして調理開始。


「「ごちそうさまでした」」

あまりもので作った野菜炒めを食べ終わる。

簡単なものだけど、結構おいしかったな。


 材料がなくなったし、明日にでも買出しに行くか。


などと考えていると、

「・・・・今日は疲れた。我はもう寝るぞ」

「風呂入れよ」

「うむ」

シィは風呂場のほうに向かっていく。


・・・・・眠くなってきた。

んでも風呂入ってないしなぁ。

なんとか一度思いとどまるも、


 じゃぁ少しだけ寝るか。

やはり欲には勝てない。


一度決心するとそこからは早いことで、すぐに眠りに落ちた。



つんつん

・・・眠いから勘弁して。


つんつんつん。

・・・・・頬をつんつんするな。


つんつんつんつん。

「・・・・なんでしょうか・・・・・・・・」

シィが俺の頬で手を動かしながら、

「うむ。こんなところで寝ていて良いのか?」

「・・・少し、寝ただけだ・・・・・・」

「少しとな。4時間も寝ていて、少しか?」


・・・・・・4時間?


壁にかかる時計を見ると・・・・・・


11:32


 ・・・・・しくじった。

風呂入らないと

「それより、シィ。お前寝るんじゃなかったのか?」

「いや、それが、そうコーヒーを飲んだら眠くなくなったのだ」

「??夜にコーヒーはやめといた方がいいと思うぞ」

そっぽを向くシィ。

渡はなぜか分からない。

「うむ、そう、だな。これからは気をつけるとしよう。それより、風呂はいいのか?」

「あーー、そうだった。じゃぁ入ってくる・・・・・・・・」

そう言って、早速風呂場へと向かう。



風呂から出て居間に向かうと、そこにはシィの姿はなかった。

「寝た・・・かな。俺もそろそろ寝るか・・・・・・」


・・・・・・・・・・。

部屋に入り、ベッドに入ろうとすると・・・・・・。



先客がいた。

シィか・・・・・・。

誰もいないんだから他の部屋で寝てくれよな。



・・・・・・それにしても、改めてみるとシィって可愛いんだな。

明日には親衛隊の一つもできてそうだな。

そしたら俺、標的にされんのかなぁ。それは困るなぁ。


渡は床で寝ることにした。

部屋が余ってんだから他の部屋で寝ればいいと思うが、なぜかここで寝たかった。


「明日で今週は学校終わりだな」

そう一人呟き、床に敷いた布団にくるまる。


一度寝たというのに、睡魔はまたもや猛攻を開始した。


 戦う意思もないので、されるがままになる。

そして、眠りに落ちた。

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