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第四百十八話 誹謗文はネタに



 




 「この私への批判の文面をあなたの紙面に載せ、市民の皆にこの文面をいじって冗談の文を作って下さいと募集します。それを次の紙面に載せますと。例題として私の言ったものとか、あなた方も作ってみて下さい。あなたの会社の前に投稿用の郵便受けみたいな箱を作れば良いでしょう。うちの目安箱みたいな物ですね」


 「そんな物を作るのですか?」


 「はい。投稿が増えれば元の文面はジョークのネタとなりはて批判文の意味を失います。批判文を出せば出すほど笑いのネタとして消費されるのです」


 「な、なるほど……」


 そんな上手くいくものだろうかと思いつつ、王妃の言ってる事は理解した。


 「目安箱を作ればジョークのネタだけでなく市民の声の投稿も受けられます」


 「えっ?」


 「あなたの会社の前にそんな物があれば市民の声も聞けるという事です。お分かりになりましたか?」


 「……そうか、そんな事に使えるのか!」


 「第二の目安箱ができますね」


 「目安箱。宮殿前のですか?」


 「はい。とにかく今はここにいる人にもジョークのアイディアを出してもらうと良いかと。後はあなたの会社の住所を教えておけば投稿ができましょう。もちろんこんなことを行えば反対派から誹謗の投稿も来るでしょう。それも覚悟の上なら私の提案を実行に移して下さい」


 マリーの話を聞き入っていた男は少しうつむいた。


 「僕は……印刷所を経営しておりました。ある日思いつきで国王の食卓を見学に行き、王妃様の民との会話が行われているのを見て、この話をそのまま紙面にして売れば商売になると思って情報出版社を立ち上げたのです。それからは何度もここに言わば取材に来ました。それを自身の儲けの為に無断で紙面に載せ続けました。そしてそれなりに稼いで今日に至ります。こんな僕に知恵を付けて頂けるとは……」


 「では私の提案を受けてもらえるのですね?」


 「えっ、あ、はい、喜んで!」


 ここでマリーはにっこり笑って見せた。


 「なら、何の問題もないですね。あなたがうつむく必要もないですよ」


 「あ、ありがとうございます!」


 「頑張って下さい。ところでもう一枚紙面を持っておられる様ですが、それは何でしょうか?」


 「あ、これは!」

 

 男は意味ありげに狼狽えてしまった。


 「おやどうしました? ええと、ノワールさんでしたっけ。確か頻繁に来ているから一度お名前聞いてましたよね?」


 「は、はいノワールです。これはちょっと見せるのは……」


 「いえ大丈夫。ちょっとやそっとでは気にしません」


 「……知りませんよ」


 そう言ってノワールは紙面をマリーに手渡した。

 渡された紙面を観衆にも見える様に掲げて見るマリー。


 「これは……」


 おお〜!?


 下水道の前で泥だらけになって踊っている王妃らしき女性と背後で鼻をつまむ市民達。そして王妃の近くで頭をかかえる国王の姿。

 下方に見出しがあった。


  『王妃が王室を汚してしまう』


 それはテレジアの目にも届いた。


 (何ですか〜!! あれは!!)


 





 今度は風刺画。

 こういう画は前からあったのですが遂に母の眼前に。

 マリーはこれまで通り気にしないで済ませられるのでしょか。

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