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かつての魔王と、未来の勇者  作者: いぬ課長


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第6話 ポポロン丘での出会い

 ルーベル大陸。

 北、中央、南にそれぞれ分かれており、独自の文化を育んでいた。

 南大陸は、クロックレイクという町が冒険者ギルド『湖の時計塔』を中心に冒険者を集い、ルーベル大陸全土へ派遣し、未知への探求を、そして魔族の討伐を主に活動をしていた。

 中央大陸は、度重なる魔族との戦闘で疲弊してはいるが、王国騎士団が押し寄せる魔族の進行を押しとどめ世界の守護を担っていた。 しかし、魔族の戦火は留まることはなく依然世界は危険にさらされていた。

 北大陸は、すでに魔族の王。 『魔王』もよって支配されていた。


 その南大陸の道中を、赤髪の少年レオン・ラインハートは、赤いコートを揺らしながらルーマからもらったお弁当を見つめて歩いていた。

 目指すは『黄金草』があるポポロン丘。

 クロックレイクから北へ半日かけて歩いた場所にあるらしい。


「ふぅ。 結構歩いたな。 もう日が落ちてきた」


 すでに太陽は沈みかけ、空が夕焼けに染まろうと綺麗な赤みを帯び始めていた。

 そして、再びルーマのお弁当に視線を戻す。

 クエストに出発した時は、緊張のせいかお腹は空いていなかったが、今はもう限界が近づいていた。

 料理の経験のないレオンは、この素晴らしいお弁当をすぐにでも食べたかったのだが、クエストを達成したときの自分へのご褒美として取っていたのである。

 周りを見ると、木に成った木の実や、果実、キノコなどがあるけど、あれって食べれるのか? う~ん。 調べていればよかった・・・とレオンは唸った。

 そんな事を考えながら道なき道を歩いていると、急に暗くなってきた。

 太陽が沈み、陽の光が地平線へと消えていく。

 だけど、太陽の代わりに月と星が、微かな光でレオンを照らしてくれていた。

 そして、暗くなって初めて気づく。

 その光に。

 レオンの目にはっきりと映る、その光に。

 目の前の丘が光り輝いていたのだ。

 風に揺られて、黄金草が光を放ち辺りを照らしている。

 その光景にレオンはすぐに走り出した。

 黄金草の群生地、ポポロン丘についに着いたのだ!

 黄金草の光を全身で受け止め、レオンは言葉をこぼした、


「うわぁぁ! すごい・・・ここがポポロン丘か!! やった! ついに着いたんだ!!」


 レオンは丘の中央に立ち、今まで歩いてきた道を振り返った。

 初めての冒険。

 初めてのクエスト。

 感動で心がいっぱいになった。

 言い現わせないほどの感情が押し寄せていたが、まだクエストは達成していない。

 ここに来ることが目的ではない。 あくまでも『黄金草の採取』なのだ。

 レオンは感動をいったん心に仕舞い、持っていた採取袋に黄金草を摘んで詰め込んでいった。

 そういえば・・・ふと、レオンはルーマの言葉を思い出した。


『ポポロン丘についたら、黄金草に水を振りかけてみて? すっっっごい景色が見れるよ!! その光景は、ルーベル大陸の三大絶景にも選ばれた事があるほどなんだよ? まぁ、いまでは誰でも見れる場所ということで三大絶景からは外されちゃったんだけどね・・・。 でも、でもでも、私はあの景色が大好きなんだぁ!! 嫌な気持ちだって吹き飛ばしちゃうんだから!!』


 目を輝かせ、満面の笑みで語るルーマを思い出して、レオンも自然と笑みをこぼした。

 なんだか、ルーマさんの笑顔を見るとつい自分も笑顔になってしまうな。

 そんな事を思いながら、レオンは持っていた水筒に手をかけた。

 その時、大きな悲鳴が聞こえた!!

 小さな女の子の叫び声。

 悲鳴が聞こえた方に振り返ると、ポポロン丘に寄り添うように森があった。

 思うより早く、赤いコートを翻してレオンは走った。

 全速で、一直線に黄金草の中を駆け抜ける。

 すると、森の中から一斉に光の粒が飛び出してきた。

 光の粒はレオンの脇をすり抜けながら慌てたように声を上げていた。


「ブラッディウルフだ! 逃げろ逃げろ! あいつのせいでブラッディウルフがやってきた!!」

「妖精!?」


 光の粒の正体に気づき、レオンは驚きの声を上げた。

 妖精は、もうほとんど目撃情報がなく、絶滅したとも言われていた。

 魔族とは違う、精霊に近い生き物。

 突然の出来事にレオンは驚きはしたが、ブラッディウルフの名前を聞いて驚きより緊迫感が増していた。

 ブラッディウルフは、獰猛で人を襲う魔族として知られていたからだ。

 女の子の悲鳴。

 ブラッディウルフ。

 レオンは、腰に差した剣に手を添えて走り出す。

 急がないと! 早く! 速く! はやく!!!

 森の中を駆け抜ける。

 暗闇の中、一切の迷いなくレオンは走った。

 そして、森の切れ目に出たところで、その灰色の瞳が女の子を捉えた。

 だが、同時に目の前にまで迫っているブラッディウルフも捉える。

 一歩また一歩と近づいている。

 涙を流す女の子にブラッディウルフがいまにも襲い掛かろうとしている。

 レオンは全力で地を蹴った。

 絶対に助ける!!

 間に合う!! 絶対に助けるんだ!!

 瞬間!

 ブラッディウルフの牙が女の子に襲い掛かった。


「た、助けれくれぇぇぇぇ」

「絶対に助ける!」


 女の子の悲鳴と共に、少年の声が重なった。


 つづく






この話が序章1〜3と繋がります。 よかったら遡って読んでくれると嬉しいです。

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