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3話 坂の街


それから私は高校入学のための準備に追われており高校入学を翌日に控えた私はとても不安に駆られていた。


「…私、普通の学校でうまくやっていけるのかな?」


机の上には入学式の日程表と入学に必要な書類の数々があり私は普通の学校に馴染めるか不安で仕方が無かった。


「ふ、不安だ…」


ふと机の側に置いてある段ボールが目に入り恐る恐る開封すると中には明日から着る予定の採寸済の高校の制服が入っていた。


「……はあ…」


私が通うのは屋敷から20分ほどバスに乗った所にある長崎市如月女子学院と呼ばれる私立高校であり、私の目の前にある制服も明日から袖を通す如月女子学園の制服そのものであった。


「戦闘訓練も無い、魔法の授業も薬学の授業も箒に乗った授業も無いなんて普通の高校は何をするんだろう?」


私は不安な気持ちを抱えたまま一度気分を変えるために外出する事にして屋敷を出た。


屋敷を出ると長い階段をゆっくりと一段一段踏みしめながら街の景色を目に焼き付けていく。


「ニャーン」


ふと猫の鳴き声が聞こえて来たかと思うと私の足元に黒猫が擦り寄っており私はしゃがんで黒猫の頭を優しく撫でる。


「にゃーんにゃーん」


猫の言葉がわかるわけでは無いけれどなんとなく猫の気持ちが理解すると言うより感じるという表現の方が正しいのかもしれない。私は猫撫で声をあげながら猫の頭を撫で終わると再び歩き出した。


「坂の街長崎か…」

 

私が歩く先には坂道がずっと続いており私は過ぎゆく景色を眺めながら坂を降りていくが坂の下から地元のおじいちゃんが大荷物を両手に抱えて歩いているのをみて足を止めた。


(坂の上に住んでる人かな?大荷物で坂道はきつそう…)


私は他に周りに誰もいない事を確認するとおじいちゃんにゆっくりと歩み寄った。


「こんにちは。お荷物運ぶの私がお手伝いしますよ?」


「いやぁ…助かるばい。でもこの荷物結構重たかけど大丈夫かい?」


私は上着の内ポケットから小さい杖を取り出すと軽く一振りして大荷物の1つを浮かせるとそれを見たおじいちゃんは目を丸くした。


「こりゃたまげた…お嬢ちゃん手品師か何かかい?」


「そんなところです。さぁ、ゆっくりでいいので行きましょうか。」


私は荷物を浮かせたまま杖を仕舞うともう1つの荷物を片手で持ちながらおじいちゃんの歩幅に合わせて歩き始めた。


「いやぁ本当に助かるばい…最近引っ越して来たばっかりやけど坂道は老体にはキツくてな〜」


「そうなんですね…私も引越して来たばっかりなんです。」


「そうかい?この街は坂と猫が多かけどそれ以外も良いところがたくさんあるんよ?」


「へぇ…他には何があるんですか?」


「長崎は夜景がとても綺麗かけん日本一よ!!」


おじいちゃんは遠くの山の方へと視線を向けると山のとある場所へと向かって指を差した。


「稲佐山って山よ。ほら、あの赤い電波塔と白い大きな建物が見えるやろ?あそこが展望台よ。」


おじいちゃんが指差す方向に視線を向けると赤い電波塔と白い建物が見えて私は目を細めて建物を見る。


「夜にあそこに行くと凄い夜景が見えるけん行ってみんね!!」


「わかりました。ご丁寧にありがとうございます。」


私は坂の上に着くと荷物をおじいちゃんに返して坂の上の住宅に入って行くおじいちゃんの背中をじっと見守った。


「稲佐山…か」



その後私は辺りをしばらく散策した後、市内にてスーパーにて晩御飯の買い物を済ませると屋敷へと戻り入学に必要な書類などを綺麗に纏めているとあっという間に夜になった。


「不安だけど楽しいこともきっとあるよね…?」


魔法魔術学校での戦闘訓練などの無い戦いから無縁な普通の学校に行く事に不安を覚えていたがおじいちゃんと出会った事で心の中の不安がほぐれたような気がしていた。


(この街は坂と猫が多かけどそれ以外も良いところがたくさんあるんよ?)


私は布団に潜り込みながら今日の出会いを思い出していた。


「良いところ…みつけられるといいな」


ふと壁に視線を向けると壁には入学式に着る予定の真新しい制服が掛けられており、胸辺りに付いている学校の校章のバッジが月明かりに照らされてキラリと煌めいた。



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