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Re:Birth (verse)  作者: RPM
1/1

Pilot

不気味なほど鮮やかな草原が続いている。

時折吹く風に揺られ、草のこすれ合う音。

一見爽やかな地上の上には、星すらない暗闇が広がっていた。


「…『守護者たち』の発表によりますと、本日11時には区画D-12の掃討が完了します。依然、周辺区画にはディランの出現が予想され…」 

ラジオから淡々としたニュースが流れている。


「D-12…か。近いな」

低く、無機質な声。


黒いパーカーのフードが、辺りを見回すようにゆっくりと動いた。

その奥で、わずかに紫色の光が輝いていた。


―――――――――――――――――――――


装飾のない無機質な部屋。

机の上には、毒々しい蛍光を放つ試験管の数々が整然と並んでいる。


壁際には、節足動物とも人型ともつかない異形のホログラムが、青白く、不気味な拍動を繰り返していた。

走査線が時折、砂嵐のようなノイズを走らせ、その輪郭を歪ませる。


「これが、例の新種……ですか」

白衣を着た男が、隣に立つ女に声をかける。

彼女もまた、しわひとつない白衣を隙なく着こなし、冷ややかな視線を手元の資料へと向けていた。


「次から次へと新しいディランが出てくる……。本当に我々人類は、この世界に足を踏み入れてよかったんでしょうか…?」


…女は答えない。

ただ、手元の資料に一通り目を通したあと、ペンを置いた。


おもむろに立ち上がり、ホログラムへと近づく。

異形の輪郭を、感情の読めない目でゆっくりと追った。


しばらくして、小さく、独り言のように呟いた。

「……思ったより、早いわね」


男には、彼女が何を言っているのか分からなかった。

聞き返そうとしたが、彼女はすでに踵を返していた。


無機質な蛍光灯の光が、二人の影を実験室の床へ長く、鋭く引きずっている。


―――――――――――――――――――――


「新たな生体反応、10時の方向!」


この世のものとは思えない、甲高い鳴き声を上げて、黒い生命体(ディラン)が暗闇の幕を食い破るように躍り出た。


節足動物のような多脚が、鮮やかな草原を無残に抉り、タールのような黒い体液を撒き散らす。


その液体が地面に触れた瞬間、不気味な紫雲が湧き上がり、鼻を突くような焦げ臭い異臭が辺りに充満した。


「うわああああっ! 溶ける、俺の脚が……!」

黒い体液を浴びた兵士の悲鳴が、虚空に響き渡った。

装甲も、軍靴も、その下の肉も、その体液は等しく溶かしていく。


「くそっ! こいつら、撃っても撃っても湧いてきやがる……!」

一人の兵士が、叫びながら銃を乱射する。

マズルフラッシュが暗闇を断続的に照らし出すが、放たれた弾丸は黒い霧のようなディランの体に吸い込まれ、泥を撃つような手応えのない音を立てるだけだった。


「至急D-12に応援を!」

別の兵士が無線に向かって、喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。


だが、返ってきたのは、救いようのない静寂と砂嵐のようなノイズだけだった。


喧騒が、嘘のように引いていく。

一人の兵士が、震える指を引き金から離した。

――ディランが、動きを止めている。


殺意の塊だった黒い複眼が、兵士たちではなく、その背後の「闇」を射抜いていた。


兵士がおそるおそる振り返る。

鮮やかな緑の海、その境界線。

星のない暗闇を背負って、それは静かに佇んでいた。


ディランではない。

だが、人とも断じがたい。


輪郭さえ曖昧なその「影」の奥――


機械的な紫光が、一度だけ、脈打つように鋭く瞬いた。

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