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第四百二十話 王妃の回答







 ( ヒ バ リ コ かあ〜〜!!)


 憤りのあまり足を踏み出そうテレジアを左右の護衛が必死に押し留めていた。


 

 「で、どんな作品をでっちあげるかですが、やっぱり私が手本を作るしかないですか……」


 腕を組むマリーにノワールが聞いた。


 「何かあるんですか?」


 「う〜ん、こんなのは」


 マリーはチラシの裏に絵を書き出した。

 覗き見るノワールだが絵が出来上がってくるにつれ顔が引きつり出した。

 

 「これは……」


 「できました。まあこんなもんで」


 マリーは描いた絵を観衆に見せた。


 おお〜!?


 観衆の反応に動揺が交じっている。


 (な、何ですか?あれは)


 テレジアは描かれた絵を見ようとしたが、さっきと違って掲げて見せたのではないので観衆にさえぎられて見えない。


 観衆達は言葉もなく絵に見入ってる。

 ノワールはたどたどしい声でマリーに聞いた。


 「これは……風呂で…………これは……王妃様で…………?」


 描かれた絵は真横から見た風呂。

 そこに頭を出した女性。

 手も出しており四角い物が乗っている、というものだった。


 「はい。私が風呂に入ってる絵を描きました」


 ( な ん だ と う〜〜!?)


 テレジアが前進を開始した。

 両脇の護衛を引きずりながら。慌てて更に二人の護衛が背後からテレジアを止めに入った。

 やっとの事で前進は止まった。


 「離さんかぁ〜〜!」


 「お静まりを!」


 マリーが絵の説明を続けた。


 「安心して下さい。入ってますよ、頭と手以外は。風呂に入ってる部分は見えてないです」


 「はあ、そうですね……」


 「で、これですが下の方に書いてある見出しをご覧あれ」


 「……汚れたものは綺麗にする、ですか」


 「そう。あっちは王妃が王室を汚してしまう、だったので。汚れるのは仕方ないのです。後で綺麗にすれば問題ありません。そこで手をご覧下さい」


 「四角い物が乗っていますが」


 「はい。これはマルセイユ石鹸です。知っての通り下水道を掃除する作業員の皆さんも使っており、その洗浄力は折り紙付きです。だから汚れたものは綺麗にする、の見出しが生きる。そうだ、この石鹸の広告仕様にすればいいのでは」


 「こ、広告…………」


 もう何と言っていいか分からない。

 何をしたいのかも分からなくなってきた。


 「汚れたものは綺麗にする。その下にマルセイユ石鹸は下水道作業員の洗浄に貢献しております、と。更に下に石鹸の企業名を、と。ええとムーラン石鹸工場でしたっけ? 工場主に話を持ち込みますか」


 「あの……本当に載せる気ですか?」


 「そこまですれば笑いになるでしょう。それとこれは本来は私でなく皆さんが勝手にやるべきものですね。私はやり方を示しただけです。皆さんも考えて下さい!」


 おお〜…………


 微妙な歓声。


 「ノワールさん、いい素材をありがとうございました」


 (お礼言われちゃった、もうどうにでもなれ!)


 開き直ったノワールはマリーに向かって確約する事にした。


 「できる限りご意向に沿った紙面作りを致します!」


 「おお、ありがとうございます!」


 

 「な〜にを言っておるんですか〜〜…………!」


 





 風刺画もマリーには効かない。

 効いているのはテレジアの方。

 本当に女王様怒りっぱなしで逆に気の毒?

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