第十一話〜恐怖〜
「な、なんだよ・・・・これは・・・・・・・」
俺が見たもの、それは生涯忘れることはできないであろう、信じられない光景。
そこにあったはずのものが、無い。
そしてそこには、変わりにあるはずのないものが有る。
信じられない。
恐怖。
その感情しか表せない。
自分の居場所がなくなる恐怖。
「なん、なんだ・・・・?」
俺は、まともに声を出せない。
なんで、こんなことに・・・・・・・。
「なんなんだ?私は魔王『ガルダ』」
「魔・・・王・・・・?」
どういうことだ・・・。
シィ、どういうことなんだよ・・・・・。
俺は、いつも通りシィに起こされ学校へ行く。
朝からうるさいほどの救急車やら、パトカーのサイレン。
「なにか事件でもあったのかな?相当の数だけど・・・・・・」
「知らぬ。渡、早くしないと遅れるぞ」
「あぁ、分かった」
俺は、気になったが殺人事件でもおきたのかな?大変だな。
とくらいだと思い、学校へ向かった。
いつも通りの朝日。道。
バス停に着くと、
『今日バスは運休です』
と書かれた張り紙。
「お、ラッキー。これで遅れても言い訳できる。あ〜〜、でも歩くのメンドくさいな」
「仕方がないであろう。行くぞ」
歩きで学園へは、40分くらいかかる。
「先週は、行けなかったからな。今週は行こうな、ボーリング」
結局、土日は面倒事が重なり、遊びに行く暇がなかった。
「うむ」
嬉しそうに返事をする思惟。
少し、ドキッとしてしまう。
「それにしても、今日は騒がしいな。なにかあったのかな?」
「さぁな。我にはわから・・・・ん?」
「どうした?」
「・・・・この気配は。いや、まさか。扉は我しか開けないはず・・・・」
真剣な顔で独り言を呟く思惟。
「渡。学校へ行くな」
「なんで?行かなきゃ成績にひ」
「関係ない!お前は命を捨てたいのか?」
「なんのこ」
言い終わる前に、焦ったような顔で思惟が言う。
「魔界の連中が学校にいる」
魔界の連中?
「え、なんで・・・・」
「我を倒しに来たのだな。粗方、新しい魔王候補ができたのだろう。そうなると、現魔王の我が邪魔なわけだ」
「ってことは、・・・でもなんで・・・・学校なんだ・・・・・?」
俺は動揺を隠せない。
学校にってことは、もしかしたら学校の友達も・・・。
「おそらく、我への宣戦布告だろう」
「え・・・・?」
「だから、渡は来るな。お前を死なせるわけにはいかない」
そう言い、シィは燃えるような赤い髪。
戦闘モードになる。
「分かったな。我なら大丈夫だ」
「でも・・・・」
「今まで世話になったな。『さようなら』」
「・・・・!?」
その言葉を合図に、シィの背中から漆黒の翼が現れる。
そして、羽ばたき飛んでいく。
俺は、見てることしかできなかった。
「さよう・・・なら・・・・・?」
理解できなかった。どういう意味だったか?
しばらく、呆然と立ち尽くしていることしかできなかった。
回復した思考が、さっきの言葉の意味を理解し始める。
さようなら。
嫌だ。シィ。どこにも行かないでくれ。
しかし、シィの姿は晴天の中にすでに消えている。
俺は・・・・どうすれば・・・・・?
「追うしかねぇだろうが!!!!!!!!」
自分への叱咤。
そして、走り出す。
そして、全力疾走すること10分。
学校・・・いや、学校だったものに着いた。
そこは、焼け野原。
塵と粉塵だけが舞う、そこらかしこにまだ、炎が燃えている。
そして、屋上に猛然と立つ影。
長髪、切れ長の白い目。
場違いな、白いスーツ。
まるで物語りに出てくる王子様のような、美形の青年が立っていた。
その顔が笑う。
「君は・・・・誰だい?」
心に直接話しかけられているような、気持ち悪い感覚。
「なんなんだよ・・・・・これは・・・・・・」
焼け野原に、ひとつの小柄な少女の姿があった。
血にまみれ、煤だらけ。
まるで、負けたような・・・・・。
「我は魔王ガルダ。『ガルダ・ゴズデール・ラ・キュベリン・ガリバルディ6世』」
予定より、早く更新できました♪
『俺って神!?』のネタが早く思いついたもので
今回の『となまお』はどうでしたか?
ちなみにわかってるとは思いますが、
『となまお』とは『隣には魔王がいた』の略です
これから打つのが大変なんでこう略します
皆さんも使ってみてください(嫌ですよね?)
それにしても今回は急展開でした
新しい小説もある程度出来上がっていて大変なんです
しかし、中途半端な終わらせかたは嫌なのです!!!
なので、多少(?)強引ながらもこんな展開に。
平和な日常と差がありすぎましたね
でも、大目に見て下さい
では、これからも、となまおをよろしくお願いします