第6話 ふいに唇をうばわれ、再試験に挑む。
そんなわけで、
ワタシは冒険者ギルドに再度登録されるため、
再試験に挑むことになった。
「再試験って、何をするの?」
アオがワタシに質問する。
「冒険者ギルドに登録される方法は、二つあるのよ」
ワタシは説明を始めた。
「ひとつは、Fランクから登録する方法。
無償労働を含む仕事を一定期間こなすことで、
ギルドが身分を保証してくれて、Eランクに昇格できる」
そこで、ワタシは言葉を切った。
「でも……」
そう言いながら、ワタシはビゼンのほうを見る。
ビゼンが静かに続けた。
「私たちダークエルフのような種族は、 この方法では、まず登録されない。
異世界人も同じだな」
ワタシはうなずき、言葉を引き継ぐ。
「もうひとつの方法は、筆記試験と実技試験を受けること。
特に重要なのが実技試験。
要は、試験官との模擬戦に勝てばいい」
一瞬、間を置いてから付け加えた。
「……もっとも、 本気で殺しに来る試験官も、たまにいるけどね」
「でも、君は一度合格したんでしょう?」
アオが首をかしげる。
「まあね。 でも今回は、うまくいくとは限らない」
そのときだった。
「アビ=キョウカ! 来い!」
ギルドの奥から、聞き覚えのある声が響いた。
ワタシは、思わず顔をしかめる。
――やっぱり。 試験官は、あの男らしい。
「じゃあ、いってくるよ」
ワタシがそう言うと、
ビゼンが少しだけ視線を逸らして言った。
「……私のために、すまない」
いやいや、そんな重たい空気出さないでほしい。
その横で、 アオが妙ににんまりしながら近づいてくる。
「アビ。お守りです」
……ん?
そう思った瞬間だった。
――ズキュウウウン。
脳内に効果音が鳴った。
確実に鳴った。
アオが、ワタシに口づけた。
しかも一瞬、舌まで入ってきた。
と、同時に心臓の奥が焼けるように熱くなる。
「なななななななななな!!?」
声にならない悲鳴が喉の奥で爆発する。
顔が一気に熱くなる。
思考が完全に停止する。
しかも、
なんだこの匂い。
めちゃくちゃいい香りがするんだけど。
……いや違う!
ワタシは何を考えているんだ!
「何をしている! 早く来い!!」
試験官の怒鳴り声が飛んできた。
ワタシは顔を真っ赤にしたまま、
半ば逃げるように試験会場である闘技場へ向かった。
あいつ……
というか、
あれのどこが「お守り」なんだ!!




