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0時  作者: 野村草太
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8.17昨今のキラキラネームにおける経済におけるその影響のメリットとでめりっとを考察した結果妹が爆発した件について

 最近日本では変わった名前が流行っている。流行っているというべきか、子供に対する概念が変わったのか。それをDQNネーム、またはキラキラネームという。

 名前のパターンはいくつかある。まず妙な当て字のパターン。火星と書いてマーズと読む。また変則的なところでは、火星と書いてヴィーナスというツッコミ待ちのようなものも存在する。次に、無理やり漢字を当てはめたもの。頼音でライオンと読んでみたり、光宙でピカチュウと読んでみたりするものだ。これはゲームの名前を使いたがったり、外国人名を使いたがったりするものに多いように思う。そして最後に、まったく法則性の見えないものだ。○×△でマルチと読んでみたり、恋恋恋でココアと読んでみたりする。

 キラキラネームという呼び名がどこから来たのかははっきりしないが、昔、いわゆるおばさんというような年齢に対してオバタリアンと呼んでバカにしていた年代が、いざ自分たちの年になると美魔女などと呼称してみたりするのと同じ部分を感じなくもない。違うか。

 とにかく、ここまでがいわゆるキラキラネームというものの説明である。問題は、私の妹が爆発してしまったことだ。文字通り、爆発した。

 キラキラネームというのも善し悪しで、良い点というものも少しではあるが存在する。それは特殊であればあるほど、人に一度で覚えられると同時に、忘れられないであろうということだ。そしてその特殊性ゆえに、周りで名前がかぶるということはまずないだろう。時に奇をてらった結果が安易に埋もれることもあるらしいが。

 そしてデメリットは名前が読めないことだ。学校の先生はもちろん、病院で名前を読めない、市役所で名前を呼べないという事態が頻発する。これは経済にも一定の効果を与えている。

 そして国は、このキラキラネームが増えすぎたことを受け、近年開発された技術を利用して、とある政策を打ち出した。いや、政策というよりも、法律、しかも実際の枷。それは国民プライベートナンバーという。国民一人ひとりに番号を割り振って、生まれたときにDNAを採取、国民バンクに登録。犯罪を犯した際にはスーパーコンピュータで検索にかけられ、現場に残されたDNAから一発で犯人を検挙する。これだけならまだ賛成するものも多いものだった。自分が犯罪を犯すことはないと心から信じているもの、ハッキリと犯したことのない者はもちろん賛成したし、反対すると犯罪者なのではないかと疑われたからだ。

 問題は、それと同時に水面下で行われた国民一人ひとりに対する、実際の枷だ。病院に行ったことのない人間はいるだろうか? いや、今の日本という国において、そんな人間はほぼ皆無だろうと予想する。確かに極少数の存在は認めるが、国にとって公的に存在しないものはないのと同じなのだ。私たち国民は、例外なく、病院にいくということを前提にする。そして病院では、国民一人ひとりにナノマシンを埋め込むのだ。ナノマシンは全身を巡り、その人間の考えていること、見ているもの、話したこと、聞いたことを感知する。ナノマシンが一つ危険分子の可能性を感知するとポイントが加算される。また、危険分子を排除する、または公共の福祉になることを実行するとポイントはマイナス。一定のポイントに達すればナノマシンが作動してその人間が原因不明の死に至る。もちろん、検死の結果は病院もグルなのだから適当なものにされる。

 そのような法律をなぜ国民は止めなかったのかと疑問に思うだろう。当然の疑問だ。しかし考えてみて欲しい。あなたたちは、報道されること、新聞に載ること以上の何かを本当に知っているのかということを。つまり、出版社とテレビがグルになってしまえば私たちに情報はなく、気づかないうちに法律が成立してしまうのだ。

 よしんば誰かが情報に直接アクセスして、声を大にして言ったとしても誰が気にするわけでもない。そういった国なのだ、日本というのは。

 ここまで言えば私の妹がなぜ死んだのかわかるだろう。私の妹は国を転覆させるための集会にいっていた。そして、全員が集まったところで、全員のナノマシンが爆発したのだ。

 もう日本という国は、一部の議員の判断で動いている。こうして書いている私もいつ死ぬのかわからない。この文章は、国への反乱と取られかねないのだ。私が生きているうちに国民が目を覚ますことを願っている。

 2203年4月1日

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