第15話 革命軍と激闘する
ヨクトと呼ばれたおとこが吠えたその瞬間。
頭の奥で、
【翻訳者】が反応した。
【豪傑覇気】
――解析不能。
……またか。
悪態が喉まで出かかったが、
次の瞬間、それどころではなくなった。
背筋を撫でるような悪寒。
空気が、重くなる。
息が、詰まる。
そして。
ドサリ、ドサリ、と。
ワタシとビゼンを除いた全員が、
まるで糸を切られた操り人形のように、
次々と地面に倒れ伏していった。
「残ったのは二人か。
よりによって、女とはな」
……油断している。
今なら、いける。
「突風波!」
迷わず魔法を放つ。
「うおっ!」
男が一瞬、体勢を崩した。
――今だ。
悪く思わないで。
先に仕掛けてきたのは、そっちなんだから。
ワタシは一気に距離を詰め、
胴鎧の継ぎ目――
最も薄いはずの隙間へ剣を突き出す。
……だが。
弾かれた。
「……うそ」
思わず距離を取る。
鎧に弾かれたんじゃない。
刃が届く前に、拒まれた。
そんな感触だった。
「今の魔法は、なかなかだったぜ」
ヨクトが、余裕の笑みを浮かべる。
「だがな。
オレには効かねえ」
そう言って、
槍を片手に、両手を広げる。
あまりにも堂々とした、無防備。
「何もしねえ。
もう一回、やってみな」
……罠かもしれない。
だが、引けるか。
ワタシは剣を引き、
懐から短刀を抜き放つ。
躊躇はない。
投げる。
……だが。
短刀は、
男の体に触れる前に弾かれた。
鎧ですらない。
“何か”に拒まれた。
「オレのスキルは、豪傑覇気だ」
男は、淡々と告げる。
「オレの覇気に当てられて、
格下は戦う前に戦闘不能となる。」
周囲を一瞥する。
やつの革命軍の仲間たちまでもが、
気を失い、あるいは腰を抜かして倒れていた。
「仲間まで巻き込むのが欠点だが……」
肩をすくめる。
「それから。、
物理攻撃は、全部無効にする」
視線が、ワタシたちに戻る。
「できれば女は斬りたくねえ。
命までは取らねえ」
そして、静かに言った。
「物資を置いていけ。
そうすりゃ、見逃してやる」
……物理無効。
なんてチートだ。
だが。
手がないわけじゃない。
そう思ったとき、
ビゼンが一歩、前に出た。
仮面に覆われて、表情は見えない。
「ならば、教えてやろう」
静かな声。
「私のスキルは【闘神】。
物理防御と抵抗を、すべて無視する」
薙刀を構える。
「そしてこの青竜冷艶鋸は、
私が“斬れる”と思ったものを、すべて斬る」
……なにそれ。
チートとチートの合わせ技じゃないか。
ビゼンが距離を詰める。
ヨクトが、それを――
受け止めない。
身を翻した。
遅れて、血が走る。
「……オレが、避けるとはな」
額から血を流しながら、男が呟く。
「フッ」
仮面の下で、ビゼンが笑った。
「行くぞ」
再び踏み込む。
勝負あったかと思った。
だが、ヨクトはすべてをかわす。
……スキル以前に、純粋に強い。
ワタシも援護に入る。
だが、私の攻撃など
「効かない」と思っている相手は、
こちらを警戒しない。
「でも、魔法は効くんでしょ!」
ワタシは魔力を解き放つ。
「砂塵風!」
視界を覆う砂煙。
「せこい真似を!」
怒声とともに、男が後退する。
ついさっきいた場所を、
ビゼンの薙刀が切り裂いた。
「見えないのは、そっちも同じだ!」
闇雲に振るわれた槍が、
ビゼンの仮面を弾き飛ばす。
……危なかった。
だが、仮面ごと額を切られてなお、その肌は黒く輝き、瞳は冷ややかに燃えていた
その瞬間。
ヨクトが、固まった。
「……おまえ……」
――今だ。
ワタシはすでに背後に回っていた。
効かないと思っている相手ほど、
背中は無防備だ。
ワタシは飛びつき、 背後からしがみつき、
両手で男の口を塞ぐ。
物理無効でも、
息までは止められない。
物理無効? 結構。なら、あんたの肺に空気が届くのも無効化してあげる!
「ビゼン、今よ!」
だが、その瞬間。
【豪傑覇気】解除
……なに?
【翻訳者】が告げる。
意味がわからない。
だが、好機だ。
ワタシはそのまま締め上げる。
すると、
男がうめいた。
「……む、胸が……当たって……」
……こいつ。
ワタシは一瞬顔が赤くなるを感じる、
ワタシの胸の感触で スキルを解除した?
「死ね変態ィィィ!!」 羞恥心で顔が火を噴く。
ワタシは渾身の力を腕に込め、そのまま意識を刈り取った。
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