第五十七話 好戦のショワズール
「して、具体的な話だが、どのようなものだ?」
本当にマリーアントワネット込みで談義を行う気か?
こんな条件呑めるか。
マリーはと言うと期待感に満ち満ちた表情でショワズールを見ている。
これを何とかしてくれと言いたい。
しかしどうやって?
「ぜひおっしゃりたい事を好きなだけお願いします。それが私の希望でもあります」
「う……」
「何なら私の意見から言いましょうか?」
(何いいいい〜!?)
ショワズールは狼狽まくった。
聞くだけでなく?
一体何を言うつもりだ?
いや、そんな事に興味を持ってどうする!
聞きたくない、聞きたくない!
マリーの申し出には王も予想外だったらしく数瞬無言になった。
「国王様、よろしいですか?」
「……ん、あ、ああ、よろしい」
「では」
(いや、私はよろしく無い!)
よろしかろうが無かろうがマリーは話出した。
「私は三部会と言う身分制議会に興味があります」
(何〜〜〜?!)
とんでも無い言葉が飛び出した。
「1614年に閉会以来、開かれておりません。聖職者、貴族、平民で三部会。これをまた開会してみるのはどうでしょう?」
これにはショワズールのみならず王も驚いた。
先王がその圧倒的権力で再開を有り得ぬものにした三部会。
そんな物をまた復活させるとは無茶! と言うより……
(そんな物私にも王にも何の得もないではないか!)
そう思っていると。
「マリーよ、それはいくら何でも無理というもの!」
王も慌てて打ち消しにかかった。
怪訝な顔をしてマリーは言った。
「三部会の特徴は民の意見も聞けると言う点にあります。そこに興味が湧きましたのですけど」
「いや、それはそうだが、それでうまくいく訳でもないぞ。実際以前の三部会は揉めに揉めた末、封印されてしまったのじゃからな」
「そうなのですか……」
「そうじゃ!さて……」
マリーとの話を切り上げると王はショワズールを見た。
「次は貴公の番だ。申し上げて見よ」
貴公の番と言われても何だか凄くやりにくい。
こんな空気で話した事あるか?
しかしここで引いたら王の思う壺ではないか。
最早後には引けぬ。
「そ、それでは……」
そう、王に脅しをかけに来たのだ。
それを忘れるな。
「まず、前々より進言しておりました対英戦争の開戦を。スペインと手を組めば恐れるに足らず!すでにスペイン側はやる気になっております。最早止める理由はありますまい!!」
「公爵様、それはオーストリアも参戦する事になるのですか?」
「えっ?」
マリーが口を挟んできた。
「母から何も聞いていませんが知っているのでしょうか?」
(知っていても教えられんだろう、こんなのに)
ショワズールは焦りつつも返答をする事にした。
スルーはできそうにない。
「テレジア様にはまだ言ってはおりません。しかし女王様は事あらば協力は惜しまないでしょう」
「なるほど」
何で王太子妃と喋っているんだ?
王が黙っててどうする。
しかしマリーがまたもや話し出す。
「それで……」
「何ですか、まだ何かお有りですか?」
「戦争に使うお金はどこから?」
「う……」
「我が国は現在、財政破綻寸前と聞いていますが予算をどうやって調達する気なのですか?」
「そ、それは」
「軍資金なき戦争は敗北の影が見えます」
「いやしかし……」
「財政をまず何とかしなければ。公爵様、財政政策はどのようになっております?」
何なんだこの娘は!
こんな事を聞いてくるとは……
物凄く痛い所を突かれた。
王ですら言わなかった、いや言えなかった事を。
こうなればデュ・バリー夫人もいない事だし言っても良いだろう。
「財政難の原因ですが非常に言いにくい事ながら……デュ・バリー夫人による散財も原因となっております」
王が一瞬眉をひくつかせるのをマリーは見逃さなかった。
しばらくタイトルがショワズール繋がりになります。
ここまで出番が多いキャラになるとは……
予定外でしたw




