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第九十話 聞いて喜ぶ






 マリーの前で横並びに跪く男達、つまり農夫達の一人が申し訳なさそうに弁解をした。

 

 「肥を買う金が無いんでここで汲んでしまおう思って……」


 「金で取引されているんですか!!」


 テンション上がりっぱなしのマリーにカジェが言った。


 「言ってなかったかね。溜め込んだ肥を肥料として売るんだよ。管理する人が。だから金をケチって勝手に汲みに来るこいつらみたいなのが後をたたない。見つかったら罰金ものだね。だがこんな方法で汲んだ肥料じゃ作物も良く育たないと言われてるよ」


 「なるほど〜」


 嬉しそうに感心するマリー。

 呆れるカークがマリーに問いかける。


 「それで! この男達はどうします?」


 「ああ、もちろんこれで解放です」


 「……そうですか」


 やれやれと言った表情でカークはため息ついた。


 マリーが男達に向き直る。


 「ではあなた方、帰って頂いてよろしいですがここで肥料を調達するのはお控え下さい。私達も肥の運営の仕方を考えております。きっと皆さんの納得いく方法を作り上げていく所存ですので今しばらくのお待ちをお願い致します」


 首を垂れるマリーに四人とも恐縮してしまった。

 王妃様にこんな丁寧に言われるとは。


 「カジェさんもありがとう御座いました。おかげ様でとても良い勉強になりました」


 カジェも反応に困ってしまっていた。


 「……あんた、本当に分かんない人だね。何がしたいんだい?」


 「私はただパリの街を綺麗にしたいだけです。それには肥の処理の改善が必須です。だからこうして現場に赴いているだけです」


 「だけって……」


 「自分にできる事はやりたいと思いますから。王妃であるならなおの事」


 「そうかい……もう何にも言わないよ。にしても……」


 カジェが改めてマリーを見据えて問いかけた。



 「あんた本当に王妃様?」


 かジェの呼び方が王妃に直った。

 




 「実りある一日でした」


 ご満悦の表情でマリーは足取りも軽く夕暮れのパリの大通りを歩いていた。

 他の面々はかなり消耗している様子だ。


 「今まで注意していなかったのがおかしい位でした。バジーさん、良く言ってくださいました」


 「いや、俺はパリでも肥を取り扱ってるって話を耳にした事があるって程度で……」


 「いえ、私がそう言う情報を欲しいと思っているのを察して下さったからでしょう。正に感謝です。にしても貴族階級の人達、特に政務に関わっている人もこの事実を知らない人が多いですねえ。私も人の事は言えませんが」


 「そりゃそうでしょ、とても貴族連中の興味を引く事じゃねえ。人は知りたい事だけを知ろうとするもんでさ」


 「ふむ、確かに。言われてみれば私もそうですね」


 (糞尿関係が知りたい事か……)


 話を聞いてたカークは心の中で突っ込む。

 今更どうともする気はないが。


 「それでは帰路はヴェルサイユを抜けて小トリアノンへ行きましょう。まず風呂に入りたいですし」


 「あ、それいいですね〜身体洗うの最優先で行きましょお〜」


 すぐさまビスケが乗った。

 余程肥が付いたのが堪えたのだろう。


 「俺はパリ住まいだけど風呂入りたいです。帰りが遅れてもいい!」


 バジーも同意した。

 今彼らの間で風呂の価値が爆上がりしている。

 何も言ってはいないがカークも異論はない。


 「お風呂に入って身も心も一新しましょう!!」


 「はい〜!」


 「はっ!」


 「おう!」


 さっきまでの消耗感が彼らの中から抜けていった。



 「風呂は元気の素ですよねえ〜!」






 感想で王女は王の妻ではなく王の娘か王太子妃の事だと指摘を受けました。

 初歩的なミスをしていた事になります。

 それでどうしようか考えてますが全面的修正も考えてます。

 と言っても王女の名称を直すのとちょっとした話のすり合わせとなりますが。

 サブタイトルはともかくメインタイトルは王太子妃編に合わせてそのままになります。

 近く作業を行うつもりですのでよろしく願います。


 作業一応終了しました。

 王妃に直すだけですが新たに設定を加えて子宝に恵まれてない為、王妃扱いしない向きもあるとしました。

 そのため暴れん坊と糞が王女で浸透しているとしましたのでご了承を。

 直し漏れもあるかもしれないのでご容赦を願います。

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