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第七十九話 パルマンティエ!







 「その、僕がパルマンティエですが?」


 三十代半ば位の男が現れ、怪訝そうな顔でマリー達を見た。


 「私はマリーアントワネットです!」


 「はぁ……」


 それは呼び出された時、聞いてはいるが一体王妃様が何の用で?


 「実は、お聞きしたい事が」


 「はい?」


 「この私に…………ぜひ……じゃがいもの事を教えて下さい!!」


 パルマンティエの目付きが急変した!


 「何ですと〜!!」


 「じゃがいもです!!」


 「本当ですか!?」


 「本当です!!」


 「おお〜!!」


 「おお〜!!」


 「信じられん! これは夢か?」


 「夢じゃないです!」


 「素晴らしい!!」


 

 (何なんだこのやりとりは……なんかの出会いか?)


 カークは取り止めの無い言葉を交わす二人に頭を抱えた。


 (マリー様もマリー様だがこの男もこの男だ)


 そろそろ割って入るか……


 カークの突っ込みが二人におっ被さった。





 「ジャガイモは最高の食料です、小麦よりもパンよりも! しかも不作になりにくい! 安定して収穫できる素晴らしい作物なのです!おまけに栄養価が高く食べれば健康になります! 飢えを凌ぐのにも絶大な効果があります!! しかもとてつもなく美味しい! 腹持ちもします! こんないい事ずくめ作物をどうして国を上げて作らないか!!」


 怒涛のようにまくし立てるパルマンティエに対しマリーは嬉しそうに頷いている。

 カークとビスケは傍観するのみだった。

 

 「実に素晴らしいご意見ですわ」


 マリーが全肯定してしまった。


 「我が国の王妃様が認めてくださるとはこれほど光栄な事はありません! この国の未来の為にじゃがいもを!」


 「じゃがいもでこの国の未来を作れますか?!」


 「作れます!」


 「感動です!」


 「僕も感激です!」



 「本題に入って下さい〜〜!!」


 カークがまた割って入った。

 今日の相手は特にえげつない。


 「おお、そうですね。実は今、うちの畑に植える野菜を物色しております。今の季節に植えられて秋頃に収穫できる物を。それでじゃがいもを知り、貴方を知り、ご相談にうかがった訳です。実際の所どうなのでしょうか?」


 「ふうむ……」


 彼はやっと落ち着いて考え込む仕草をした。


 「じゃがいもは、春に植え付け夏に収穫するものです。しかし夏に植え付け秋に収穫する事もできますよ」


 「本当ですか?」


 「年二回収穫も可能です。今からなら八月に植え付け十一、二月に収穫できるかも」


 「おお、何という幸運! 後一月で植え付けができるではないですか」


 マリーはいきなりパルマンティエの手を取った。


 「お願いです。小トリアノンにある我が畑にじゃがいもを実らせる為、貴方に力を貸して欲しいです!」


 「勿論でございます!!全身全霊でお力添えします!」


 「ありがとうございます〜!!」



 (なんだか暑苦しくなってきたな……)


 余りにも情熱的な二人にカークは最早止める気も失っていた。




 


 パルマンティエはフランスにじゃがいもを広めるため実に辛抱強く活動を続けた人です。

 その情熱は凄まじく何年何十年もじゃがいもと人生を共にしました。

 今回はマリーが暴れん坊なおかげで史実と比べてずっと早く出会っています。

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