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第九話 〜生きる為に〜

 「「「「「まあああてえええええええええええええ!!!!!!!!!!!」」」」」

一気に階段を駆け上る。

そして一度、深呼吸してまた走り出す。

「絶対、逃げ、切って、やる」




 時は昼休み。

食堂でパンを買い、教室の自席で食べていると、

「おい!渡!!逃げろぉぉぉおおおおお!!!!!」

響く卓の声。

ちなみに思惟は今、女友達と食堂で食事中だ。


「ちょ、なんだよ。俺の学校唯一の楽しみ、おばちゃん手製のカレーパンを食べているとい」

「うるせぇ!死にたくなかったらさっさと逃げろ!!」

「はぁ?死ぬってなんのこ」

最後まで言い終わる前に、教室に雪崩のように男子生徒の大群が攻め寄せてきた。


「死にさらせえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その額には『SMG』の3文字。


 ・・・・そういうことか・・・・・・・・。

それにしても、増えてないか?人数。

「・・・・逃げ遅れたなぁ」

「俺が退路を開く!その隙に逃げ延びろぉ!!!!!!」

そう言い、我が親友は大群に一人で攻め入る。


流石空手部部長。道が開けた。

「恩にきる!」

俺は走り出した。

「これで今までのツケをな」

「断る!!!」


「な!?逃げたぞ!!追ええええええええええええええ」


「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」


「ぐぅ、うわああああああ」

親友の悲痛な叫びが聞こえた。振り返らずに、一目散に逃げ出す。

後ろには、殺人鬼も顔負けなほどの殺気を振りまきながら、追ってくる男子生徒達。


 俺は体力、走力には自信がある。

だが、流石にこの人数はまずい。


今は休み時間。そして、おそらく残りの休み時間は10分。そして次の授業までの時間が5分。

あわせて15分。

この時間を乗り切れば俺の勝ちだ。


だが、いつまで持つかな・・・・・・。




 そして今に至る。

残り時間は9分。後4分で予鈴がなる。

流石にきついな。


階段の下から、男の野太い声が聞こえてくる。

ちなみに、昼休みに入ってから廊下には俺ら以外、誰もいない。

津波に突っ込む様なものだしな・・・・。


「ちぃ、もう、きやがった、か」

「「「「「おおらあああああああああああああああああああ」」」」」

「「「「「ぶっころしてやるうううううううううううううう」」」」」


こ、こえぇぇぇぇぇ。

俺は走る。

捕まったら・・・・・殺られる!


廊下を全力ダッシュしていると、

「「「「はっはっはっはっは!!!やはりきたなぁ!!!!!!」」」」

前にも敵が。挟み撃ちか!

いつか来るだろうとは思ってたけど、ヤバイな。

「「「「「おおらあああああああああああああああああああ」」」」」


絶体絶命。これほど合う言葉は無い。

こうなったら一か八か・・・・。

横の窓を開け放つ。

枠に手をかけ、目を閉じて一気に飛び降りる。


2階から。


「うわあああああああああああああああああああああ」

いつかくる、地面に構える。

「「「「なぁ!?飛び降りたぞ!!!!!」」」」



・・・・・・・・・。

・・・・・・。

・・・。



 あれ?滞空時間長くないか??

そう思い、目を開ける。


目の前に女の子の顔。


あれ?地面の感触が無い。

下を見ると、

「浮いてるぅぅぅぅ!?」

地面から2mくらい上。そこにいた。


「大丈夫か?渡」

そこにいたのは、シィだった。

足に固い感触。

「あ、あぁ。だい、じょうぶ」

「よかった♪」

体が一瞬光り、思惟になる。


「それより!危ないじゃん!!死んだらどうするの!?」

「あぁ、ごめん。その、咄嗟に」

我ながら情けない。うまく喋れない。

「もう、よかったぁ。間に合って」

「あり、がとう」


「「「「「「てめえええええええええええええええええええええええ」」」」」」

「「「「「「思惟ちゃんから離れろおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」

上からそんな怒声が。


 そういえば、胸の辺りに柔らかい感触が、

「って、うわあああああああ」

瞬発的に体が動く。そして思惟と距離を置く。

「・・・・そんなにボクのこと嫌い?」

「いや、だから、その俺は腐っても男なわけで、思惟は女だし」

なにやってんだ俺!


「「「「待ってろおおおおおおおお今行くからなああああああああああああああああ」」」」


「ごめん思惟!また!!」

「え?ちょっと待って」

聞いてられるか。


俺は今日何回目かの全力疾走。

 そこで、



キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴る。


「後5分・・・・か・・・・・・・」

よし、がんばろう。





俺は駆ける。





生き延びるために・・・・・。





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