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第九十一話 収穫の日






 九月に入ってまたもやテュルゴーとテレーがもめた。

 この国では平年の、つまり平均的な穀物の収穫量の数字が定められている。

 しかし実際には穀物がその平年収穫量に達した事は一度も無かったのだ。

 テレーはその実際の収穫の統計調査を指示していたがテュルゴーがそれを中止しようとしたのだ。

 一方テュルゴーは穀物取引の自由化を実行しようとしたがテレーは反対した。

 マリーはちょくちょくこう言った討論にお邪魔して二人が騒いでる間に資料などを覗き見したりした。

 結局この時はマリーが間に入って収穫の統計調査は続行、穀物取引の自由化は段階的に実行との方向で進める事となった。

 いつの間にかマリーは二人に対し意見を差し挟める立場になっていた。




 そして十月、穀物取引はまず価格だけ自由化され取引自体は周到に準備が行われていた。


 同じく十月、小トリアノンの畑一面に真っ白な花が咲き乱れていた。


 「おお、満開ですね〜」


 マリーが感嘆の声をあげて畑に広がる花じゅうたんに入り込んだ。

 白い5枚の花びらに顔を近づけ匂いを嗅いでみた。

 少し甘い匂いがする。

 ただ人によって好き嫌いが分かれそうな癖がある匂いだ。

 マリーは気にならなかったので花を摘み、髪に刺した。

 

 「綺麗な花で実も美味しいとなればきっと人々に愛されましょう」


 ささっとマリーに近づく人影。


 「分かって頂けましたか〜!! じゃがいもの更なる魅力を!」


 「あら、パルマンティエさん、聞いてらしたの」


 「じゃがいもの褒め言葉は聞き逃しません!」


 「うふふふ、じゃがいも推しは相変わらずですね。あと一月で……」


 「はい、収穫です!!」

 

 「楽しみです!」


 「楽しみですな!」


 「あ〜待ちどおしい!」


 「待ちどおしいです!!」


 「早く収穫の日が来て欲しい〜!」




 あっという間に一月が経過した。



 十一月一日、遂にその時が来たのだった……




 「それではジャガイモの収穫を行います」


 マリーの号令の元、まずパルマンティエがクワで土を掘り返し出した。

 他の者はその様子を彼を取り囲みながら見ていた。

 掘り返された土の中からいくつものたわわに実るじゃがいもが姿を見せた。


 「おお、これは良い出来だ!」


 パルマンティエはじゃがいもを一つ掴むと掲げ上げた。

 

 おお〜!


 初めての収穫物に皆の視線が釘付けになる。

 

 「遂に……遂に成し遂げましたぞ〜!!」


 「はい、やりました〜!!」


 パルマンティエの叫びに呼応してマリーも叫ぶ。


 「これでフランスの人々の腹をじゃがいもで満たせます!」


 「この国の未来も明るくなります!」


 「そうですぞ!」


 「そうですね!」


 

 「なに二人だけで盛り上がってるんですか!」


 カークが突っ込んだ。


 「私らもこの時を待ち望んでいたんですよ! 喜びはみんなで分かち合わねば!」


 「おお、そうでした」


 「おめでとう御座います、マリー様!」

 

 ビスケも、四人の農夫達も歓喜の声を上げた。

 

 「それでは早速料理しましょうか?」


 「え? まだ収穫作業が……」


 「大丈夫、簡単な調理です。時間は取らせません! 収穫は後で十分出来ます」


 「そうですか。ではお言葉に甘えて」


 マリーは期待感に満ちた笑顔を見せた。






やっと収穫です。

次は味見ですか。

マリーがじゃがいもをどう活用するかですね。

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