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第四百三話 女王、パリに







 市門をノーチェックで通り抜け、テレジアはパリに到着した。

 馬車の窓から街の様子をうかがいつつ女王は呟く。


 「一日早く着きましたが報告の方は?」


 傍の従者が返答する。


 「はっ、パリの宿には既に早着を伝えてありますので問題ないかと。国王様の方は宿からヴェルサイユへ伝令を向かわせましたので程なく伝わるかと……」


 「うむ」


 頷きながらパリの日の傾きかけたパリの景色を見つめるテレジア。


 「あの子がヴェルサイユにいる。早く会わねば!」


 女王の目は今見えている景色の向こうを見ていた。



 

 

 下水道に降り立ったマリーは水が膝下までしかないのを確認した。


 (ふむ、これも水が順調に流れているからですか)


 前を見ると数メートル先に光が見える。

 

 (家の外に繋がってますね……)


 ちょっとわくわくしてきた。

 秘密の通路の出口を発見したみたいな感覚。

 マリーは背後でぼちゃんっ、ぼちゃんっ、と二連続で音がするのも気にせず光に向かって前進を開始した。





 テレジアの馬車は予定通り宿への道を行く。

 三台連なった豪華な馬車は人目を引くには十分だった。

 しかし馬車の中で外を眺めるテレジアにとって彼らは興味の対象外だった。

 お忍びなのだから顔を出したり手を振ったりする必要も無い。

 彼女にとってパリ市民は景色の一部に過ぎなかった。

 漫然と見ている外の様子…………T字路に差し掛かった時。


 「?」


 突然建物沿いの道からひょこっと人の頭が生えてきた。


 「何?」


 更に上半身がせり上がってきた。


 「何なの?!」


 更にその上半身はひょいっと飛び上がると地面に着地した。

 下水路の溝から出てきたのだった…………彼女は。

 馬車が近付くにつれその姿がはっきり見えてくる。


 「…………あれは?? …………あれは?! …………あれは!!」

 

 テレジアの表情が急展開した!


 「あ れ は 〜〜!!」


 どおん!!


 突然の轟音に馬車の御者が馬を止めた。


 「テレジア様! どうなされました?!」


 隣に座る従者が驚きながら問いかけた。

 テレジアがドアに体当たりしたのだ。

 衝撃で鍵が壊れたドアを蹴破りテレジアは馬車を飛び降りた。

 従者が狼狽えまくって叫んだ。


 「テ、テレジア様ぁぁ〜〜!」


 ずんっ!


 地に降り立つと獲物を狙う獣の様な形相で睨み据えた…………彼女を!

 彼女は馬車からテレジアへと視線を移す所だった。


 …………二人の視線がぴたりと一直線につながった。


 テレジアは地の底から響き渡るかのごとき声を絞り出した。


 「アントニア…………マ〜リ〜アァァァ〜〜!!」







 ついに。

 とうとう。

 テレジアとマリーが遭遇しました。

 で、どうなるの…………?

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