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Chapter 17

俺は、麻紀を家に送り届けてから、マンションに帰った。



「ただいま」



「お帰り。どこ行ってたの?」



「あぁ…。ちょっとね。友達と会ってたんだ」



「そうなんだ。友達って、女の子?」



姉は、笑いながら言った。



「そんな事、どうでも良いじゃん」



俺は、照れ隠しの為の強がりを言った。



夕食を取り、シャワーを浴び、部屋に戻る。



自分の部屋に入り、パソコンとCDプレーヤーにスイッチを入れる。



CDプレーヤーの中には、麻紀が貸してくれたGLAYのCDが入っていた。



その曲を聴きながら、パソコンを触っていると、麻紀からメールが来た。



「今、何してるの?」



「今?今ね、麻紀が貸してくれた、「STAY TUNED」聴いてるよ」



「あのね、そのCDの中に手紙を忍ばせといたんだけど…。読んでくれたかな?」



「…えっ?」



麻紀のメールを見て、俺は焦った。



俺は、その手紙の存在には、全く気付いていなかった。



そのCDは、初回限定盤で、通常のCDケースが、紙製のケースに入っている仕様だった。



その紙ケースの中を覗いて見ると…。



「あった。これだ」



俺は、綺麗に折り畳まれた手紙を手に取り、それを開いて読む。



「静流へ。

この前も、今日も、送ってくれてありがとね。

あたし、ホントに嬉しかった。

それに、少しだけだけど、静流の事も分かったし…。

初めてバイト先に行った時、静流の事を見て「良いな」って思っちゃって…。

送ってもらえるってなった時、すごくドキドキしたんだよ?

あたし、こっちに引っ越して来て、友達いないし、不安だったし…。

静流と仲良くなれてホント嬉しいです。

こんなあたしだけど、これからも、ずっと仲良くしてください。

麻紀」



俺は、手紙を書いてくれていた事や、手紙の内容が嬉しくて、気が付けば、麻紀に電話を掛けていた。



「もしもし?麻紀?手紙、読んだよ。麻紀の気持ち嬉しかったよ。ありがとう」



「うん。あの頃はもう、静流の事が、好きで好きで…。しょうがなかったんだ…」



「ははは。そうだったんだ。嬉しいよ」



「静流は、どうだった?」



「…俺?俺は…、麻紀と初めてバイト先で会った時、正直、一目惚れしちゃったんだ。「可愛いな」って。だけど俺、麻紀と顔を合わせると、どうしても緊張しちゃって…。話掛ける勇気が無くて…。麻紀に「冷たい奴だ」って思われちゃったかなって…。だけど、麻紀は、こんな俺でも良いって言ってくれた…。だから俺は、麻紀が俺を選んでくれた事が、本当に嬉しいよ」



「そうだったんだ。ありがとう。嬉しい。そんな風に思ってくれてたんだね。でもね、あたしは別に、静流が冷たいだなんて、そんな事思ってなかったよ?」



俺は、麻紀の気持ちが嬉しくて、何も言えなかった。



「ねえ?静流?」



「うん?」



「あたし達、ずっと一緒にいようね。約束だよ?」



「あぁ。もちろんだよ。麻紀も、どこにも行ったら駄目だからね」



「あたし、どこにも行かないよ。静流と、ずっと一緒にいるよ」



麻紀の一言一言がすごく嬉しくて、俺の胸に響いていた。



出来るなら、今すぐに会いに行きたい。



会って、麻紀をこの腕で抱き締めたい。



そう思っていた。



「ねぇ?静流?」



「うん?」



「あたし、さっき会ったばっかりなのに、静流に会いたいよ…」



切ない声で麻紀が言った。



「麻紀も、俺と同じ事思ってたんだね。俺も今、そう思ってた。声はすぐに繋がるのに…。」



「電話やメールは、ズルいよね…」



「あぁ。そうだね。こんなに、近くで声は聞こえるのにね…」



「遠いね…」



「でも、俺達は、心は繋がってるよ」



「うん。でも、静流が傍にいてくれた方が良い…。声だけじゃ、嫌…」



「麻紀…」



麻紀の気持ちは、痛い程分かった。



俺自身が、自制していた「抑えきれない程の、会いたい気持ち」だったからだ。



麻紀の言葉の重みが、俺の胸に、強く、深く突き刺さる。



俺は、そんな麻紀を諭すように、優しく言った。



「大丈夫だよ。朝が来れば、また会える。ほんの少し、我慢すれば良いだけだから…。明日には、また会いに行くよ」



「うん…」



「そうだ。麻紀、明日、俺の買い物に付き合ってくれないか?」



「うん。良いよ」



「じゃあ、明日、朝10時に迎えに行くから」



「分かった。楽しみだね」



「あぁ。楽しみだね」



麻紀の声が明るくなった。



「じゃあ、麻紀、また明日ね」



「うん。また明日ね」



そう言って電話を切った。



俺は閃いた。



と、同時に、部屋からキッチンへ向かった。



「姉ちゃんっ!!」



「何?どうしたの?急に、そんなに大声出したりして?」



「姉ちゃん、指輪貸して?」



「指輪なんかどうするの?」



「良いから、良いから」



姉は、不思議そうな顔をしながらも、指輪を外し、俺に渡してくれた。



「サンキュー」



俺は、急いで部屋に戻って、指輪のサイズを測った。



キッチンへ戻り、姉に指輪を返す。



「ありがとう。助かったよ。じゃあ、おやすみ」



「変な子…?」



姉は、終始、不思議そうな顔をしていた。



俺は、部屋へ戻り、測った指輪のサイズをメモした紙を、忘れない様に財布に入れた。



「麻紀、喜ぶかな?」



そう考えながら、眠りに就いた。




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