第42話 歓楽都市オアシス
前回までのあらすじ――
奴隷商人カクを追い、歓楽都市オアシスへ向かったヨクト、ビゼン、アオの三人。
オアシスは朱雀竜アカが守護する無法都市だ。軍隊が近づけば問答無用で焼き払われるため、革命軍すら手が出せない。三人の目的はカクの確保、そしてアカとの接触だ。
到着早々ギャングに襲撃されるが一蹴。その場に現れた女ギャング、ソウの案内で酒場へと向かった。
歓楽都市オアシス、とある酒場ーー
「ここはオレのチームの縄張りだ。ここならオレがいる限り安全だ。」
ショートカットのバンダナの若い女ギャングにより、アオ、ビゼン、ヨクトは店の目立たない場所に案内される。
「オレは、ソウってもんだ。あんたらは?ここになにしに来た。」
ヨクトとビゼンは眼で合図をする。
「オレはヨクト、こっちはビゼン、そして・・・」
ヨクトは声を潜める。
「こちらはアオ様といって、とある高貴な生まれのかただ。俺達はこの方の護衛だ。」
「なるほど。貴族様の護衛か。それならあの強さも納得だ。」
「ちょっとヨクト。」
アオが不満の声を上げるが。
「アオ様、ここは私たちにおまかせを。」
ビゼンもヨクトのサポートをする。
「はいはい、じゃあ、注文いいですか。ウェイトレスさん!」
アオは酒を注文しだす。
(マイペースだな。貴族というのはどうやら本当か。)
(しかし、眼に包帯らしきものをまいているが、盲目には全くみえねえ。どうなってんだ?)
ソウはアオを見てそう思った。
そんなソウの疑問を遮るようにビゼンが質問する。
「早速本題だが、私たちは人探しにここにきた。一人は王都で奴隷商人をしていたカクという男だ。ここに来てないだろうか。もう一人は…」
「もう一人は?」
ソウが聞き直す。
「いや、説明がむずかしい。まずはカクという男だ。」
「人探しか。正直難しいな。この街にはいろんなやつがくる。商人、観光客。しかし、方法がないわけじゃない。」
「というと?」
ヨクトが出された酒を飲みながら聞く。
「できるだけ大きなチームに入ることだな。そうすれば、入ってくる情報も多くなる。」
ソウがヨクトに答える。
「この街には格闘場があってね。そこでは冒険者や戦士達、魔道士たちが戦っているのさ。そこで勝ち進んでいけば、各チームのスカウトの目に留まる。」
ソウは大きく手を広げる。
「そうすりゃ、大きなチームにも入れるってわけさ。」
「なるほどな。」
ビゼンは腕を組み一考する。
「しかし、それでお前に何の得がある?」
ソウは指を立て答える。
「たしかにうちのチームに入ってくれれば、うちにとってはそれが一番だ。しかし、どこかのよそのチームに入った場合も、補償金として、うちのチームにもオレにも分前がもらえるってわけよ。」
「なるほど、よくできているな。」
ヨクトが感心する。
「では、もうひとつだ。このひとをみたことがないか。」
ビゼンが一枚の人物の絵をソウにみせる。
「なにこれ?おそろしく精密にかかれてるじゃねえか。こんな絵はみたことがねえぞ。」
「それはね、絵じゃなくて『写真』という異世界の魔法なんだ。」
アオはそう言って、白紙の紙に『写真』を焼き付ける。
なんとそこには赤髪の美女のあられもない写真が現れる。
「え?」
「は?」
思わず声をあげるヨクトとソウ、
「アオ様!なにを!」
慌てて回収するビゼン。
「どうもあいつ、全裸とか下着のイメージが強くてね。いいじゃないか、減るもんじゃなし。」
「だめです!」
ビゼンはそういと写真を焼き捨てる。
「ちゃんと服をきたのにしてください!」
「しょうがないなあ。」
そういうとアオは再び写真を印刷する。
黄色のシャツにラフなパンツ。
しかし、赤毛の美女。
「もう一度聞くが。この方をみたことがないか?」
冷静さをよそおいつつビゼンが確認する。
「いや、こんな美人なら噂になってそうなもんだが、おもいだせない。」
「やっぱりね。」
アオがつぶやく、
「この子は【忘却の術】をたぶん使ってるんだよ。この子の顔はみても直ぐ忘れる。」
「アオ様でも解除できないのですか?」
ビゼンが写真を見ながら尋ねる。
「記憶を消すとかなら解除できるけどね、そもそも顔を覚えられないようにする術だからね。みんな、それぞれ写真をもっててよ。でないと顔を見てもきづけないかもしれない。」
そういうとアオは三人に写真をもたせる。
「じゃあ、その格闘大会とやらに出場してみるか。」
ビゼンが写真を懐にしまいながらいう。
すると、男たちが周りをかこっているのにきづく。
「おう、ソウ、なかなかやりそうな冒険者たちをみつけたじゃねえか。まずは俺達に報告しねえとな。」
男はソウの胸ぐらをつかむ。
「うるせえ、こいつらはオレが見つけたんだぞ!」
「おいおい、そういうなよ。俺達はチームじゃねえかよ。おめえのものはおれらのものだ。」
「おいあんた、離してやれよ。こいつが最初に俺達に話しかけてくれたんだ。」
ヨクトが止める。
「おいおい、これは俺達のチームの問題だ。よそ者は引っ込んでいてもらおうか。」
男はさらにソウを締め上げる。
「クソ」
ソウは苦しそうに呻く。
「おい、貴様、今直ぐ離せ。真っ二つにされたくなければな 。」
「なんだと、コ…!?」
男がそういうより早くビゼンの薙刀が閃き、肩口から真っ二つにする。
男は体を左右に切り裂かれ崩れ落ちる。
「うわあああああ!」
店に悲鳴が響きわたる
「おい、なにもそこまで!」
ヨクトがそう言おうとした瞬間。
「え?」
床には気絶した男が横たわっていた。
ビゼンは薙刀すら抜いていない。
「なんだ、いま確かに真っ二つにしたような…!?」
見物客が固まる。
「ヨクト、お前の【豪傑覇気】を参考にさせてもらった。名付けて【幻影覇斬】。こんなやつ剣を振るうまでもない。」
「すげーなアンタ!こんな術見たことないぞ!アンタたちならティア5にチャレンジできるかもしれねえ!」
ソウが興奮してビゼンを見つめる。
「なんだそのティア5というのは?」
倒れている男を見つめながらビゼンが聞く。
「闘技場のデビュー戦はチーム勝ち抜き戦なんだ。ただ今まで5戦目まで行けたチームはいねえ!あんたらならいけるんじゃないか!」
ソウは両手でガッツポーズをしながビゼンを見つめる。
「じゃあ、早速闘技場とやらに行ってみようか。」
ビゼン、ヨクト、アオ、そしてソウは倒れている男を無視して闘技場に向かった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
続きが気になった方は、
ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!
SNSで拡散お願いします
やる気がでます




