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第四十三話 事態急変





 マリーは意を決すると窓から身を乗り出した。





 異常な音はカークの耳にも入っていた。

 続いて馬の悲鳴が聞こえる。

 

 「なんだ?」


 窓に近づき外を見る。

 街灯が消えていた。

 正面の道の向こう側に横たわった馬車が見えた。

 この部屋は一階だった。

 影が馬車に近づいて行く。

 明らかに自分より大きかった。


 「どうした?」


 バジーが寄ってきた。


 「見ろ」


 「ん? 何……何だありゃ?で、でっかい!!」


 「私は外へ行ってくる。あとは頼む」


 「た、頼むって……」


 「マリー様をだ」


 カークは外套を羽織るとドアに向かった。




 影は馬車を出るともう一つの影を引きずり出した。

 女性の影だ。

 肩に担ぐと馬車に背を向けた。

 

 「ううあああ〜おう〜」


 不気味な唸り声が発された。





 ビスケは外の出来事に気付かぬまま部屋に戻ってきた。

 ドアを開けた先に見えたのは、もぬけの空の部屋に開け放たれた窓から風が吹き抜ける光景だった。

 

 「わ〜!!」


 下の階からバジーの素っ頓狂な叫びが聞こえた。

 慌ててビスケは下の階へと向かうのだった。





 カークが飛び出た直後バジーはマリーの元へ行こうとした、その瞬間。


 窓越しに背中を向けたマリーが降ってきた!


 「わ〜!!」


 バジーの眼前で雪面に両足を、更に両手をついて着地するマリー。

 即座に立ち上がると走り出した。


 「マ、マリー様! どうする、どうする?」


 とにかく外へ!

 出た途端ビスケと鉢合わせした。


 「あ、バジーさんどうしたの?!」


 「マリー様が!と、とにかくついて来い!!」


 二人は部屋を出た。





 「あ〜このまま何も起きません様に、無事に一晩過ぎます様に!マリー様の身に何も起きません様に」


 部屋にこもり外の様子にも気付かずにフィリップはただひたすらに神に祈るのだった。

 




 外に出たカークは馬車に走るマリーの姿を見た。


 「マリー様!」


 慌ただしく後をを追いかける。




 女性を肩に背負った影が突然ものすごい勢いで走り出した。

 人一人担いでいるとはとても思えない速さで。

 一方マリーは馬車の前で倒れている馬車の操者を助け起こした。


 『大丈夫ですか!?」


 「お、俺よりお嬢様を」


 「お嬢様?」


 「ハンナ様が、あの化け物にさらわれた」


 「化け物……」


 「早く!お願いだ……」


 「マリー様!」


 カークが馬車までたどり着いた。


 「カークさん、誘拐です!何とかせねば」


 「誘拐!さっきの奴か……」


 「追いかけます!」


 「いや、マリー様!」


 「この人と馬車はビスケさん達に任せます」


 マリーがそう言った時にビスケとバジーが走ってきた。


 「マリー様〜」


 「では行きます!」


 マリーは走り出した。


 「あ、待て〜い!!」


 カークが手を伸ばすがもう止められない。


 「え〜い、また!」


 「おいカーク、女担いでどでかいのが走ってったぞ! 何だあれは……」


 「この人を頼む!詳しい 事情はこの人から聞いてくれ!」


 言い捨てるとカークもマリーに続き走り出した。


 取り残された二人は走り行く二人を茫然と見送る。


 「……何なの?」


 




 何だか以前の話と馬と娘が変わっただけになってます。

 なんか後ろめたい。

 それでも良ければ読んで下せぇ〜。

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