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第二話 〜『私魔王です』〜

 「おまえホントに魔王?」

俺は信じられなかった。


というか、いきなり女の子に


『私魔王です』


って言われて『はいそーですか』って信じられるわけがない。

例外はいるようだが。


それに、魔王なんて空想上のものだ。

いるはずがない。


どうせ子供の冗談だと思っていた。


「あぁ。我は魔王だ。それと、貴様に『おまえ』などと言われる筋合いはない」


「じゃぁなんて呼べばいいんだよ。」

「シィ・ドゴール・ラ・ヴィシィー・キュベリン・ガリバルディ5世」

しぃどご・・・あぁ覚えられん!


「長い、覚えられるか。」


「魔王様とでも呼べ。」

なんでそうなる。


「ホントに魔王かも分からないのに言えるか。それになんか嫌だ。」

「本当に魔王だ。なんなら証拠を見せてやろうか?」

証拠?


「あるんなら見せてみろよ。」

証拠なんか、だされたって分かるはずもないけど。


「・・・・・・・・・」

小さくなんか呟いてるな。


渡の場所からはなんて言っているのかまでは聞き取れない。



あれれ?なんか、あの子の体が浮いてるような気がするんだけど。

それに髪が濃紺から真っ赤に・・・・



「・・・・・・・・・・・・・・・・・」



あれれれれ?なんかドス黒いオーラみたいのがあの子の周りに漂ってきたぞ。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



あれれれれれれ?手にでっかい火の玉が・・・ってやばくない?

「ちょ、ちょちょちょっと待った!!落ち着け!!!!!」


「・・・・・・・・。」

すると、火の粉が手の中に吸い込まれていって、オーラは霧散、足が床に着いた。

髪も濃紺に戻った。



「・・・今。何しようとしたの?」



「ここを魔法で吹っ飛ばそうとした。」

・・・・・へ?


「おいおい!ここに住むのに吹っ飛ばしてどうする気だったんだよ!!第一危ないじゃないか!!!」


「ふん、復元の魔法くらいできるわぃ。それにおまえには当てないようにする」

復元? それって元にもどすことだよな・・・・・。


「じゃぁ・・・・これ直してみて」

ずっと前ぶっ壊してしまって、動かなくなったSPGを部屋からとってくる。そして差し出す。


スーパーポケットゲーム、携帯ゲーム機で通称SPGだ。

このゲーム機は、この前落としてしまってから電源がつかなくなり、修理をだすのもためらわれるという事で放置させられていたゲーム機だった。

外見ももちろんズタボロ、ほこりまみれに傷まみれだ。


「・・・・・直したら、魔王だと信じるか?」

「信じる」


「絶対だな?」

なんだか念を押しているな。


「・・・・・・・・・・」

今度は割と短めに呟く。

すると、ゲーム機がなんだかドス黒いオーラに包まれる。


そしてオーラが霧散して、見えたものは・・・・


「うぉ!新品みたい!!」

買った時のように、少し光沢を放つゲーム機がその手にあった。

「どうだ。これで信じるのだな?」

なんか少しだけ得意げな顔してるな。

少し話すうちに、この『少し』の変化が感じ取れるようになってきていた。


「それにしてもすごいな・・・・。あ、あのさ、じゃ」

「信じるといっていたな。」

ちっ。


「精神力の無駄な消費は避けたいからな」

精神力?デラミスでいうMPみたいなものか?


ちなみにデラミスとは、最近人気上昇中のRPGゲームである。

デス・ライア・ミッションという、まるで協調性のない題名だが、その濃い内容のストーリーと、BGMのハイクオリティで人気がすごく、発売日から1週間はどこの店でも即完売の神ゲーだ。

そしてMPとはマジカルポイント。魔法を使うために必要なポイントだ。


「ふ〜〜ん。後どのくらい残ってるの?」

「どのくらいと言われてもだな。おそらく、後でっかい魔法4回分ってところだな」


「まぁいいや。そういや、魔界ってどういうところ?どうやって来たの?」

「・・・・・・・・」

あんまり話したくはなさそうだな。


「まぁ無理にとは言わないけど・・・。でもシィのこともっと知りたいなぁって。」

メンドイから渡は『シィ』と呼ぶことにした。


「・・・・・・しょうがないな。」

『シィ』という言葉を聴いた瞬間、少し驚くような顔をしていた。

もちろん、なぜかは渡が分からない。

それに、微妙にうれしそうな顔になった様な気もする。


 そしてシィは故郷のことについて語り始めた。




「我の地球は、簡単に言えば腐っている。」




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