第八十三話 出会い見合う
「お待たせしました、テレー師をお呼びして来ました〜」
(本当に来た……)
(本当にいた……)
開かれたドア越しに呆然と見つめ合うテュルゴーとテレー。
「さあさあ、どうぞ」
部屋内に引き入れられるテレー。
「……あ、失礼します……テレーです」
「あ、あ、テュルゴーです……よろしく願います」
ぎこちなく挨拶する二人。
間に立つマリーがにっこり微笑み二人に声をかける。
「お二人共、今回は思う存分お話し致しましょう!」
「……」
「……」
いくら何でもこれは話しにくいだろう、とヴェリ師は思った。
どうやって場を整えるのだ?
王もお手上げだった。
もう何も言えない。
そんな空気を気にもせずマリーが話を進める。
「実はです。テュルゴー様が新たに政務の要職に就くこととなりました。それで役職をどうするかの話になりまして。それでテレー師にもおいで頂いたと言う訳です」
「は、はぁ……」
「テュルゴー様は財務総監を希望されていたのですがテレー師が今その役職ですのでどうしようかと言うことです」
そんなあけすけに言ってどうするんだ!?
身も蓋も無いにも程がある!
そんな三人の思いも虚しくマリーは話し続ける。
「テュルゴー様をとりあえず海軍大臣にして様子を見ると言う話もありました。それでテレー師のご意見を」
水を向けられたテレーは何度か口を開け閉めした末にやっとの事で声を出した。
「……そ、その……こんな……むき出しの会談初めてです」
もう建前も言い方も無い。
ありのままの感想を言ってしまった。
「では本音で語りましょう!」
マリーは相変わらず笑顔を絶やさない。
「ちょっとお待ちを」
ここでヴェリ師が口を挟んだ。
「マリー様、随分ご勝手にされておられますが、あまりに定石を外れております。そのようなやり方を押し通すのは強引に過ぎます。テレー師も連れて来られて随分困惑しておられるではないですか」
「本音で話すのはいけませんか?」
「言い争いの末、遺恨を残しかねません」
「それでも本音を聞きたいものです」
ヴェリ師もいい加減腹が立ってきた。
それならばこちらも言わせてもらおう。
「だったらまず王妃様の本音はどの様なものなのですか!? 暴れん坊とか、く……」
「糞の王女ですね」
王妃自身が笑顔で言ってしまった。
「うっ……その、とにかく色々呼ばれている貴女の本音を!!」
まくし立てられたマリーは笑顔の上に瞳を輝かせて答えた。
「…………良くぞ聞いて下さいました!!」
えっ…………?
もしや乗せられた?
テュルゴーとテレーが直に向き合う羽目になりました。
だんだん史実が壊れていきます。
マリーがどこまで壊していくのでしょうか。




