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第八十二話 テュルゴー




 


 七月末日、小トリアノンである出来事があった。


 「さあ、種芋を植え付けしますよ〜!!」

 

 マリーの掛け声が響く。

 四人の雇われ作業員、マリー、パルマンティエ、更にカーク、ビスケ、バジーまで総出で作業を行なっていた。

 遠目に野次馬達が興味深そうに見ている。

 彼らは臭いより好奇心が勝った強者だ。

 リピーターもいた。


 「何植えてるんだ?」


 野次馬達から声が漏れた。

 即座にマリー、


 「じゃがいもです!!」


 より早くパルマンティエが答えた。

 

 「凄い反応速度だわ!」


 マリーが舌を巻いた。

 情熱の差というものだろうか。


 「じゃがいもは飢饉に強い栄養たっぷりの作物ですよ〜!」


 植え付けの作業と野次馬への広報活動とを同時に全力でこなしている。

 じゃがいもへの思い入れが半端でない。


 「見習うべきねえ〜」


 感嘆するマリー。

 呆れながらもせっせと作業をするカーク。

 暑い最中に皆、額に汗して作業を続けるのだった。


 「本日は風呂ではなく行水にしましょう〜」



 「あれは……あれが糞の王女とも暴れん坊王女とも言われているマリーアントワネットか。王妃なのに」


 野次馬達より更に遠目にマリー達の様子を窺う男がいた。

 長身で四十代後半位の男は値踏みする様にマリーを見つめている。


 「目的は何なのだろう?」


 それは彼女の余りに多くて突拍子も無い噂からでは導き出せない。

 直接会って話さなければ分からないのだろうか、それとも……会っても分からないのだろうか。


 「今は王妃より王か」


 彼は王に呼ばれて来た。

 接見時刻まで時間を潰していたがそろそろだろう。

 畑仕事に精を出す王妃達を後にして彼はヴェルサイユ宮殿へ向かった。


 そう、彼がテュルゴーだった。

 




 「お待ちしていましたテュルゴー様〜」


 国王の部屋に入ったテュルゴーを出迎えたのは王女マリーアントワネットだった。


 「お初にお目にかかります、マリーアントワネットでございます」


 「…………」


 この人さっき畑仕事してたよね?

 いつどうやって先回りしたのだ?


 「……お初にお目にかかります。テュルゴーと申します。お見知り置きを」


 気を取り直して挨拶を済ませたが、疑問は尾を引いたままだ。

 

 「おお、待っていたよ。私がルイ十六世だ。ヴェリ師もおいでだよ」


 「ははっ、お会いできて光栄です。よろしくお願い致します」


 こうして四者による会談が始まったのだった。

 




 このように特定の人物を役職に付けるにあたっての相談に、その人物自身を呼ぶとは異例だった。

 これでは密約に近い。

 しかも何故かマリーまで加わってる。


 「私は彼を財務総監に任命するのが最適かと思います」


 ヴェリ師が切り出した。


 「本人も希望しています」


 「はっ、その通り財務総監をと思っております」


 「しかし財務総監は今、テレーが付いている」


 「国王様、テュルゴーが財務総監を願うのは彼自身の使命感からです。私的な欲望でも金でもなくこの国の為を思っての事なのです。彼は邪な野心を以てその地位を利用する事は無いと断言します!」


 「ふむ。とは言えすぐにとは。一旦、海軍大臣に就いてその後どうするか様子を見てはどうだね?」


 「う〜む……」


 内閣改造とはいつの世もどこの国でも悩ましいものである。

 どの役職に誰をはめ込むかパズル化してしまう。


 「テレーがどう言うか……」


 「それではテレー師に聞いてみればいかが?」


 「えっ?」


 マリーの言葉に王が面食らった。

 何を言っているのだ?


 「テレー師なら今ヴェルサイユにおられるはずです」


 「いや、それは……」


 慌てふためく三人。

 せっかく密談っぽくやっているのに。


 「では呼んで来ます〜!」


 言うが早いかマリーはささっと部屋を立ち去っていった。

 あまりの素早さに止める間も無い。

 

 「……」


 取り残された三人は呆気に取られ声も出ない。


 テュルゴーは思った。

 この速さでさっきの先回りをしたのだろうか?





 

 テュルゴーが登場しました。

 早速マリーに圧倒されてます。

 一体誰が就任し誰が退任するのやら。

 マリーがどう絡むでしょうか。

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