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第五十八話 迷走のショワズール






「財政難の原因ですが非常に言いにくい事ながら……デュ・バリー夫人による散財も原因となっております」


 王が一瞬眉をひくつかせるのをマリーは見逃さなかった。

 

 「その話は聞いています」


 聞いてるのか!?

 王が休む間もなく眉をひくつかせた。


 「それでその散財と戦争に費やす費用ではどちらが多額なのでしょうか?」


 ショワズールも眉をひくつかせた。

 何と何を比べているんだ?


 「えっそれは……当然戦争の費用ですが、だからと言って……」


 「う〜ん、そうですねえ……」


 マリーも眉をひくつかせて考え込む仕草を見せた。

 

 「……では私は散財はしません。節約して質素に暮らします。贅沢に無頓着でいます」


 「えっ?!」


 二人同時に当惑した。

 何を唐突に言い出すんだ?


 「少しでも財政を軽減させる努力をします」


 「い、いやお前がそうした所で事の解決には……」


 「そうです、それとこれとは話が違いますぞ」


 「違いますか……まあ、元から無駄遣いは性に合わないので倹約はします」


 「はあ、そうですか……」



 …………何の話だっけ?



 ショワズールは頭の中を整理し直す。

 そう、財政の、いや戦争の、対英戦争の話だったのだ!

 話を戻さねば!!

 

 「財政が苦しくとも戦わねばならない時があるのです! 今ここで戦わずしてどうします! 英国との戦いに勝利せねば我が国の未来は……」


 「大英帝国も我が国同様疲弊してますよ、先の戦争で」


 「ぬっ……」


 「ならば私は財政を立て直した方が勝ちになると思います。軍事の勝利ではなく」



 「そ、そんな考え…………何であなたが……あなたが…………できるんですか!?」


 こいつは十五の小娘だぞ!?

 オーストリアから政略結婚で売り渡された道具だったはずなのに?


 「すみません、私のような十五の小娘が、ただ母の言われるままにオーストリアから嫁いできただけの者が、この様な意見を口にするなんて出過ぎた行為ですね」


 (わ〜!! 今思ってた事が全部言葉の中に含まれてる〜!!)


 偶然としか言いようがないが、こんな偶然あったら誰でも絶対怖いだろう。


 (も、もしや、マリア・テレジアは俺を見限るつもりで? こいつを差し向けたんじゃ!?)


 「母にも手紙で何をやっているのかと叱られました。」


 (何だ、テレジアの言われるままではなかったのか。考えてみればテレジアが指図したにしては自由すぎる)


 「まあ、あんまり母の声は気にせずにやってきましたけど。オーストリアの頃から」


 「……」


 これはもしや……

 マリア・テレジアも今の自分と同じ悩みを抱えてきたのか?

 それではテレジアは…………

 

 この俺にあの暴れん坊を押し付けようとしたのか〜?!


 フランスとオーストリアが共闘するためと言っておきながら政略結婚を利用して厄介払いをしたのか?

 もしそうなら何が共闘だ!

 テレジアがこんなで英国に戦争仕掛けられるか?

 

 ショワズール自身が対英戦争を起こす気力を失い出した。

 協力を約束していたオーストリアに不信感を抱いてしまったからだ。

 たった一人の王太子妃のせいで。

 ショワズールは王に戦争をけしかけるのはこれぐらいにしようと判断した。

 そうだ、とにかく今はそれた話を元に戻さなければ。


 「お話を戻しましょうか」


 (お前が言うか〜!!)





 ショワズール縛りでタイトル付けるのもしんどいです。

 もう少しショワズールに付き合ってください。

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