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第四百十九話 相変わらず気にしない



 





 (何ですか〜?! あれは!!)


 怒りのパワーが女王の体内に蓄積されてゆく。

 一方マリーは……


 「…………はて、私はこんなにちっちゃくてずんぐりしてたでしょうか? 背が丸まって……私は常に背筋をぴんと伸ばすようにしていますが」


 ノワールも観衆も王妃の言葉に違和感を感じた。

 そこでノワールが……


 「…………あの、泥だらけに描かれてるのですが」


 「ああ、それはいいです」


 (え〜! いいの〜?!)


 「誇張は避けられないでしょう。問題は作者の意図ですね。風刺画ですが私を非難する、で妥当でしょう。後はですね、私は国王様とパリの浄化にまつわる話をした時に、国王様が頭を抱えたのを見た事ないのですが」

 

 マリーが王に振り返った。


 「国王様、そうですよね」


 王の背筋が一瞬伸び上がった。

 まさかこっちに振られるとは。

 これは答えるしかないか……


 「あ〜、……そんな覚えはない」


 おお〜〜〜!!


 一際大きい歓声。

 マリーは少し頬を染めて夫を見つめた。


 「あなた、ありがとうございます。感謝この上ありません!」


 「ああ」


 確か頭の中ではあったかなと思いつつ、王は食事に戻った。


 マリーは絵を見つめつつ首をひねる。


 「で、この風刺画をお題にして面白い絵を作るという形式にしたいですね。この絵とそれをネタにした絵を並べて掲載するという形で。面白いネタはないでしょうか……」


 思案顔のマリーを見てノワールは複雑な表情を作っていた。


 「あの、王妃様、本当にこれでいいのですか? わざわざ王妃様をこき下ろす絵を載せるとは。それをお題にするとか言っても。こんな絵を見てなぜお怒りにならないのです?」


 ノワールの疑問にマリーは微笑んで答えた。


 「こういう事は気にしない方がいいのです」


 「しかし……」


 「気にして怒れば怒るほど相手の思う壺。ならば広い心を持ち、笑い飛ばせばいい。そうすれば相手は思い通りにならない私を持て余すでしょう。反撃するなら相手の誹謗中傷を題材に笑いを生み出せばいい。それが一番いいのです」


 「……そんなものでしょうか?」


 「これは私の師が教えてくれた事です。誰がどう言おうと自分のした事に自信があるなら胸を張りなさい。誹謗中傷されても気にならない広い心を持てばいい。誹謗中傷など笑い飛ばして笑いのネタにでもすればいい。そう教えられました」



 ( ヒ バ リ コ かあ〜〜!!)


 憤りのあまり足を踏み出そうテレジアを左右の護衛が必死に押し留めていた。


 

 




 マリーの誹謗文や風刺画に対する考え方。

 今の時代ならともかくこの時代のフランスでは理解が追い付くかどうか。

 もちろんテレジアには理解不能で怒り心頭ですねw

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