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第七十八話 何を植える?






 マリーは悩んでいた。

 現在は六月末。

 しかし小トリアノンの畑に栽培しようと思った小麦は秋に種を撒く物だったのだ。

 せっかく堆肥は出来上がっているのに待つのが勿体無い。

 麦の代わりに今栽培できて収穫が見込め、栄養が良く、腹持ちがいい野菜はないものか。

 そこで王の菜園監督のジャック・ルイに助言を求めたのだった。

 

 「う〜ん、今植えて収穫が秋までにですか……」


 これは無茶振りだとジャック・ルイは思った。

 秋に小麦を植えるからと言ってこれは……


 「なんとかならないでしょうか?」


 問いながらマリーは王の菜園を見渡した。

 数々の畑に様々な野菜が栽培されている景色が見えている。

 これらの野菜に該当する物があるのだろうか?


 「おまけに飢えを凌ぐ力があると言うと……」


 さすがのジャック・ルイもこれという物は浮かばなかった。


 「ちょっと考えつかないです。王妃様には申し訳ありませんが……」


 「そうですか。ご無理を言ってしまいましたね……」


 残念そうなマリーの様子を見て彼はどうにかしたいという気になった。

 人糞を使い畑を耕すと言う常軌を逸した発想に理論的、実践的に賛同できるのは農場の監督である彼くらいだった。

 それだけになんとかならないか。


 「……農業試験場はここだけではないです。他を当たっては?」


 「えっ本当ですか?」


 「はい。パリにもありますよ」


 「どこです?」


 「病院の試験農場やパリ大学でも研究をしているはずです」


 「分かりました! 今すぐ行きます!」


 「あ、紹介状を書きますからお待ちを」


 「はい!」


 こうしてマリーは部下を引き連れパリへ赴く事になったのだ。

 




 マリーは馬車ではなく馬に乗りパリへ向かった。

 とにかく時間が惜しい。

 市門を馬を駆ったまま通過しようとした。

 驚く係員に笑顔を振りまいて叫んだ。


 「私はマリーアントワネットです!!」


 「ひっ」


 突然の王妃の来訪に狼狽える係員。

 係員の中にマリーの顔を知っている者がいたのでなんとかそのまま素通りできた。

 続くビスケとカークが申し訳無さそうに通過する。


 「失礼、うちの王妃がすみませんね」


 「ご迷惑かけます〜」


 見送る係員は何も言うことができず立ち尽くしていた。

 

 (……あれが糞の王女か……ちょっと可愛かったけど)


 



 まずパリ大学へ向かったマリー達は学長に何人かの学者を集めてもらった。

 しかしマリーの言った条件に見合う野菜を提示できるものはいなかった。


 「やはり駄目ですか」


 「いや……」


 医学部の学者が発言した。


 「二年前に食用に承認した作物がある。あれならもしかしたら」


 「それは?」


 



 マリーはパリ大学からとある病院に移動した。

 院内に駆け込み受付に叫んだ。


 「薬剤師のパルマンティエさんをお呼びください!」


 「えっ?」


 「私は、マリーアントワネットです!!」


 「ええ〜?!」





 時期的に小麦が無理だったのでこちらとしても何を植える? でした。

 肥やしばかり作っている場合では無いのでここらで作付けしてもらわないと。

 

 

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