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幾京もの世界の中で

作者:

 「やあ、僕は君たちが地球と呼んでるこの星とは違う星から来た宇宙人だ。しかも君たちとは違う世界から来た。ちょっと僕の話を聞いてってくれないかな?君は世界についてどれくらい理解しているかい?君たちは、君たちが存在しているこの世界と時間軸を合わせた4次元に縛られているね。君はもう学校で関数というのを習っているかい?それならxy平面を思い浮かべてほしい。x軸が時間でy軸が君たちがいる世界だ。軸が世界というのがよくわからないだって?君たちは3次元よりも高い次元は視覚的にはわからないのだろう?だから3次元であるこの世界を1次元として見ようってだけの話さ。

 「さて、この世界では君たちはxy平面内で一定間隔で増加するxの関数yのように常に移り変わっている。そのなかで君はもしあの時あの選択をしていたらとか考えたことはあるかい?そんな時、実はこの一つの線のように見えたような関数のようなものは、枝分かれする。一つは君が選択した世界でもう一つは君が選択しなかった、もし選択していたらどうなっていたのかというifの世界だね。そしてこのifの世界は君以外のすべての人類、すべての生物の選択によってもできる。君になにかしらの選択がなくても、他の人にそういう選択が発生した場合に世界は枝分かれするということだね。君ひとりの世界じゃないんだ。

 「実は僕たちはこの枝分かれする世界を観測し、時間軸に縛られずそれらの世界を行き来する術を発見した。ふふふ。話が壮大すぎるって?まあもう少しの間僕の自慢話に付き合ってくれよ。さて、この発見をしたことによって僕たちはどうなったと思う?なんと時間軸に縛られなくなったために無限の時間を手に入れたのさ。君たちの言うところの不老不死とでもいうのかな?僕たちはこの発見によって得た無限の時間で、無限に枝分かれする世界の可能性を観測することにした。そう、可能性だ。いつかの時代どこかの場所で誰かがたとえ少しでも違う行動を起こす可能性があれば、この枝分かれが発生するんだ。だからこの枝分かれは世界の可能性なんだ。そして僕たちはその可能性を観測していくことに決めたんだ。

 「ところがそんな可能性を観測していくと、とある不自然なことに気付いた。とある時代のとある時間に置いてとある可能性が収束する。とある人物の可能性がその時間より未来において存在しなくなるんだ。つまりその人物がどう頑張ってもその時間に死んでしまうということだね。僕が観測したのはその人物の名前の可能性すべてにおいてまでであり、その人物の性別が違った場合、その人物の両親の名前が違った場合までは確認していないが、少なく見積もっても京もの可能性を観測している。そのすべての可能性の中でその人物はその時代のとある時間から先の未来の可能性がなくなっている。死んでしまうんだ。その人物が君だ。おや?嘘だと思ったかい?君が死ぬ映像を見せてあげる手もなくはないけれどやめておこう。自分の死を見るなんてことしたくはないだろう。それに実は別の君に見せたことがあるんだけど、それを見た君はもう発狂してどうしようもなかったんだ。嘘だと思ったのならそう思ったまま僕の話をもうちょっと聞いてくれないかい?京もの可能性を観測したんだ。君だってそんなことしたら息抜きの一つはしたくなるだろう?

 「それで……どこまで話したっけ?そうそう、君が将来とある時間に死ぬことに気付いたところまでだったね。そこで僕たちは人為的に君の未来の可能性を開けないか、君の死を回避できないかと考えたんだ。だってごくごく平凡な人間の君がどう頑張ってもその時間に死んでしまうなんてどう見ても不自然だろう?僕たちはこれに何かあると思ったんだ。そしてこの不自然の先に何があるのか、観測してみたくなったんだ。君の可能性がなくなる原因の多くが交通事故だった。そこで僕たちは君がその場所にいないように誘導した。しかし君は決まってその時間になると交通事故を起こして死んでしまった。京もの可能性のほとんどでだよ?交通事故以外でもほんとに不幸な事故で死んでしまうんだ。そこで僕たちは早期に君に接触し、君がその時間家にいるように誘導した。すると家にトラックがものすごいスピードで突っ込んで君はそれに巻き込まれて死んでしまった。ほんとにひどい話だろ?他にも僕たちはいくつもの可能性の中でいくつものことを試みた。だけどどれも虚しく失敗に終わってしまい、君は命を落としてしまった。僕たちが考えた限りだけれど、もうこれならどう頑張っても君が死なないだろうって思える状態にもしたんだよ?そしたら心臓麻痺だってさ。もう参っちゃうよ。

 「ほんとにもう参ったね。どう頑張っても君を助けられなかったんだ。ただそんな中、君をどうすれば助けられるのか考える中でまたある発見をしたんだ。君はある時間からある時間まで長期的に死ぬ可能性がなかったんだ。この長期的っていうのは君から見たらのつもりで言ってみたんだけどどうかな?1年や2年と言っても君にとっては長いだろう?だいたいそれくらいの期間だね。普通の人はもっと短いスパンで死ぬ可能性が存在するのに、君にはそれがなかったんだ。そこで僕たちは考えたんだ。可能性の先ではなく、先に可能性の中で人為的な可能性を作れないかって。そう、君を助けるのを一旦あきらめて、その時間が来る前に死ぬ可能性のない君を殺せないかって。その先に何かあるのかってね。なんでこんなこと話したのかって?理由もわからずに死にたくはないだろう?人は殺す動機、殺される動機を知りたがる生き物なんだろう?これが僕たちが君を殺す動機だ。どうだい?よかっただろう?自分が殺される、その動機が分かって。大丈夫だよ。君の死は僕たちの研究の糧になる。君の死は無駄じゃないんだ。それに安心してくれ。あくまで君を助けるのをあきらめたのは一旦だ。きっと別の可能性の世界の中で君を助けてみせるよ。だからこの可能性の世界では、安心して死んでくれたまえ。それじゃあバイバイ。」



 そいつがそこまで言ったところで、目の前が爆発した。いったい何が起こっているのか理解できなかった。自分が爆発したんじゃない。そいつが爆発した。自分が死んだのではなく、そいつが死んだ。自分はしばらくその場に佇み、逃げるようにその場を離れた。もしかしたら泣きながら奇声を発していたかもしれない。その後は家に閉じこもり部屋の隅で震えるだけだった。

ずっと前から大まかな内容は考えていたのですが、文才のない私にこういうのが書けるはずもなく。。

ところが宇宙人の中の人を考えた瞬間にこう、スラスラと書けた感じ!

ありがとう!中の人!

そしてこんなくだらないものになってしまってごめんなさい!中の人!

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