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第一話 〜出会い〜

家の前に着いた。いつも通りの我が家を外から見上げる。


ウチの親は共働き。

そして今日は水曜日。つまり平日だ。


親は働きに出ているはず。


鍵を開ける。

あれ?なんか開いた感じがしないな・・・・・。


ドアノブをまわしてみる。

「ガチャ」


なんだ開いてたのか。

「全く用心のない人だな、泥棒に入られたらどうするんだよ」

と小声で独りごちる。


「ただいまぁ〜〜」

これはもう癖のようなものだ。

いないと分かっていても口にしてしまう。

だからいつもなら返事は返ってこない。


「いつも」なら


「うむ。」

短く、声も小さいがここまではっきりと聞こえる。

透き通るような澄んだ声。


・・・・・・・・・・


ま、まさか、泥棒!?

いや泥棒が返事なんかするはずはない。


じゃぁ親か??

いやうちのおばさんはあんなにいい声してない。狸の断末魔みたいな声のはず。


客かもしれない。だがこんな時間に客が来るか?


・・・・・家間違えたかな?

「あ、すいません。おじゃましました」



外にでる。



どっからどうみても我が家・・・・だよな。


標識には『酉島』

この苗字はここらへんにウチだけのはずだ。



・・・・・警察呼ぼうかな

そんなコトを考えたが、警察を呼ぶのは無性に恥ずかしい。

「来てたのはただのお客さんでした」

なんてことだったら死ぬ。てか殺してくれ。


「しゃぁない。行くか・・・・。」

又独り言をつぶやき、家に入る。

今度は声はしない。



確か居間の方からだったよな。



居間ではテレビがついていた。

そしてその前には


女の子。

身長は俺より結構低いな、小学校高学年くらい。

髪は長く、吸い込まれるような黒に青が少しかかったような色。

そして一番目を引くのが、その身に着けている『鎧』。

最初は金色かと思ったがよくよく見ると、なんだか微妙な色。

金色と黄色を足して2で割ったような・・・・わかりにくいね。


そんな一回見たら忘れたくても忘れられないような女の子が。

ウチの居間で、長年ここで暮らしている様な顔をしている。

そしてテレビをウチの親父と同じ様に、、

詳しく言えばねっころがってひじを着き、せんべいを片手でボリボリ食べながら見ている。


「えっとどちらさまでしょうか?」

笑顔を作ったつもりであるが、引き攣ってたかもしれない。


その少女が顔だけをこちらに向ける。

なぜ知らないんだとでも言う様な目で見てくる。

そしてぼそりと、

「シィ・ドゴール・ラ・ヴィシィー・キュベリン・ガリバルディ5世」

は?なんですと??しぃどごーるら・・・・覚えられない。


「えっとなんでここにいるのかな?」


一番の疑問をぶつけてみた。すると少女はあたりまえのように

「この家に住んでいるから」



あ、そうか住んでるからか、っておい。

今朝までいなかったぞ。


「いつから?」

「今日」即答。


今日ってなぁ・・・・・。

住んでるっていうのかな???


「それよりもこの箱はなんだ?なにがおもしろい?」

テレビを指差して言う。


よく見ればテレビの画面は真っ黒。

簡単に言えばついていない。


「テレビだよ。つけて番組みるのが面白いの。それよりも、住むってどういうこと?」

なんか変だが、めんどくさいので触れないでおこう。

「そういうことだ」これまた即答


「いや、なんで住むことになってんの?」

「我が決めたからだ」我?はぁ??


おいおい

「いつ決めた」

「9月8日13時45分54秒」即答


「いやいや、ってか誰だよ」

「シィ・ドゴ」

「それはさっき聞いた」ループし始めたので断ち切る。



「じゃぁなんだ。何が言いたい。」少女はイライラした声音になってきた。

「だからどこの子?家間違えてない?交番行く?」



「家を間違えてなどいない。親に聞いてみるがいい。

そして交番なんかに連れてってみろ。この世から滅することになるぞ」

ぬ、なんか自信まんまんだな。

そしてなんか最後に恐ろしいことを言ったような気が・・・・・するだけだと信じたい。




玄関の電話へと向かう。

そして母の携帯に電話する。

4、5回コールが続き、

「ゴメン待たせて! んで、なに?」

元気がいいな、流石回りに『ねずみ花火』と呼ばれるだけはある。


「なにって・・・・メンドイから用件だけ言うと、あれ誰?」


「あれって?」いやいやなんでそんな不思議そうな声だすんですか?

「あいつだよ!しぃどごー・・・とにかく中学生くらいの女の子!」


「あぁ、シィ・ドゴール・ラ・ヴィシィー・キュベリン・ガリバルディ5世ちゃんね♪」

空っぽの脳みそしてるくせに、なにちゃっかりと覚えてんだよ。

「そうだよ、ってまさかホントにウチに住むんじゃ・・・・」




「『ホント』よ♪」




まじか・・・・ いやなんで。


沈黙していると居間の方から、

「おい渡!だからこれはどうやってつけるのだと聞いている!!」

なんで名前知ってんだよ。


「ほらほら、魔王様をお待たせしないの。行った行った♪」

ガチャ

「オイ!わーたーるー!!!」


切られた。しかもなんか物騒な一人称が聞こえてきたような気がするんだけど。

「オイ!渡!!おまえは耳でも患っているのか!!!」


しょうがないな・・・・


居間へと戻り、そのまんまテレビの方へ。


「このボタンだよ。んでこれでチャンネルを変えんの。」

「チャンネル?なんだそれは?」

う、その小首をかしげるのやめろ!なんか可愛いから!


「えっと、ん〜〜〜、まぁそのテレビ局の専用端末というかなんというか」

自分で言っといてなんだが、意味分からん。


「まぁいい。それでなにがおもしろいのだ?」

「今の時間帯だと・・・・って4時に面白い番組なんかないな」

ニュースとか教育番組の再放送くらいしかない。


「そうなのか? ふむ、朝に忠幸が見ていたものは面白そうだったがな」

親を呼び捨てか。ちなみに忠幸ただゆきとはうちの父親だ。


「どんなの?」

父が見るのなんかニュースか時代劇くらいだと思うんだけど。


「うむ。人間共の殺し合いだのの知らせが箱の中で見れるものだ」

箱ってだからテレビ。


「ニュースのこと?」

チャンネルを12チャンにする。

『フォークロックニュース』なるダサイ名前のニュース番組がやっている。


「おぉ!これだこれ!よくやった!!これをやる。」

そう言って紙幣を3枚俺に渡す。

なんだろ?ってかそんなにたいしたことしてなような気が。



・・・・1、2、3・・・・・3万円!?



「え、ちょ、えぇ!?こんな大金もらっても困るよ!!!」

「大金だと?たかが3万だろ、そのくらいで騒ぐな」


たかが3万?

3万円ってなんだろうか?


俺の毎月のこずかいが2000円だ。

3万円? 3万円割2000円は


15ヶ月分!?



「おま、なんでこんな金もってんだよ!」

「なんでって、それは強奪したからに決まっておろう」

テレビをみながらサラッと答えやがった。


「おい!強奪ってどこから!?」


「どこだっけか、『高橋カンパニー』とやらだったかな」

高橋カンパニー ここらへんで知らない人はいない。

田舎町のど真ん中に67階のでっかいビルが建っている。

それが高橋カンパニー本社だ。


「ど、どうやって!?」

「ふん、なぜおまえにそんなコトを言わねばならんのだ」

不機嫌そうな声。


ってか「おまえは一体何者なんだ!」

少し声が大きくなってしまったな、と考えていると。


「・・・・・・」

目の前に女の子がいた。

「私は第13の地球から来た、シィ・ドゴール・ラ・ヴィシィー・キュベリン・ガリバルディ5世。第13の地球の王だ。おまえらは私の地球のことを『魔界』と呼んでいるようだな。つまりお前らの言うところの『魔王』だ。」



時が止まった気がして、思考が吹っ飛んだ。

ほとんどの単語が理解できなかった



頭がちゃんと回るまでに何分か、かかったと思う。

そして回復した頭で、こう実感した。






「俺の日常は、『非日常』へなったんだ」と。






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