第53話 スカーレット
「あんた、この女しらないか?」
ヨクトはオアシスの酒場で、アカについて地道に聞き込みを続けていた。
「しらないなあ。」
冒険者風のグループは肩をすくめる。
なんど繰り返したやりとりだろうか。
「お兄さん。人探し?」
酒場のカウンターの女が声をかける。
オレンジ色の髪の美しい女だ。
一瞬、目を奪われるが、写真を見せる。
「ああ、あんたこの女を‥‥」
そう言いかけた時、写真と女を見比べる。
「ああああああ!見つけた。あんたがアカ様か!」
ヨクトは写真と女を見比べる。
まさにこの女である。
その瞬間。
「私はスカーレットだよ。人違いじゃないかな?」
女は人違いだと主張する。
「いやいや、瓜二つでしょう!」
「そんなことより、うちは酒場なんですよ。なんか注文してくださいよ。お兄さん!」
(う、それはそうだな)
「そうだな、じゃあ、ビールを2杯、いっぱいはアンタの分だ!」
「あの、お客さん、うちはそういう店じゃないんでこまりますが。」
スカーレットは困った顔をする。
「そういうなよ。まだ客はすくないじゃねえか。あんたがアカ様じゃないんだっていうなら、こっちも遠慮はしねえ。チップは弾むぜ!」
ヨクトはそういって、アオに分けてもらった銀貨を詰む。
「マスター、このお客さん、めいわくなんですが。」
スカーレットはマスターと呼んだ男性に不満をいう。
呼ばれたマスターはヨクトのもとにやってくるが…
「マスター、悪いちょっとばかりこのスカーレットと話がしたいんだが。」
そういって、ヨクトはマスターにも金を握らせる。
「スカーレット、いいお客さんじゃないか、ちょっとくらい相手をしてさしあげろ。」
そういうと、マスターは背中を向けて去っていく。
「やれやれ」
スカーレットはため息をついてヨクトの酒を手に取る。
「ふたりの出会いに乾杯!いただきます!」
そういって、ビールを一気に飲み干す。
「あんた、いけるじゃねえか!あんたがスカーレットでも気に入ったぜ」
「なんだ。ただのナンパだったのかい?」
「いやちがう、じゃあ、聞くが、アンタをそっくりなこの女をしらないか?」
そういって、ヨクトは再びアカの写真を見せる。
姿かたち、ボディラインまでスカーレットそのままだが。
「さあ、よくある顔じゃないかな。」
「アオ様に確認に来てらえばすぐわかることだぞ。」
「アオ?」
一瞬、スカーレットの顔がとまる。
「そうだ、アオ様だ。」
「なんだ、お前、アオの知り合いだったのか。はあああ。私のことはスカーレットとよべ。いいな。」
「なんだ、やっぱり、アンタがアカ様だったのか。」
その瞬間、
「あちいい!」
ヨクトがもっていた。ジョッキが一瞬にして蒸発して消えた。
「私のことはスカーレットとよべ。その呼び名は嫌いだ。なんだそのアカって。」
(な、なるほどこういう人か。)
「スカーレット、あんたに頼みがあるんだ。」
「断る。」
「はい?」
思わず固まるヨクト。
「アオのやつのことだ。どうせ面倒なことをいうんだろう。私はここで静かに酒場の女をやりながら、自堕落にくらしてたいんだよ。」
「いや、話だけでも。」
「じゃあ、こうしよう。私は酒場の女、スカーレットとして聞く。それでもいいか?それなら仕事として聞いてやろう。」
「それでもかまわない。」
ヨクトはスカーレットに伝えた。
仲間80名ほどをこの町につれてきたいこと。
だから、問答無用で攻撃しないでほしいと。
「たのめないか?スカーレット。」
「酒場のスカーレットは聞いてやったぞ。スカーレットには関わりないからな。」
「だったらいいってことか!」
ヨクトは目を輝かすが。
「四神、朱雀竜としては、約束はできないね。」
スカーレットは声を低くしていう。
「なんでだ!あんたに迷惑はかけない!」
「いや、そういう問題じゃない。私が忘れるかもしれない。」
スカーレットはそう言って勝手に二杯目の酒をのむ。
(かああああ!会話が通じねえ!)
(アオ様も自由な人だがこいつはもっとひでえ)
「だったら一つ、仕事をたのめるか、うまくやってくれたら考えてやる。」
スカーレットはそういって三杯目の酒をのむ。
「なんだ、オレにできることならなんでもいってくれ!」
「実はな、この町に王都から奴隷商人がやってきたようだ。」
(奴隷商人?)
そういわれていやでもカクを思い出す。
「正直、私はあの商売が嫌いだ。この町でももめ事を起こす。明日にでも消し飛ばしてやろうとおもっていた。」
そういってスカーレットは指先に炎をゆらめかせる
「お前、私の代わりにそこにいって、やつらを消してきてくれるか。もちろん場所は教える。なら私は明日休める。」
「消すというのは皆殺しにするってことか?」
ヨクトは声を落として確認する。
「私はめんどうだからそうするつもりだったが、そこはお前に任せる。」
「もうひとつ、その奴隷商人ってやつはカクってやつか?」
「それは知らんよ。」
そういって、スカーレットはつまみの枝豆を食べる。
ヨクトはうなずく。
「まあ、わかったぜ!奴隷商人って話ならこっちも用があるかもしらねえ。約束覚えててくれよな!」
ヨクトはそういうと金を払って店をでていった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
続きが気になった方は、
ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!
SNSで拡散お願いします
やる気がでます




