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百合ハーレムに囲まれた勇者は、正義を選ばない。〜 冒険者ギルドで死亡扱いされた私がーー~  作者: 黒木菫


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第8話 偉い人から土下座される

「すごい魔法だったな!」


仮面越しでも、ビゼンが本気で驚いているのがわかった。


『嬢ちゃん、マジですげえ!』

『エンオウのクソ野郎、ざまあみろ!』

『あのエンオウはオレもむかついてたんだよ!よくやってくれた!』


気づけば、周囲の冒険者たちが拍手と歓声で私を囲んでいた。 握手を求める手が次々と伸びてくる。思わず応じてしまい、胸の奥がじんわり熱くなった。


そして――


「よくがんばったね。ご褒美あげましょう」


アオが私の頬に手を伸ばしてくる。 その指先が妙に艶めかしい動きをしていて――


「ちょっと待て、その手つきは何!?」 どさくさ紛れに、またキスしてこようとしている!


「ふん! やめんか!」


私は思いきり頭突きをくらわせた。


「いたっ! 役に立ったでしょう? 私のお守り。」


おでこを押さえながら、アホ、いやアオが文句を言う。


「どこがよ!」


そう言い返しながらも、頭の片隅で引っかかる。

さっき、魔犬が怯んだこと。

あの一瞬の、得体の知れない魔法。


――あれ、ほんとにこいつの“スキル”かなにかか?


「あんた、ほんとに……」


そう言いかけたところで、先ほどの男が慌てた様子で声を張り上げた。


「すまなかった、お嬢さん!

まさかアンタが、ここまでの実力者だったとは……!

魔犬がなぜ暴走したのかは分からんが、アンタは命の恩人だ!」


……さっきまで、思いきり殺す気だったくせに。


抗議の声を上げようとした、その瞬間。


「このボケがァァァ!」


怒号とともに、見知らぬおっさんが猛然と突っ込んできた。


その勢いのまま、試験官のエンオウを殴り飛ばす。


「ぐわああっ!」


「ギルマス!!」


吹き飛ばされたエンオウを前に、周囲の職員たちが一斉に凍りついた。

当の本人は、完全にうろたえていた。


この人が……ギルドマスターなのか。この冒険者ギルドの最高責任者。


普通の冒険者が、そう簡単に会える相手じゃないはずだ。


――その次の瞬間だった。

ギルドマスターは来るや否や、地面に額を打ちつける。


いわゆる、マッハ土下座だった。


『ええええええ!?』周囲の冒険者やギルドの職員さんたちもうろたえて声を出す。


「申し訳ございません! アオ様!

このボケが、知らぬこととはいえ――

アオ様のお連れ様に無礼を働くなど、万死に値します!

ただちにクビにいたします!

なんでしたら、死罪を申し付けますので、どうかお許しを!」


「死刑!?」


思わず、エンオウが裏返った声を上げる。


ギルマスは答えない。

地面に額を押しつけ謝罪を繰り返す。


……いや、待て。


このアオというやつ、一体何者なんだ?

ただの変な魔法使いじゃない。

下手をすると、相当な権力者か……貴族?


「ちょっと、やめてください!」


思わず、声が出た。


ビゼンは状況を飲み込めず、立ち尽くしている。


「彼の命や職をもらっても、仕方ありません」


そのとき、静かにアオが口を開いた。


「それでは――」


一拍。それだけで、土下座しながらギルマスが凍り付いた。


まるで、目の前に巨大な化け物でも現れたかのように、ガチガチと歯を鳴らして指先が震えている。



「『誠意』を、見せてもらいましょうか?」



にっこりと、柔らかく微笑む。


「わかりました! 直ちに!」


ギルマスが、悲鳴に近い声を上げて即答しその場から駆けていった。


なにもそこまで慌てなくても。


それから間もなく――


私たちは、豪華な応接室へと通された。


どう見ても、 “普通の面会”に使われる場所ではなかった。


私たちは並んで座り、ギルドマスターを待っていた。


しばらくして、

大きな袋を三つ抱えたギルマスが入ってくる。


そして、何も言わずに――

私たち三人の前へ、一つずつ袋を置いた。


「これでチャラになるとは思っておりません。

ですが、ひとまず今回は、こちらでお許しください。

この謝罪については、必ず改めて正式な形で――」


そう言って、ギルマスは袋の口を開いた。


中にあったのは、 ぎっしりと詰め込まれた金貨だった。


「はああああ!?」


思わず、声が漏れる。


「こ、これは……」


さすがのビゼンも、言葉を失っている。


金貨なんて、そもそも滅多に見るものじゃない。

それが、この量だ。


――数年は、遊んで暮らせる。

そう断言できるほどの量だった。

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