第34話 コウロと対決する
ヨクトとレツオウの戦いはまるで龍虎の戦いだった。
「おまえ、マジでなにもんだ。」
ヨクトが肩で息をしながらレツオウに話かける。
「貴様こそ。ここまでオレと戦えたやつはお前がはじめてだ。なぜおまえのようなやつが反乱軍をしている。」
そのとき……
「隊長、警備隊が来る!そろそろだ!」
「というわけで、レツオウとやら、貴様との戦いは預ける。」
そういうや否や、ヨクトは駆けていった。
「レツオウ様、やつを追わなくてよいので?」
「それより被害の状況をしらべろ!オレはコウロ閣下のもとへ行く」
「ハッ!」
レツオウの配下はレツオウの指示のもと規律をもって動き出す。
(反乱軍め、一体何が目的なのだ。)
レツオウはヨクトが走り去った方向をみながら一人考え込んだ。
◇
アマンはコウロ邸へ急いでいた。
革命軍がコウロ邸を襲撃したらしい。
(なぜ、今?)
「どうにも嫌な予感がする。」
あのアビという女とビゼンという女、
もしや革命軍とつながっていたか。
嫌いではなかった。
「コウロごときに殺させるわけにはいかん。」
アマンはコウロ邸にいそぐ。
◇
「ちょっとロフ君、こまるなあ。ちゃんと仕事をしてくれないと。」
華姫は空中に浮かんだまま告げる。
(しかし、あいつも戻ってきたのか 。クソ。)
「ガキは離してやれ!」
ロフが華姫につげる。
(ロフ、こいつは、まじにわからないな。)
「うっせええんだよ!おめえがちゃんと仕事しねえからこうなるんじゃねえかあ!」
華姫が顔をゆがめてロフを恫喝する。
「なんちゃって!」
悪魔はわらう。
「ほら、二人とも武器をすてて、おとなしくするんだよ。でなきゃこのお嬢ちゃんがひどい目にあうよ。」
「きゃああああ」
ダークエルフの少女が涙をながす。
クソ!これまでか。
「わかった!従う!だからその子をはなせ!」
そういうとビゼンは薙刀を手放した。
その瞬間、華姫の口元が歪んだ。
「シャアアアアア!」
華姫が疾風のようにビゼンをおそい四肢を引き裂く。
「ああああああ!」
地面に倒れふすビゼン。
「おまええ!」
ワタシが叫び声をあげるが・・・
「うごなつってんだろうがあああ!」
その瞬間、華姫が魔力を手にこめ、ダークエルフの少女に電撃がはしる。
「きゃああああ!」
くそ。
「あーごめんね。あのお姉ちゃんが悪いんだよ。あいつがおとなしくしてくれりゃあこんなことする必要ないんだけどね。」
私は大人しく従うしかなかった――
◇
ワタシとビゼンは縛り上げられ、広間に引きずり込まれた。
松明の光が揺れる。
玉座のような椅子に、貴族風の男が座っていた。
これがコウロか――
そして。
「チュウエイ……!」
その横に、あいつがいた。
奴との因縁を思い出し全身の血が、逆流する感覚がした。
刺された腹部が痛むよう。
「おまえ、アビか。まさか生きていたとはな。」
チュウエイは少し驚いたように言った。
「おかげさまでね。」
喉の奥が震えた。
「なんだ、チュウエイ、お前の知り合いか?」
コウロがつまらなそうに問う。
「いえ、昔ちょっと因縁があっただけですよ。関係ありません。」
チュウエイはこちらを見ながら言う。
「それにしても、ロフに華姫よ。ご苦労だったな。こいつが余の奴隷たちを盗もうとした連中か。」
「そうだよお。とんでもない連中だよね。で、コウロ君、こいつらはやっぱり死刑かな?だったらアタシにやらせてほしいんだけどお?」
華姫が舌なめずりをするように笑う。
「いや、待て。ロフよ、こいつらもそれなりのスキルを持っているのだろう?ならチュウエイに食わせたほうがいいのではないか?」
チュウエイに食わせる。
(どういうことだ。)
「いや、オレは詳しくは知らん。」
ロフが素っ気なく答えた。
(なぜワタシやビゼンのスキルについてとぼけるのだろうか。)
「そうか。まあ、どちらにしろわかることだ。おい、チュウエイ、やれ。」
「ハッ。」
チュウエイが剣を抜いた。
ゆっくりと、ビゼンに向かって歩いてくる。
「おい、待て!何をするつもりだ!」
ワタシは叫んだ。
チュウエイが立ち止まった。
「冥途の土産に教えてやる。」
こちらを見てニヤリとわらって言う。
「俺はな。【強奪者】という、殺した相手のスキルを奪うスキルを持っている。お前を殺したつもりだったが、死んでいなかったとはな。」
剣が持ち上げられる。
「二度も俺に殺されるとは、悪く思うなよ。これも仕事だ。」
「ビゼン!」
ワタシは思わず叫んだ!
しかし、縄が食い込んで、体が動かない。
ビゼンは無言だった。
ただ、まっすぐ、コウロをにらみつけていた。
恐怖も、命乞いも、何もなかった。
(なんて女性だ。)
そのとき、ドアの前がざわつく。
「アマン様、勝手にはいられてはこまります!」
「邪魔だ!どけ!」
炎のような赤毛の男が堂々とコウロの前にきて跪く。
しかし、その目は決して膝まずいてなどいなかった。
「閣下。お待ちを。このものたちの処分は私にお任せください。」
アマンはコウロをまっすぐに見据える。
「控えていろ!赤毛の小僧!貴様、何を考えている!」
アマンは動じなかった。
「いえ、なにも閣下の邪魔をしようというわけではありません。実は閣下の屋敷を襲撃した反乱軍とこのものたちがつながっている可能性がございます。」
アマンはこちらを見ながら続ける。
「まずは私どもが取り調べをいたしとうございます。殺すのはそのあとでも遅くはないかと。」
「ふざけるな!そんなものまってられん!今ここで殺すのだ!」
「それともう一つよろしいでしょうか!」
アマンがコウロの発言を遮る。
「なんじゃ!」
「実は反乱軍の連中は、閣下がダークエルフ誘拐犯とつながっているなどと吹聴しておりました。」
「そんなもの反乱軍の妄言にきまっておるだろう!」
「嘘だ!私たちの仲間をさらったのは貴様だ!」
ビゼンが吠え、衛兵たちに取り押さえられる。
「ふざけるな!このダークエルフが!いいだろう!貴様は殺さん!ただし、たっぷりかわいがってやるからな!」
コウロが下卑た笑いを浮かべる。
「ええ、私もそのようなことはないと信じております。しかし、こいつらがなぜそんな妄言を吐いたのか黒幕を調べなければなりません。」
アマンはコウロ相手にひかない。
「閣下も黒幕の正体が気になりませんか?」
「ぐううう。ならばこの小娘に刻印の呪いを施せ!」
「刻印・・・?まさかあの?」
ワタシは声を失った。
「そうだ。その呪いを受けたものは、苦痛とともに、国の保護をすべて失う。そして生殖能力を奪われるのだ。殺されようが犯されようが国は助けん!」
コウロはワタシに指を突きつけていう。
「閣下。このものはのちに死罪となります。なにもそこまでせずとも。」
アマンが食い下がってくれる。
「だまれえええ!それがいやなら、ここで処刑だ!」
「まて、彼女は巻き込まれただけだ!関係ない!私一人をころせ!」
ビゼンがかばってくれる。
ありがとう。
「ビゼン、アマン殿ありがとう。コウロ閣下。では、ワタシからもひとつお願いがあります。」
ワタシはまっすぐにコウロをにらみつける。
「貴様がお願いできる立場ではないがな、おもしろい。いってみろ!」
コウロが人を小ばかにしていう。
「さっきビゼンがいったようにあなたがダークエルフ誘拐犯とつながっていた場合、もしくはあなた自身が誘拐犯だったことをワタシが見つけた場合、あなたの力で、全てのダークエルフへの差別を撤廃するように約束していただけませんか?」
「アビ、お前…!」
ビゼンがこちらをみる。
ビゼンだけでない。
アマン殿もあのチュウエイやロフ、それにうしろの女すらもこちらを見て驚いている。
そして沈黙。
「クククク、ワハハハハ!馬鹿めなにをいってる!お前はどのみち処刑されるんだ!しかもそんな約束なぜ余が認めなければならん!」
「キャハハハハハ、バーカバーカ!なにいってんの!?自分の立場をかんがえろっつーの!」
華姫とコウロが大笑いをする。
やつのいうとおりかもしれない。
しかしワタシはまだあきらめない。
ワタシはくやしいがあいつの顔を思い出す。
(アオ!気づいて。あんたがいればなんとかなるでしょ!)
そう祈るワタシの心の声に答えたのは意外な相手だった。
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