表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
刻印受呪~刻印~編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/53

第18話 奇跡と悪魔に邂逅する

ギルドの護衛たちとは、ここで別れることにした。


革命軍と一緒にいるところを見られたら、彼らにも迷惑が及ぶ。


「迷惑かけたわね。これ、チップよ」


ワタシはギルドマスターから貰った報酬の一部を渡す。


「こ、こんなに貰っていいんですか!?」 護衛たちは目を丸くして喜んでくれた。


まあ、命がけの仕事だったしね。


幸い、護衛団には死人は出なかった。


アオが「ただの水を回復薬に変える」というふざけたスキルを持っていたおかげだ。


私の以前の傷もあれで治したのだろう。


アオが魔力を込めた水を飲むだけで、革命軍の瀕死になっていた人たちもみるみる回復した。


ワタシたちはたちまち彼らに認められた。


アオは「聖女様」と崇められ、ヨクトに傷をつけたビゼンは英雄扱い。


そして、ワタシは――。


「アビさん、あの聖典にあるという『セクシャルコマンドー』ってやつ、俺たちも教えてくれませんかね?」


「あれは事故だって言ってるでしょ!!」


革命軍の男たちから伝説の武術の使い手だと誤解をうけたようだ。


どうやら「聖典に記されし伝説の格闘術セクシャルコマンドーでヨクト隊長を倒した女戦士」という不名誉な噂が広まっているらしい。


ヨクトのアホのせいだ。


まあ、残念ながら助からなかった人もいたわけだが、残念ながらしかたない。


しかし、不思議なことに私のスキル【翻訳者】はアオにはなにも反応しない。


上位スキルでもあっても、すくなくとも通常は解析不能とでるのだが。


私自身このスキルを使いこなせていないのだろう。


革命軍の馬車の荷台。ワタシとアオが隣同士で座り、向かいにはビゼンとヨクトが座っている。


「ああ。まずは王都近くに隠れてる野営地に向かう。そこで待機して、俺たち数人だけで王都に入る」


「王都の近くに隠れてるって……バレるんじゃないの?」


当然の疑問だ。革命軍なんて、見つかったら即座に討伐対象だろう。


「アオの魔法かスキルかなんかもたいしたもんだが、俺たちの魔法使いもなかなかだぜ。隠行の結界を張ってる。遠目じゃ絶対に分からねえよ」


ヨクトが自信満々に胸を張る。


(……それ、完全にフラグじゃない?)


ワタシは不安を覚えたが、口には出さなかった。


「まあ、とりあえず休むといい。オレは仲間たちの様子を見てくる」


そう言って、ヨクトは荷台から降りていった。


たしかに。


荷台で寝苦しい状態ではあったが、ワタシは目を閉じた、すると急に眠気が襲ってきた。




「おい、あんたち、おきてくれ!」


(ん……?)


馬車で寝ていたはずなのに、頭の下に何か柔らかいものがある。


目を開けると――目の前に、アオの胸と、にこやかな笑顔。


「い?」


ワタシは変な声を上げて飛び起きた。


「あら、おはよう」 アオはいつも通りの声で挨拶する。


「ご、ごめん! いつの間にか、もたれかかってたみたいで……」


ワタシは慌てて謝罪する。


一瞬あせったが、まわりの様子がただ事ではない様子にきがつく。


遠くで火の手があがっている。


あー、いやな予感があたったか。


ヨクトが数名の仲間をつれて、馬で先行するのが見えた。


「アオ、回復薬を作っておいてお願い。私はビゼンと先に行く。」


ワタシはビゼンと馬をかり、ヨクトの後をおった。




野営地に到着した瞬間、ワタシは息を呑んだ。


そこにあったのは、地獄だった。 倒れた革命軍の兵士たち。


明らかに息絶えている者もいれば――わざと、すぐには死なない程度に手足を引きちぎられている者もいた。


「うう……あ、ああああ……」


片腕を失った兵士が、苦痛に呻いている。


「くそっ……くそおおお!」


ヨクトが歯を食いしばり、生き残った一人の戦士に駆け寄る。


ワタシも馬を降り、その男の元へ走った。


「リョーカ! しっかりしろ!」


ヨクトが叫ぶ。


リョーカ と呼ばれた男は、片腕と片足を失い、血まみれで横たわっていた。


どう見ても、助からない。


(……どうやれば、こんなことに)


ワタシは拳を握りしめる。


これは、戦いの結果じゃない。


明らかに、わざとやっている。


「ヨクト……聞いてくれ……」


リョーカが掠れた声で呟く。


「後で聞く! 今は喋るな! もうすぐ、俺たちの新しい仲間が来る。アオっていうんだ。そうすれば、こんな傷、すぐに治る……!」


ヨクトが悔しそうに、それでも希望を込めて言う。


「いや……ダメだ。オレはもう……助からない」


リョーカが力なく笑う。


「『華姫カキ』という悪魔と、『ロフ』という奴に……気をつけろ。特に華姫は……悪魔だ。人間じゃねえ。奴は俺たちの結界を見破って……襲撃してきた。仲間たちを……死なない程度にいたぶって……それで、笑いながら去っていった……か、敵わない……」


「おい、リョーカ! リョーカ!!」


ヨクトが男の肩を揺さぶる。 リョーカの残された左腕が、力なく地面に倒れた。


「くそっ……!」 ヨクトが拳で地面を叩く。


(……クソ)


ワタシも、歯を食いしばる。 その瞬間――。


後方から、眩い光が野営地全体を包み込んだ。


「――え?」


振り返ると、アオが上空に向けて魔法の光を放ち、生き残った兵士たちに次々と着弾させている。


「うおおおおおお!?」


ヨクトが叫ぶ。


「は、ああああ!?」


ワタシも目を疑った。


リョーカの欠損した四肢が――みるみるうちに、再生していく。


肉が盛り上がり、骨が伸び、皮膚が覆っていく。


「あ、あれ? オレは……死んだんじゃ……?」


リョーカが間抜けな声を上げる。


周囲のあちこちで歓声が上がっている。


瀕死だった兵士たちが、次々と立ち上がっていく。


「嘘だろ……」


「奇跡だ……!」


「聖女様……!」


革命軍の兵士たちが、涙を流しながらアオを見上げる。


(普通じゃない……)


ワタシのスキル【翻訳者】は、アオに何も反応しない。


まるで、スキルという概念すら超越しているかのように。


「アオ、あんた、いったい……」


そもそもいつ追いついたんだ。

驚くワタシに、アオは笑顔で答える。


「こうしないと、間に合いそうになかったので」


その瞬間――。 恐ろしい気配が、野営地に満ちた。


「あ~、あんたは出ないって約束じゃなかったの? えー!? マジ!? ちょっと待って、話が違くない!?ずるい!ずるい!ずるいいいいい」


軽い調子の声。 現れたのは、茶髪の若い女――いや、違う。


肌は白く、頭には羊のような角。その気配は、明らかに人ではない。


「こ、こいつだ! こいつが華姫と名乗った悪魔だ!」


リョーカが叫ぶ。


華姫と呼ばれた悪魔は、まるで散歩にでも来たかのような気軽さで、野営地を見渡している。


「あのさ、アオ? あんた、動かないって約束だったよね? ていうか、マジで動かないでくれる? 『アタシたち』、不可侵契約だっけ?結んでるんだよねえ~。きいてるよお。」


華姫が不満げに頬を膨らませる。


アオは布越しにそいつのようすをうかがっている


「ま、いいや。ここであんたとやり合う気はないよ。物資はすべて焼かせてもらったしね~。仕事はおわりおわり~」


華姫が軽く手を振る。


その瞬間――ビゼンが、問答無用で華姫に向かって薙刀を一閃した。


空気を切り裂く音。


だが――。


「……なに!?」


ビゼンが驚愕の声を上げる。 華姫は、ビゼンの薙刀を――片手で、軽々と掴んでいた。


「おっと、危ない~。まともに食らったら、アタシも結構ヤバかったかもね」


華姫が笑う。


「く……!」


ビゼンが薙刀を引こうとするが、びくともしない。


「あ、そうそう。これ、おかえしね。シャアア!」


華姫が魔力の塊を、至近距離からビゼンに向けて放つ。


「ビゼン!」 ワタシが叫ぶ。


ビゼンは薙刀を手放し、間一髪で回避した 。

魔力の塊が地面に着弾し、大きな爆発を起こす。


「させるか!」


ワタシも剣を抜き、華姫に斬りかかる。


だが――華姫は軽々と上空へ飛び上がった。


「アタシも、あんたとはやり合うなって言われてるからね。アオ、またね~!」


華姫が手を振り、そのまま姿を消した。


「……逃げた?」


ワタシは剣を構えたまま、周囲を警戒する。


「アオ、あいつは何者? 知り合いなの?」


ワタシはアオに問いかける。


「さあ。知らないんですよね……。不可侵契約というのはほんの少し、思い当たることがあるんですが、さっきの悪魔の人は関係ないので、ほんとにしらなくて。」


アオは少しこまったようにこたえる


(……まじか)


ワタシは疑問を持ったが、今はそれを追及している場合じゃない。


(それに、あの華姫って悪魔、明らかにアオのことを知ってた)


(「出ないって約束」って、誰との約束なんだ?)


(アオ、あんた、いったい――)


ワタシは気持ちをきりかえ、ヨクトに確認する


「ヨクト、被害状況は?」


「……ああ。確認する」


ヨクトが苦い表情で頷く。 ワタシは拳を握りしめた。


(華姫……覚えておく) ――この出会いが、後にどれほどの意味を持つことになるのか。 この時のワタシは、まだ知らなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ★応援クリック★や★ブックマーク★をお願いします!


皆様の応援が、執筆の励みになります!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ