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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
刻印受呪~刻印~編

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第24話 アジトにて

「ここって……」


案内された場所を見上げ、ワタシは思わず声を漏らした。


もっと地下のジメジメした空洞や、隠れ酒場の裏部屋のような場所を想像していた。


けれど、目の前にあるのは、手入れの行き届いた庭木に囲まれた、少し大きめの、どこにでもある穏やかな民家だった。


「入ってくれ。ここが、アジト。というか、見ての通り、オレの家だ」


ハクエイが扉を開け、無造作に中へと促す。


「お、お邪魔します」


戸惑いながら踏み入れた玄関は、磨き上げられた木の床が鈍く光り、微かにハーブのような清々しい香りがした。


(革命軍のアジトって、もっと物騒な場所だと思ってた……)


「ただいま。帰ったぞ」


ハクエイが挨拶する。


「はあーい。ああ、またお客さん?今日は賑やかだね」


ハクエイのぶっきらぼうな声に、奥から「はーい」と軽やかな返事が返ってきた。


パタパタと小気味よい足音が響き、廊下の角から現れたのは、柔和な笑みを浮かべたエルフの女性だった。


「紹介する。家内だ」


「え? どうも、お邪魔します」


思わず、頭を下げて普通に挨拶。


(え……Sランク冒険者が、結婚してるの?)


(しかも、エルフ?)


「なんだ。エルフが家内ならおかしいか? オレが結婚してたらおかしいのか?」


笑って突っ込まれる。


「いや、別に。ちょっと意外だったから」


ワタシは慌てて手を振る。


「ガキも二人いる。ユウ、あいつらはいるのか?」


「いや、出て行ってるよ。仕事の話をするんだろ。部屋でヨクトも待ってるよ」


ユウと呼ばれた女性が、優しくワタシたちを促す。


その時だった。 彼女が歩くたび、右足からわずかに「カチ、カチ」という硬質な機械音が響く。


ワタシは無意識に、彼女の足元に視線を落とした。


スカートの裾から覗いていたのは、精巧に作られているが、どこか古びた金属製の義足だった。


(……義足?)


「気にしないで」


ユウさんが、ワタシの視線に気づいて笑う。


「これは昔の冒険でね。呪いを受けちゃって、回復魔法でも治らなかったんだ」


「呪い……」


ビゼンが、小声で呟く。


「安心しろ。オレやヨクトの仕事も知ってる。昔は一緒にパーティーだったんだ。あのケガで、冒険者は引退したがな」


そう言いながら ハクエイが、ユウさんの手をひき、地下にある部屋に案内される。




地下の部屋に入ると、そこにヨクトがいた。


簡素なテーブルと椅子。


壁には王都の地図が貼られている。


「なんだ、ハクエイ。結局、アビたちを認めたのか」


ヨクトが、苦笑して言う。


「こいつら、奴隷市場で暴れようとしてやがってな。止めざるを得なかったよ」


ハクエイが、椅子を引いて座る。


「お前ら、またそんな無茶をしようとしたのか」


ヨクトが呆れる。


「だが、気に入ったよ。信頼してやる」


ハクエイが、階段の上に向かって声をかける。


「ユウ、お茶を頼む」


「はいはい」


ユウさんの声が返ってくる。


「で、早速だけど、ビゼンの仲間を救出する名案があるって言ってたけど、どういうこと?」 ワタシは、ハクエイに真意を聞く。


「まあ、焦るな。まずは情報をやろう」


ユウさんが、お茶を運んでくる。


エルフはダークエルフを嫌悪してると聞いてたけど、この人は仮面を取ったビゼンを見ても動揺しない。


(この夫婦は偏見がないんだな)


「いいか。ダークエルフを売りさばいていた元締めは、すでに掴んでいる。調べればすぐに分かった」


ハクエイの指が、地図の一点の屋敷を鋭く指した。


「奴隷商人のカクというやつだ」


「奴隷商人カク……」


ビゼンが、拳を握りしめる。


忌々しそうに、その名を呟く。


「実はな、奴隷の誘拐というのは、グレーゾーンではあるんだ」


「グレーゾーン?」


ワタシは、出されたお茶をいただく。


なかなか美味い。


「一応、法的には禁止ということになっているが、特に罰則がない。せいぜい、口頭注意。重くても、わずかな免罪金を払って終わりくらいのもんだ」


「めちゃくちゃね」


「だろ? だが、これが現実だ」


ハクエイが、苦い顔をする。


「だが、ビゼン。ヨクトから聞いたが、コウロ家と誘拐犯が関わりがあると思って、ここに来たそうじゃないか」


「そうだ」


ビゼンが、まっすぐハクエイを見る。


「生き残った私の仲間が言っていた。誘拐犯の中に、コウロの紋章の入った鎧を着た者がいたと」


「まあ、それだけじゃちょっと弱いな」


「なぜ?」 ワタシは腕組みして聞く。


「コウロ家は鎧の製造販売もしてるし、コウロ家に仕えていた者が、そのまま鎧を使っているなんてことはあるからな。なんせ、大公爵様だ。あの家の紋章など、王都ならどこにでもある」


「じゃあ、証拠にならないってこと?」


「そういうことだ」


ハクエイが頷く。


「それで? さっきの奴隷商人カクと、どうつながりが?」


ワタシは改めて聞く。


「さっきも言ったが、奴隷誘拐は罰則らしい罰則はない」


ハクエイが、指を立てる。


「しかしだ……奴隷商人とコウロ家が直接つながりがあるとすれば、それは政治的に問題が出てくる」


「……なるほど」


ビゼンが、理解したように頷く。


「そのつながりを暴けばいいわけか」


「なるほどね。じゃあ、その奴隷商人カクってところに忍び込むとか、そいつを捕まえるってことか」


ワタシは納得する。


「違うわ!」


ハクエイが、呆れたように笑う。


「たく、お前はそんな可愛い顔して脳筋か!」


「かっ……」


思わず顔が熱くなる。


(可愛いって……そんな場合じゃない!)


ワタシは、咳払いして気持ちを引き締める。


「じゃあ、何かいい手が?」


「警備隊の力を借りる」


「官軍の?」


今まで黙って聞いていたヨクトが、驚いて声を上げる。


「ああ。オレはSランク冒険者でもあるからな。官軍にも顔が利く」


「信頼できるのか?」


ヨクトが、不満そうに聞く。


「もちろん。相手は、オレが革命軍だとは知らねえ」


ハクエイが、自信ありげに言う。


「だがな、警備隊長のアマンという男は、仕事の信頼はできる」

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