表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/439

第八十九話 そこが聞きたい






 マリー達一行はカジェに同行する事になった。

 時に彼女の仕事を手伝いながら。

 

 「やっぱあんた王女じゃないだろ」


 糞の王女が浸透しているのか王女と呼ばれたが、ここは気にしない。


 「おやどうしてです?」


 「樽の運び方が手慣れてる」


 「樽に限った事ではありません。腰の使い方を練習して身に付ければ大概の物は大丈夫です」


 (いや、糞の入った樽を持つのが王妃じゃない、だろう)


 後ろから付いているカークが心の中で突っ込んだ。

 彼も樽を持たされている。

 

 「何でこんな事を?ただ働きで」


 「もちろん理由があります。この樽はゴミ捨て場に運ぶのでしょう? そこに行きたいのです」


 「どうしてだい?」


 「そこに着いたらカジェさんにゴミ捨て場についてのご説明をお願い致します」


 「……分かんないね。それなら聞くだけでいいだろ。一緒にゴミまで運ぶ必要あるかい?」


 「どうせなら皆さんの仕事がどのようなものかこの身で体験してみようと思いまして」


 終始笑顔を絶やさないマリーにカジェは呆れるばかりだ。


 「身分の高い人がする事かい? 何でこんな汚れてまで」


 「ご心配なく。替えの服は何着も用意してあります。この時のために」


 「…………」


 最早カジェは何も言えなくなった。

 




 そしてマリー達はモンフォーコンのゴミ捨て場にたどり着いた。

 糞尿用の肥溜めをマリーは見ていた。

 肥溜めと言うには大きすぎる。

 カジェは樽の中身を肥溜めにぶちまけている。

 樽を空にしたところでカジェが聞いた。


 「説明して欲しいんだろ?」


 「はい、このこの肥溜めはこの後どうなります?」


 「しばらく置いておく。三年程かねえ」


 「その後は?」


 「ここの管理を任されとる人が好きに処分するさ」


 「処分?」


 マリーの顔色が真剣なものに変わる。






 「あなた達が何をしようとしていたのか聞いています」


 再度マリーが問いかけた。

 四人の男達の一人がおずおずと答えた。


 「糞尿を頂こうとして……」


 「今この時期に糞尿の処分は許されていません。十月から三月の間でしょう。それに処分できるのはここの管理者です。そうですね、カジェさん?」


 「ああ、そうだね」


 「何のために糞尿を持って行こうとしたのです?」


 「はい……それは……」


 「それは?」


 「糞尿を……畑の肥料にと…………」



 「や っ ぱ り 〜!!」


 マリーの表情がぱっと明るくなった!


 「使われていたんです! 人由来の肥料が!! 決して私が初めてではない!これまでもずっと!」


 四人組の男らは王妃の小躍りして喜ぶ姿を見て困惑している。

 見つかったら罰せられると思っていたのに今この状態はどうなってるんだろうか?

 

 


 マリーは溜まった人糞がパリで持ち出されているらしいと知り下掃除人の親方との接触を実行した。

 そして糞尿のゴミ捨て場で農夫が勝手に肥を汲み取っていると聞いたのだった。

 それで実際に農夫が肥を盗みに来るところを捕まえて、直接聞いて確かめようとしたのだ。

 そのためわざわざ樽まで用意して隠れた訳だ。

 ちなみに糞尿を入れる用以外の樽を探すのに一苦労だった。


 



 パリでも人糞が肥料に使われていました。

 実は最近この事実を知り慌ててこの話を書いて挟み込みました。

 本来なら王太子妃時代にやっておけた話でした。

 勉強不足が祟りましたが、どこまで史実を反映させるかも悩ましい所です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ