第五十九話 反撃のショワズール
こうなったら小麦の不正投機について触れるしかない。
1767年の不作からなるこの不正を追求すれば。
ショワズールは一呼吸してから話しだした。
「それでは次に小麦の不正密売をしている投機会社についてですが……」
王の顔色が変わった。
来たかと言う感じで。
「三年前の不作の折に行われた小麦の投機について国民は不満を持っておりました。不正な密売を行なっていた投機会社があったのです。私はこの不正を高等法院に裁かせるつもりであります」
王と不正投機会社の繋がりを暴けば王の威厳は失墜する。
高等法院の裁きを受けるかそれともショワズールの軍門に下るか。
これこそ彼の切り札だった。
「まあ、そんな事が……」
またしてもマリーが口を挟んできた。
しかし。
こればかりは王の不始末、と言うより犯罪だ。
何を言っても変えようが無い。
王も何も言えずに硬直している。
「にしても三年前とは。もう少し早く何とかならなかったのでしょうか?」
そんなとこに目を付けてどうすると言うのだ。
使い所を考えて今まで熟成させておいたのだから。
「国王様もお気づきにならなかったのですか?」
「い、いや……」
口籠るしかない国王。
「ショワズール様、その不正行為は間違いないものなのですね?」
「もちろん!」
「証拠もおありで?」
「はい!」
「では高等法院の手をわずらわせるまでもありません」
「え?」
「ここには国王様がおられるじゃないですか。王様に裁いてもらいましょう」
「ええ〜っ!?」
国王が玉座から飛び上がりそうになった。
そんな、それでは自分で自分を裁く事になるではないか!
おろおろする王にマリーはたたみかける。
「三年も経っているのです。もうこれ以上先延ばしするよりここで決めてしまいましょう。国王様にはその権限があるのですから」
何ちゅう強引な言い草だ。
ショワズールも驚いていた。
不正が王がらみだと知らないせいでこんな事を言い出すとは。
それに王が自分に都合の悪い結論出すとは思えない。
そんな事したら本当に高等法院にかけるしかなくなる。
「マ、マリー、無茶を言うな。いくら王と言えども……」
「国王様、国王様は何をしたいのです?」
「何? ……」
「今回の事に限らず、やりたい事、決めたい事があるでしょう?それをやるのも決めるのも国王様の意志です。覚悟を持つ事です。王としてやらねばならぬ時に使命を全うする覚悟が必要だと思います。だから……」
マリーは王の手を握った。
「自分で決める強き意思を!」
手を取られた王から惑いが引いた。
立ち上がりショワズールを見据えた。
「ショワズールよ……」
力強い声が部屋中に響き渡った。
「貴公を本日付けで外務卿及び財務総監の任を解く!!」
「えええええ〜っ?!!」
この物語はマリーアントワネットが主役です。
ショワズールではありません。
でももう少しショワズールしますw




