第五十二話 決着
降り積もる雪の上に人外の体が逆さに突き立っていた。
体が傾きゆっくりと倒れていった。
どさっ……
マリーは倒れた人外に走り寄った。
生きているか、意識があるか確認を取った。
意識を無くしているが、どうやら死んではいない。
「ふう……」
体を脱力させ大きくため息をついたマリーは右足に違和感を感じた。
どうやらいつの間にか骨にひびが入ったらしい。
この程度で済んだだけで良かったのだろう。
「はっ、カークさん!」
やっと他人を気にする心の余裕を持てたマリーはカークに近寄った。
「カークさん!」
マリーはカークの状態を確かめようとした。
と、その時カークの目が微かに開いた。
「マリー…様……」
「カークさん!」
「ご無事で……」
「ええ、あの怪物は倒しました。だからもう大丈夫です」
「なんと……!」
カークは上体を起こした。
倒れた人外の姿を認め、漫然と眺めた。
「情けない……マリー様を守る立場なのに!!」
頭を抱え俯くカーク。
マリーは優しくカークの上体を支える。
「いえ、私は見ていました。娘さんを、ハンナさんでしたっけ。彼女を受け止めるためにカークさんが金槌を捨てたのを。カークさんは私を守るのが仕事と言っていました。それでも貴方は民の命を守るため身を投げ打った。私は常々民の為に行動する事を心がけて来ました。。そんな私にとって貴方の判断は最善です。貴方がどう言おうと」
「……」
マリーは気絶して横たわっているハンナを見つめた。
「貴方が救ったのですよ」
「それでも私は……」
「あっいけない! このままでは冷え切ってしまう、カークさん、あちらの男性を。私はハンナさんを介抱します」
カークが見ると肩を怪我した男に雪が積もり始めている。
「こりゃいかん」
カークは立ち上がると男を介抱し始めた。
あたまが痛い……
体がじんじんする。
どうしたっけ?
そうだ、食い損なって頭から落ちた……
なんで?
目を開くと……いた!
あいつだ、あいつが……
カークは男を背負いながら金槌を拾った。
男は意識を取り戻したが恐慌状態で呆然としている。
ハンナはずっと気絶したままだった。
さて起こすべきか、おんぶすべきか……
音もなく起き上がった。
四つん這いになり。
一気に飛びかかった!
「はっ!」
気配を感じマリーが振り向くと巨大な壁となった人外が降ってきた。
しまった!背中にハンナが……
どっ!
鈍い音がした。
人外の首筋に大金槌が食い込んでいた。
軌道が逸れた人外はマリーの目と鼻の先に墜落した。
どしんっ
人外は体を痙攣させ、沈黙した。
「マリー様!」
マリーが振り向くとカークが金槌を片手持ちして立っていた。
男を背負ったまま。
「ご無事ですか?」
マリーは頷いた。
「貴方に守ってもらいました。感謝この上ありません!」
やっと決着しました。
長かった〜。
夜のパリ編、後少し続きます。




