表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私、やる気のない裏ボスと世直しの旅  作者: 黒木菫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

第4話 こいつ見えてるだろ。

町に向かって、歩きはじめた。


ワタシの装備は、来た時と変わらない。

最低限の防具と、使い慣れた武器だけ。


一方のアオは、いかにも魔法使いらしい装いだった。

長衣に杖。

そして、相変わらず両目は包帯のような布で覆われている。


それでも――

周囲の様子を、すべて把握しているような振る舞いだった。


たぶん、本当に見えている。


家の中もきちんと整えられていたし、

青い髪も乱れひとつなかった。

盲目の人の動きではない。


歩きながら、ワタシは興味本位で尋ねてみた。


「それ、どういうスキルなの?」


「フフフ。言ったでしょう。

これはファッションみたいなものだよ。

スキルなんてものじゃない」


軽く、はぐらかされる。


――まあ、そうだよね。

スキルなんて、仲間になったからといって

簡単に明かすものじゃない。


弱点が分かれば、死につながることもある。


とはいえ、

ワタシのスキルは、バレても困らないけど。


道中、ワタシは周囲を注意深く見回しながら進んだ。

木の根元や倒木の陰。

食べられそうなキノコや、木の実がないか探す。


「さっきから、ずいぶんキョロキョロしてるね。」


絶対、見えてるでしょ、この人。


「食べ物がないでしょう。

だから、少しでも食べられるものがあればと思って」


「なるほど」


本当に、他人事みたいな返事だった。

キノコはいくつか見つかったが、食べられる確信がもてるものはなかった。

食べられるかどうかなんて、分からないものだ。

半ばあきらめかけた、その時だった。


――前方から、ざわつく気配が伝わってくる。


正直に言えば、

できれば、やり過ごしたかった。


だが、アオが先に口を開いた。


「……前で、人が争っている。

相手は、ゴブリンの群れだね」


「え?そんなの、分かるの?」


かなり距離はある。

ワタシには、かすかな気配しか感じられない。


「私は魔力と、人の気の流れを見ているだけだよ。」


魔力感知。

そういうスキルがある、という話は聞いたことがある。


この人は、それで見ているのか。


人が戦っていると聞いてしまった以上、

無視するわけにはいかなかった。


考えるよりも先に、体が動く。


ワタシは、戦場に向かって駆け出していた。


そこにいたのは一人の女戦士と数名のゴブリン。


いや戦っているという表現はおかしいかもしれない。


全身、漆黒の肌。


美しい黒髪の、ダークエルフの女戦士だった。


彼女は薙刀を、小枝でも振るうように扱っている。


一振りごとに、ゴブリンが吹き飛んだ。


これは助っ人などいらなかったか。


そう思ったとき、数体のゴブリンが弓で彼女を狙っていた。


やばい。


ワタシは数少ない使える魔法をゴブリンめがけてはなつ。



『シルフよ、来て。突風波!』



風が弾けた。


前方から吹き荒れた突風が、ゴブリンの体勢を崩し、


放たれた矢は、狙いを外れて森の奥へと流されていく。


「ウワアアア!」ゴブリンが叫び声をあげる。


ゴブリンってしゃべれたのか。


いや、関心している場合じゃない。


ワタシも、ゴブリンに向かって踏み出そうとした。


「イカン引クゾ!」


叫び声を残して、ゴブリンたちは森へ散っていった。


静寂が戻る。


ワタシは、薙刀の女戦士を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ