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第六十一話 終幕のショワズール





 「公爵様、お気を確かに……」


 「お前が言うな〜!! この疫病神!!」




 あ…………


 声に出してしまった……



 終わった…………

 



 


 「国王様、お聞きください」


 ……何だ?


 「夫から公爵様の事を聞いたのです」


 何の話だ?


 「三年前の話です。その頃の夫は父君と母君を公爵に毒殺されたとの疑いを持っていたそうです」


 ああ、そんな事もあったな……


 「その時ショワズール公爵様が夫に直接一対一でお話になったそうです。自分は決して父君を手にかけてはいないと」


 ああ、そうだった。

 毒殺などしていなかったのにルイ・オーギュストはそう思っていた。

 恐れられることはそれだけ権力を欲しいままにしていた証しでもあった。

 しかしやってもいない事で皆から噂され、両親殺しと子が疑っているのを見続けて……

 いい加減腹が立ったんだった。

 それで……

 

 「熱意を込めて訴え続ける公爵様を見て、夫も毒殺の話は真実では無いと理解した、とおっしゃられてました」


 そうだったのか。

 余計な事したな。

 恐れさせた方がこっちには都合が良いはずだったのに。

 道理であれ以来、段々と例の間延びした話し方をしてくる様になったわけだ。


 「国王様にとってどんな御方だったかは知りません。しかし私にとっては決して邪な方ではありませんでした。どうかその事をご考慮を願います!」


 何言っとるんだ、この女。

 誰のせいで……いや、もういいか。


 

 「何とも慈悲深い言葉だ」


 王はマリーに厳かに言った。


 「お前の気持ちは分かるが最早変えることは出来ん。だが出来うる限り丁重な形で彼を送り出すと約束しよう」


 「どうしても駄目なのですか……」


 やるせなくマリーは俯いた。


 「ショワズール公爵よ……」


 「…………ははっ」


 力無く応えるショワズール。

 

 「詳しい事は追って沙汰を出す。ご苦労であった」


 「は…………」


 ふらつく足で歩き出したショワズールを見届けるマリーの表情が悲しみに曇る。

 思わず駆け寄りその背に抱きついた。


 「!?」


 「公爵様…………申し訳ありません。私の至らぬばかりに。貴方を救う事が出来ませんでした!」


 マリーの頬に一筋の涙が溢れる。

 彼女の温もりを背中に感じながらショワズールも感極まった。



 ……………やはり…………やっぱり…………




 お前のせいだろが〜〜〜!!





 こうしてエティエンヌ・フランソワ・ド・ショワズール公爵の時代は終わりを告げた。

 彼なき後、この国の政治は誰によってどの様に治められる事になるのだろうか?

 そしてその政治にマリーアントワネットはどの様に絡むのであろうか?

 彼女が暴れん坊王女から更なる異名を冠する日が次第に近付いていた…………







 やっと王太子妃編終わりました。

 まだ三年半の間があるのではしょります。

 来年(今2023年十二月三十一日現在)は王妃編でお会いします。

 良いお年を。

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