表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Reトライ  作者: Making Connection


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

Reトライ

弘道館とは、江戸時代の近江彦根藩の藩校(武士の子供が通う学校のようなもの)の事である。

藩校とそのまま呼ぶ藩もあれば独自の名前をつけて呼ぶ藩もあった。彦根藩では第11代藩主井伊直中(井伊直弼の父親)が藩校を作り、第12第藩主・直亮(直弼の兄・養父)が西洋学も学べるように改革した時に『弘道館』という名が付けられた。

『りりしさを きたえ育てた 弘道館』多くの若者が学び幕末を生きた男達を育てた学舎(まなびや)は人知れず、人の再挑戦を与える場へと変わっていた。



「ゆうき、今日もいけなさそう?」

お母さんの声がする。僕は答える事もできずにふとんを被った。

しばらくするとお母さんが離れていく音が聞こえた。

僕はもう長いあいだ学校に行けていない。小学校三年生の時にいじめられたのがきっかけでもう2年くらいにはなる。

家の中を動き回る事はあっても家からは出ていない。

『ひきこもり』と呼ばれる部類だ。

今でもお母さんは毎日のように学校に行けそうかを聞きに来る。

こんな状態でいる事に意味がない事もお母さんが心配してくれている事も知っているが僕には変わる勇気がない。

僕にできるのは現実から目を背けるために目をつむり続ける事だけだ。


ドンッドンッと扉を叩く音が聞こえる。

また何かの集金か親が小言を言いに来たのだろう。

俺が『ひきこもり』になったのは8ヶ月前。

大学を卒業しても就職先がなく、アルバイトをするフリーターになって4年。同じアルバイトの大学生達からはおっさん呼ばわりされパートのおばちゃん達から早く就職しなさいと言われ、年下の正社員からは見下される。就職活動をしてないわけではない。

一生懸命やっても新卒じゃないし、特別な資格を持ってるわけでもないし人付き合いが上手いわけでもない俺はことごとく『お祈りメール』を受け取り続ける生活を過ごしていた。

そんな生活が続くにつれて生きていくのが辛くなり、一度首に縄を巻いて死のうとしたが、タイミングがよかったのか悪かったのか親に見つかり一命を取り留めた。

それからはバイトも辞めて就職活動もしないで独り暮らしのアパートにひきこもるようになった。家賃や光熱費等は今のところ親が何とかしてくれているが、それもいつまで続くかわからない。

俺は現実から逃げるためにパソコンの前に座りゲームの世界へと逃亡して何とか生き残っている。


定年退職、熟年離婚と私の回りから人が消えていく。

仕事を頑張れば家族を幸せにする事ができると教えられて育った私は死に物狂いで働き子供を奨学金制度を使わずに大学を卒業させる事もできた。老後に妻と二人でのんびりしたいからと思い貯金を作るために働き続けた。しかし、仕事一筋で家庭の事を何もしてこなかった私は夫としても父親としても必要のない存在になっていた。私が定年退職したところで妻は子供を連れて出ていった。私はお酒が飲めない体質で外で飲み会をしたりもないし、気が弱く人に強く物を言う事もできないからモラハラとかもない。

ただ、家庭を省みない夫だったために離婚された。

妻に慰謝料とかを払う事もなく財産分与として金銭ではなく住宅ローンを払い終えた家と家具を渡す事を求められた。

もともと老後は駅に近いマンションを買ってそこで妻と暮らし、子供に家をあげようと思っていたから私は住む所にも生活にも問題はなかった。妻にはサプライズのつもりで言っていなかったから私は一人で最小限の荷物を持たされて安いアパートにでも移り住んでいるのだろうと妻には思われているのだろう。

私は3LDKのマンションの広いリビングで何をする事もなくただ、テレビを見ながら過ごす生活をもう半年送っている。

お金に困る事もないし食べる事もできているため、食材の買い出し以外で外に出ることもない。

私はこの歳になって『ひきこもり』になったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ