第46話 カジノ
前回までのあらすじ。
歓楽都市オアシスに来た、アオ、ヨクト、ビゼン。
そしてそこで出会った女ギャング、ソウ。
ビゼンは3日後の格闘大会に出場することになった。
そして、パーティーは時間つぶしと観光のためカジノを訪問する。
「お客様、そちら、外していただいてよろしいでしょうか?」
カジノの入り口で、アオの眼のバンダナが咎められる。
「わかりました。」
素直にいうことを聞く。
「う‥…」
素顔のアオに一瞬見とれる門番。
「いえ、ご協力ありがとうございます。それではお楽しみください。」
許可をもらって、カジノの中に入るアオ、ヨクト、ビゼン、ソウ。
「手荷物はあちらでお預かりします。貴重品以外はあちらにお預けください。」
係の人がカウンターを案内する。
「私はこういうところは初めてで。」
めずらしく緊張するビゼン。
「緊張しなくていいよ。私はよくくるから。」
アオが答える。
「意外ですね。」
ビゼンが驚く。
ヨクトがカウンターと話をしている。
「カジノの中では武器、魔法、スキルの類はすべて禁止されています。違反された方はコインの全額没収、即時退店、場合によっては賠償金を請求させていただきますのでよろしくお願いいたします。」
「なるほどね。」
そういわれてメンバーは素直に言うことをきく。
「あちらが更衣室となっておりますので、冒険者の方はあちらでお着換えください。衣装はレンタルとなります。」
「なるほどな。じゃ、あとでな。」
そういって、ヨクトは男子更衣室にすすむ。
残りの3人は女子更衣室へ。
◇
「オオ……」
ビゼンとアオのドレス姿をみて思わず声が出るソウ。
「あ、あまりこういうのは着慣れてなくてな‥‥。」
思わず、赤くなるビゼン。
「すごくにあっているよ。」
紺のスーツに身を包むアオ。
「なるほど。この服自体が魔力やスキルに反応するようになっているね。そういうことをすると店側はわかるわけだ。」
アオは身につけたスーツを見ながらいう。
「あんたも鑑定スキル持ちなのか?ここは更衣室だからOKだとおもうが、カジノにでると退店させられるから注意しろよな。」
ソウがアオに注意をする。
「大丈夫だよ。私にはこういうの効かないから。それに店側もルールを守るなら私もヒラでやるから。」
そういってアオは更衣室を出ようとする。
「いや、ここは魔法やスキルはご法度だからな!」
そういってソウはアオの後を追う。
◇
(これはこれは…
アオは周囲を見渡す。
(やりたい放題だね。)
アオは、眼を細める
「じゃあ、なにからやってみるかね。」
ヨクトが楽しそうに周囲を見渡す。
「あのスロットの右から二列目、手前から2つ目がいい。あれは勝てるようになってる。あのディーラーとあのディーラーはだめだ。でもあのディーラーは普通にやっている。」
アオは指さして指示する。
「そっか!アオ様がいうんならまちがいないな!」
そういってヨクトは 指定された台ヘ向かう。
(どういうことだ?カンか?)
ソウはそんなやり取りをポカンとして見ていた。
店からはクレームが入らない。
ということは何かスキルや魔法を使っているわけではないのだろう。
「じゃあ、後でね。」
アオはそういうと、自分は勝てないと言っていたディーラーの元にむかう。
◇
オービーは戸惑っていた。
ディーラー歴20数年。
自身のスキルは【カード読心】。
カードゲームに限り、相手の思考を読むことができる。
それだけはない、カードゲームに限り、魔力感知やスキル感知も研ぎ澄ませてきた。
あえて、範囲を絞ることでその能力を尖鋭化されたものにしてきたのである。
しかし、眼の前の青い髪の女。
思考が全く読めない。
しかも心の中は闇であったり、相手の頭に浮かんだカードがまったく異なる場合もある。
「フォールド(降り)」
そういうと女は下りる。
女の手はQの4カードになるようにした。
通常、負けない、勝利確定のカードである。
しかし、自分はKの4カード。
(なぜ、乗ってこない…!!)
「それはあなたのほうが強いからですよ。」
女が笑って呟く。
(ありえない!!心を読まれたのか!?)
オービーは仲間にサインを送る。
この女、何か魔法かスキルは使っていないかと。
結果は「なし」
いや、明らかに何らかのスキルは使っているはずだ。
しかし、反応がない。
証拠がない。
(なら、これならどうだ。)
女の手にロイヤル・ストレート・フラッシュを送る。
しかし、ハートのロイヤルストレートフラッシュ。
ここのルールでは手が同じなら、スペードが最強ということになっている。
自分の手札にスペードのロイヤルストレートフラッシュを揃える。
「オール」
女が全てのコインを積む。
金貨にして100枚。
ざわざわ。
観衆がざわめき立つ。
「あのねーちゃんの手、相当強いぞ。」
「おれも外ウマにのるぞ!」
外ウマ制度、ここのカジノの特徴として外ウマがある。
自分が参加していなくても、プレイヤーにかけることができるのだ。
当然、負ければ没収されるが、勝てばカジノ側から掛け金をうけとることができる。
なお、ディーラー側はそれを拒否する権利もある。
「いいでしょう。その外ウマうけましょう!」
オービーはニヤリとわらう。
勝利は確定しているのだ。
自分の手は最強のスペードのロイヤルストレートフラッシュ。
女の手はハートのロイヤルストレートフラッシュ。
マークで自分が勝つのだ。
「他に外ウマに乗る方はいませんか?」
「私の手は相当強いよ。」
女はにやりと笑う。
たしかに、そうだ。
通常なら負けるはずのない手だ。
「そうかならオレも乗ろう!」
「俺もだ!」
外ウマがどんどん詰まれる。
その額は金貨にして500枚分となった。
「それでは勝負です!レディ!あなたの手は?」
女は静かに手を広げる。
「ハートのロイヤルストレートフラッシュ。」
「「おおおおおお!」」
「「勝ったぞおお!!」」
観客に歓声があがる。
「なるほど、強い手だ!だがレディ!運が悪かったですね!私の手はこれです!スペードのロイヤルストレートフラッシュ!!私の勝ちです!!」
オービーはそう言って、自分のカードを広げる。
その瞬間、固まる。
6のワンペア。
「は?」
頭に中が真っ白になる。
自分の手はついさっきまでロイヤルストレートフラッシュだったはずだ。
しかし、目の前にあるのは6のワンペア
「「おおおおおお!すげええ!!」」
「ちょっと待てええ!お前何をした!オレの手はスペードのロイヤルストレートフラッシュだったはずだ!!」
オービーは叫ぶ。
「夢でもみたんじゃないの?」
女はにこやかにわらう。
そして、自分の肩に黒服が手をかける。
「おい、ちょっとこい。」
オービーは黒服に引きずられていった。
「おい!アオ、すごいじゃないか!」
ソウは大はしゃぎする。
「向こうがなんでもありみたいだからね。」
「でもスキルは禁止だろ。」
「向こうはずっと使ってるよ。」
「なんでわかるんだ?」
ソウはアオにきく。
「私にはわかるんだよ。じゃあ、次はあちらのルーレットに行こうか。」
アオはそういってルーレットにむかう。
ソウは訳がわからないまま、アオを追った。
そして、黒服たちもアオのあとをひそかに追う。
◇
アオがルーレットの席に近づく。
ディーラーに緊急で通信がはいる。
「あの青い髪の女に気をつけろ。」
1人の女の周りに遠巻きに黒服があつまっている。
「ちょっとあんた、大丈夫か。なにかやってたらただでは済まないぞ。」
ソウが丸聞こえの耳打ちをする。
さらに後ろでダークエルフの女が黙ってみている。
「大丈夫だよ。」
青い髪の女はそう言って、コインを集める。
その枚数200枚。
金貨にして200枚分。
「一発で決めよう。00(ダブルゼロ)に一点掛け。」
ディーラーに戦慄が走る。
(なんだと)
ざわざわ。
「勝てば36倍だぞ。」
「いくらだ、7200枚だぞ」
「おれも、姉ちゃんにのるか。」
何人かの客も00にかける。
黒服たちがディーラーに目配せする。
黒服たちもこの女に解析スキルやスキル妨害をしているはずだ。
ディーラーも女に解析スキルをかける。
しかし、なんの反応もない。
ここは負けるわけにはいかない。
ディーラーは意を決してルーレットをまわし、球を投げる。
ディーラーはスキルを発動する。
【確率操作ピンポイント回避】
ルーレットでしか使えないスキルだ。
入ってほしくない番号にだけピンポイントで発動できる。
確率操作は本来は伝説級の上位スキルだ。
特定の数に入れるなんてことは神の業だ。
人ができることではない。
しかし、特定の番号にだけ入る確率をゼロにできる。
ディーラーは20年にも及ぶ訓練で身に着けたのだ。
よって、00に入ることはありえない。
はずだった…
ルーレットが回る。
ボールが流れる。
そして、出た目は
00
「そんな!」
ディーラーは目を疑う。
「「おおおおおおおおおおお!」」
歓声が津波のように起こる。
気がつけば人だかりだった。
コイン7200枚。
金貨7200枚分圧倒的勝利。
当のアオは涼しい顔をしていた。
「お客様、少々、よろしいでしょうか。私ここの支配人のバカラと申します。すいませんが少々、お時間いただけませんでしょうか。」
「ここでじゃだめなの?」
「ええ、大変申し訳ございませんが。」
「アオ、お前大丈夫か。」
ソウが心配そうにアオのドレスの袖をつまむ。
「大丈夫だよ。じゃあ、ビゼン、ソウ、ヨクトいこうか?」
アオが周りを見回すと、ヨクトの姿はなかった。
いや、いた。
アオに教えてもらったスロットの勝ち分をカードゲームですべて溶かして白くなっていた。
「ごめん、負けちまったよ‥‥」
「ほら、頑張っといで」
アオはそういうとコイン数百枚をヨクトに渡した。
「まじか!ありがとう!」
そういうとヨクトはまたテーブルにもどっていった。
「お客様、よろしいでしょうか。」
しつこく黒服が急かす。
「わかったよ、いこうか。」
アオとビゼンのソウの三人は控え室につれていかれたのだった。
ざわざわざわ。
観客たちは心配そうにその様子をみていた。
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