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第四百二話 一応出来上がり






 廊下に布巾を広げると両手を乗せて出走姿勢を取るマリー。

 

 「では……用意…………いきまーす!」


 掛け声と共に出走するマリー。


 しゅたたたたっ


 勢い良く走り廊下を拭いていく。

 通路の奥まであっという間に到達した。

 立ち上がって息を漏らす。


 「ふう〜、いいですね。良い鍛錬になります」


 「床掃除ってああいう風にやるもんでしたっけ……」


 観衆と化してしまった護衛の中でビスケがカークに問いかけた。

 

 「いや、分からぬが……」


 カークの表情が重苦しく変化した。


 「マリー様がやっている以上、護衛の我らが見ているだけとは行かんだろう」


 「はい…………」


 護衛全員がマリーに習って床拭きを行うのだった。


 「ああ〜、これ意外としんどい」


 「腰にくるな……」


 こうしてマリー達は床や壁の掃除をやり遂げたのだった。




 しゅっしゅっ


 「こんなもので良いでしょうか……」


 マリーは床と壁に芳香剤を吹きつけていた。


 「薔薇の花の香りです。じゃがいもの花では作れませんでしたね。匂いが無くて……」


 モルパはむっとして見ていた。

 いくら薔薇の香りを撒き散らしても下水からの臭いは消せない。

 

 「そろそろできましたか?」


 マリーの問いに大工達が答えた。


 「できましたぜ!」

 

 「おお、そうですか! ご苦労様です」


 大工達が取り出した分厚い木製の板。

 大き過ぎて大工の体が隠れそうだった。

 全部で三枚。

 

 「丈夫そうですね。これなら人が乗ってもびくともしないでしょう。下水道の蓋の上にこの木製の床を乗せます。こうすれば業者が下水道のメンテナンスをする際に容易に蓋を開けます」


 「家の中で…………下水道のメンテナンスをしろと!?」


 「はい」


 「できる訳ないでしょ〜!!」


 「いえ、水はけが良くなれば腐臭も無くなりましょう。家内で下水路にゴミを捨てなければ何の問題も無くなります。下水道の上に家が立っている以上、これしか下水の清浄化は不可能でしょう。それが駄目なら建物をどけるしかないですね」


 「そ、そんな事が…………」


 「ならご了承下さい」


 モルパにとっては承服できかねる。

 なにしろ相手はマリーアントワネットなのだから。

 今までどれだけ煮湯を飲まされてきた事か。

 とは言えこの件については国王から頼まれている…………

 迷うモルパにマリーは追撃の言葉を投げかけた。


 「大丈夫です。使い方をしっかりしておけば下水路は清浄化し臭いも無くせます。今もゴミがなくなった事でかなり綺麗になっています」


 「そう言われても…………」


 モルパが渋るとマリーは下水路に続く穴を見た。


 「ならば…………私がこの身で示しましょう。大丈夫だと。では」


 その瞬間マリーの体が宙を舞い、下水道への穴に吸い込まれていった。


 ぼちゃんっ!


 「ああ〜!?何するんですか〜!!」


 カークが慌てて追いかけた。


 ぼちゃんっ!


 「ああ……それじゃ私も」


 ビスケも続いた。


 ぼちゃんっ!


 「…………」


 モルパは唖然としてその有り様を見送っていた……



 しばらくして冷静さを取り戻したモルパは周りにいる大工達に話しかけた。


 「おい……このまま…………蓋をできないか?」






 

 下水路の上に立ってる家屋。

 モルパの犠牲で一つの方法を試行できました。

 しかしマリーはどこへ行く?

 下水路に降りただけで済むのかしら……

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