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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
桃園血盟~後宮~編

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第36話 桃園

ワタシの意識が闇から覚醒する。


体に痛みはない。


しかし、視界の半分がかけていることが、アレが悪夢ではなかったことを思い出させてくれる。


自分の両腕をみる。


忌まわしい刻印が刻まれている。


しかし、それ以外はすこぶる気分がいい。


ここはどこだ。


ワタシは何処かのテントの床に寝かされていた。


起き上がってテントの外にでる。


美しい桃の花が咲いている場所だった。


「アビ!気がついたのか!」


ビゼンがワタシの顔をみるや抱きついてきた。


「よかった。ほんとうによかった。」


「ごめん、心配かけて。」


ワタシも彼女を優しくつつむ。


「すまん。助けに行けなくて本当に申し訳なかった!」


ヨクトが跪いて謝罪し、うしろの革命軍の兵たちが一斉に跪く。


「やめてよ!こっちこそあなた達も巻き込んだんだから。」


そして、アオ。


「おかえり。」


彼女はやさしく微笑む。


「ただいま、来てくれたね。ちょっとだけ覚えてるよ。」


「体はどうだ?痛みは?」


ビゼンがワタシを気遣ってくれる。


「不思議なほどなんともない、アオ、あなたが治してくれたんでしょ。」


ワタシがアオをみる。


「そうよ、といいたいところだったんだけどね。治したのは私じゃないのよ。それはおいおい。」


ん?どういうことだろう。


「さっそくだけど、今後のことをいろいろ話したい。」


私はみんなに声をかける。


「私もアビに話がある。」


ビゼンも頷く。


「オレも話がある、リョーカも先日話したとおりでいいな。」


ヨクトも革命軍のメンバーに声をかけ、リョーカさんも頷く。


「その前に一つ聞きたいことがある。」


「なんだ?」ヨクトが腕を組む。


「そのリョーカさんの後ろにいる。四本腕のゴツい魔人はなに?どう見ても人間にみえないけど。」


ワタシはリョーカさんの後ろに控える見覚えのない謎のデカい魔人を指差す。


「えーっとですね、これは…」


会議の前に、リョーカさんの苦労話を聞くことになった。





桃園の下、ビゼンが切り出す


「アビ聞いてくれ。」


そう言うや否や、彼女は腰に下げていた短刀を抜いた。


そして、自分の長く美しい髪を切り落とした。


「ちょ、あなたなにやってんの!?」


ワタシは意味がわからず声を出す。


「ワタシ達、ダークエルフにとっては体の一部を捧げることは、その相手に生涯の忠誠を誓うことだ。」


「は?」


思わず声にでる。


「私は今後、あなたに忠誠誓う。あなたはそれほどのことをしてくれた。今後、私はあなたの剣になる。」


そういって、彼女は私に跪く。


切り落とされた髪が、桃の花びらと一緒に風に舞った。


「ちょっとやめてよ!」


ワタシは慌てて彼女の手を取り、立たせる。


そして、ヨクトが口を開く。


「いや、実はオレも考えた。オレは革命軍を抜ける。アビ、オレもお前の下につく。」


「はああああああ!いやいやいや、あんた革命軍はどうすんのよ!」


なにを言い出すんだコイツは。


「ビゼンとアオから聞いた。俺達を守るためにお前は身を呈してコウロのやつとやりあってくれたと、俺達はお前に報いなければならん。」


「いや、だからって…!?」


そこまでいって気がつく。


コイツいま「俺達」といわなかったか?


「俺達、ここにいる70人は今後、お前の下につく。安心しろ、俺達はもともと義勇兵だ。自分の飯くらいなんとかする。」


「ちょ…!?」


「では、私が四神、青竜の名のもとに立会人となりましょう!」


いつの間にか隣に立っていたアオが満面の笑みで言った。


いつになく神様風を吹かしている。


「話を勝手にすすめるなあああ!」


私は思わず、アオの頭をハリセンではたく!


「いつから、そんなものを!」


「こんなこともあろうかと用意していたのよ!」


アオに再びツッコミを入れる。


「いえ、我々は決めました!」


リョーカさんもヨクトに同意する。


「いや、リョーカさんまで…」


「私のことはリョーカとお呼びください。敬称など不要です。」


「じゃあ、リョーカ。それに、ビゼン、ヨクト、正直、あなた達の気持ちは嬉しいし、アンタは仲間だとおもってるよ。でも、急に70人の集団のリーダーだといわれてもこころの準備が…‥」


「たしかに、それはそうだな。」


ヨクトが一考する。


わかってくれてうれしい。


「よし、じゃあこうしよう!オレは今日からあんたら二人を義姉と呼ぶことにする!」


わかってなかったああああ!


「いやいやいや、ビゼンはともかく、どうみてもアンタの方が私より年上でしょう!」


私は抗議の声をあげる。


「よし!私も乗ったぞ!ヨクト!私も今後、アビのことを姉上とよぼう!」


「ビゼン!!あなた、私の数倍は生きてるでしょう。」


真面目な顔してなにをいってんの!この人!


「姉貴!女性に年齢のことをいうのは失礼だぞ!」


ヨクトがのっかる。


「ククククク!」


笑えてきた。


桃の花びらが、また一枚、風に舞った。


「わかった!では妹、弟よ!今後私のこと姉と敬い!忠義を尽くすように!」


そういった瞬間、私の【翻訳者】が反応する。




魔勇者ダーク・ブレイブヒロイン】思いを受け継いだものの力を一部得る。




これはどういうこと?


いや、勇者はまだわかる。


ダーク?ってなに?


「どうした?アビ?急にポカンとして。」


ヨクトが声をかける。


「いやなんでもない。」




みてろよ、コウロ、チュウエイ!


あんたたちの好きにはさせないんだから。


私は遠くの方に目をやった。


桃の花びらが、心地よい風に揺れていた。


ワタシたちの周りで、静かに、舞い続けていた。





「どうすればいいんだあああ!」


コウロが叫び、頭をかかえ、歩き回る。


コウロの前にチュウエイ、ロフとレツオウが控える。


「レツオウ!お前はどこにいっておった!」


コウロがワイングラスをレツオウに向かって投げつけ、額にあたる。


赤いものがレツオウの額から垂れる。


「閣下、申し訳ございません。この罪、万死に値します。」


「なら、今直ぐ死ね!というか、お前が死んだところでどうにかなるか!ハア、ハア」


コウロは肩で息をする。


「青竜と究姫キュウキ二柱ふたりに命を狙われる可能性があるのだぞ!」


コウロは再び壁に向かって嘆く。


幸い、究姫はいずこかに消えた。


「あああ、余がダークエルフをさらったなどと知られたら、どうなるかわからん。だいたい、カクだ、カクのやつが悪いのだ!」


そして、コウロははっと気がつく。


「そうだ、チュウエイ!ロフ!貴様ら、カクをいや、カクの屋敷を焼き払え!」


「御意。して、罪状は如何様に。」


チュウエイが静かに尋ねる。


「そんなものなんでもいいわ!ただし、皆殺しにしろ!使用人の一人もいかすな、食客も全員だ!」


「閣下、それは・・・」


レツオウが諫言する。


「だったら、貴様、究姫と青竜のクビをとってこい!お前の娘が可愛ければそれくらいやれ!」


「……!!」


レツオウは拳を握りしめる。


「あとは華姫のかわりを探さねば。またしても宦官に借りをつくるのか。」


コウロは一人ブツブツと続ける。


「なにをしている貴様ら!下がれ目障りだ!」


「御意」


3人はコウロの謁見の間を離れる。


その後もコウロは一人でブツブツいっていた。




「チュウエイ、コウロの言う通り 、カクとその屋敷の連中をころすのか。」


ロフが歩きながらチュウエイに確認する。


「カクはまだ将来使えるかもしれん。まずは使いをやって、襲撃すると教えてやる。」


「その後、俺達でやつを匿うのか?」


「そこまでする義理はない。ただ、潜伏先をオレだけには教えておくようにいうさ。いずれ、機会をあたえてやると言ってな。」


「コウロはそれでなっとくするか?」


「もう、やつは正常な判断はできんさ。」


チュウエイはほくそ笑む。


「ロフよ。オレの、いや、オレ達の時代がいよいよくるぞ。クハハハ。」


チュウエイとロフの足音が遠ざかる。





王都、ショウ=エンの館




「アマン、勘弁しろ。また兄上から苦情がきたぞ。」


貴族風の身なりのよいおとこがアマンに告げる。


「ハハハハ、すまない。いつも貴様には苦労をかける。」


アマンもショウの前では一人の若者に戻る。


「だいたいの話は聞いたが、直接貴様の口から聞きたくてな。」


そういって、ショウは酒の入ったグラスを口にする。


「にわかに信じがたい、四神の青竜と四凶の究姫キュウキが同席し、なんとかという女のために動いて、あの悪魔、華姫カキを倒したとか聞いたが。」


ショウは大きなリアクションを取りながら聞く。


「ああ、さすがのオレも四神と四凶に同時にお目にかかれるとは思わなかったぞ。」


アマンは面白そうにこたえる。


「して、我が兄上はどうなる?そんな神々に睨まれてなんとかなるのか。」


「さあな。アレはオレ如きにどうにもならんよ。」


アマンが肩を竦める。


「それほどか。」


「あの華姫がなにもできずに消されたんぞ。文字通り、塵一つ残さずに。貴様にも見せてやりたかったぞ。ククク」


アマンはいたずら小僧のように笑う。


「笑い事か。」


「いや、失礼、貴様の兄上は失禁までしていてな。つい思い出してしまった。」


「そういうな。アレでも我が兄だ。なんとかできるものならしてやりたい。そのなんとかという女を黙らせないか。」


ショウは身を乗り出す。


「馬鹿をいうな。命がいくつあってもたりん。それに・・・」


アマンは足を組み直す。


ショウの前でそんな態度をとるのはコウロ以外に彼しかいない。


「オレはアビを気に入った。少なくとも貴様の兄上よりはな。」


「本気か、もはや刻印持ちの女だろう。」


「彼女はいずれ、大きな味方になるか、そうでなければ大きな敵になる。後者でないことを祈るがね。」


「では、話題を変えよう、我が兄はどう出るとおもう?」


「さっそく動いていたな。奴隷商人カクの屋敷が全焼した。カク自身は行方不明だ。」


「なに?あの奴隷商人か?」


「ああ、あの後、直ぐだったよ。ダークエルフの奴隷にかかわったものは証拠隠滅だな。」


「そうか。」


ショウは一言つぶやく。


「兄上が、他に証拠隠滅しそうなやつはいないか。」


「正直いって、ありすぎて、追えん。」


アマンは冗談めかして両手を上げる。


「真面目に聞いている。」


「では真面目に答えるが、アビと協力しろ。」


「ばかな。刻印持ちにか、ありえん。」


「いい話だと思うがな、四神に気に入られた女だぞ。彼女と協力することは青竜の加護を得るに等しい。それに・・・。」


アマンが燃えるような瞳でショウを諭す


「彼女はなにも間違ってはいない。」


「フン……。それについては保留とする。華姫が消え、まもなく我らに”英雄リョウコ”殿が味方するそうなれば、形勢は我が陣営に有利になるだろう。」


ショウは立ち上がり演説めいた手振りをした。


(英雄リョウコか。)


アマンは内心でその名を反芻した。


(勇者であり革命家ヨウトの元妻。高齢の老婆が今更どう動くというのだ。)


アマンはショウの演説を笑うように聞いた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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