ノブの過去
「俺は……三兄弟の末っ子だった。
兄二人は勉強がすごくできて、県内でもトップの方の公立高校に進んで、一人は国公立の大学、もう一人も有名私大に進んだ。俺は勉強ができなくて県内でも中間くらいの高校に行ってあまり有名でもないような私立大学に行った。親は別に学歴がどうこういうタイプじゃなかったけど、親戚の集まりとかがあるとどこからともなく『お兄ちゃん達はすごい』みたいな話し声が聞こえてくる。必死に頑張ったかと聞かれたら今の俺ならもっとできたと答えるだろうけど、当時の俺はどう頑張っても結果がでなくて追い詰められてた。
兄二人も別に大学がどこでもやりたいことを見つけて頑張れるなら良いだろって言ってくれてた。
でも、やりたい事なんてなかった。
俺はただ、流されてただけだった。
皆が高校に行くからどこでも良いから入れる高校を探して、大学に行っといた方が就職できるからと教師に言われて大学を受験して、大学の友達が遊んでたから遊んで。
いざ、就職ってなったら俺は空っぽだった。
何かを志してもなく、何かを成した訳でもなく、何かに必死に取り組んだ訳でもなかった。
自分が何者で何をしたい人間なのかも…わからなかった。面接で毎回のように『あなたの長所はなんですか?』『あなたが胸を張って頑張れたと言える事はなんですか?』と聞かれるたびに取り繕った答えをいう自分に呆れてた。
そんな俺を採用してくれる所なんてなくて、単位がとれてたから大学も卒業ってなって無職のまま社会にでた。
バイトしながら就職活動やり直したけど、そもそもなんで上手く行かなかったのかわかってない俺は同じように就活に失敗し続けた。
テレビとかでさ労働力不足が申告で外国人を雇ってるなんて話がでるたびに『じゃあ何で俺は雇って貰えないんだよ』ってムカついた。
そうやって上手く行かないまま何年も過ごしてると大学生バイトとかからおっさん扱いされるようになったり、年下の上司、店長ができるようになって。
就活上手く行かないだけで社会不適合者扱いされる事もあった。そんなある日、以前に面接して結構上手く話せたけど枠が埋まってしまったからと断られた会社が『正社員急募!』っ張り紙してたから電話したら馬鹿にしたように言われたんだ。『うちが欲しいのはあんたみたいな使えそうにない奴じゃないから。』って。
俺は言い返せもせずに電話をきって、何もかも嫌になって近くにあった服とかを結んでヒモみたいにして……首に巻いて……首を吊った。
苦しくてバタバタしてたら部屋のドアが開いて親が駆け込んで来るのが見えて、そこで…意識がとんだ。
気がつくと病院で警察とかも来てて、何で自殺しようとしたのかを聞かれて、何も考えられないままにあった事を話してた。母親から強烈なビンタくらっても痛みも感じなかった。もうそのまま殺してくれないかと思った。
何をしても上手くできないなら……これ以上つらい思いをしないように何も考えられなくなりたかった。
結局、父親から『お前はなにもしなくて良い、自分が楽しいと思うことだけしてろ。』と言われて部屋の中でゲームしたりマンガ読んだりして外に行かなくなった。
そこから引きこもりになった。」
ノブは自分の話をしながら涙を浮かべていた。




