第四百一話 工事と掃除
「王妃様、ここからゴミを運び出します!」
「なんだと〜!?」
「頼みます」
混乱し切ったモルパの眼前でゴミを持ち出した作業員が台所に這い上がり部屋を通って行った。
呆気に取られるモルパをよそに次の一人が、そしてまた次の一人がゴミを持ち出して行く。
「下水路を行き来するよりはかどりますね。やはり蓋は開かねば」
(何を言っておるんだこいつは〜!! 部屋の中をゴミ運ぶ通り道にしおってからに〜!)
床に泥の足跡が付いている。
いかに王妃と言えどこれは我慢をしきれない。
モルパは意を決して口を開いた。
「王妃様、一体どういう事です?! これでは余計に家が汚れて臭くなりますぞ!!」
「大丈夫です」
「どこがですか〜!」
「この家の下のゴミは全部取り除きます。ただその為には床下から取り出す必要があります。今は臭いますが長い目で見れば清潔になります」
「だからどこが〜!」
「今後ゴミがたまらない様にする必要があります。それにはやらねばならない事があります」
「やらねばならない事〜?」
「はい。ゴミを除去し切ったら作業をします」
「??」
言ってる意味がわからないモルパだが作業はずんずん進み、作業員らが循環して床下の穴から出てはゴミを外へ運ぶを繰り返していった。
「…………」
モルパはその有り様をただただ惚ける様に見ているだけだった。
しばらくの後、作業員の循環が途切れた。
「王妃様、ゴミを取り除き終わりました」
「おお、そうですか。水の流れは?」
「家の外の下水路とつながり、水がしっかり流れる様になりました」
「素晴らしい! では次は床の改装ですね」
「何?! 改装だと〜!」
叫ぶモルパにマリーは笑顔で答えた。
「はい。家を保持しつつ下水路を掃除しやすくする為に改装が必要となります。大工さん、お願いします!」
「へい!」
「お、おい待て!」
どかっどかっ
モルパの声は届かず大工は壊した床の穴を更に広げていった。
「あああ、何という事を!」
「下水路に合わせて新たな蓋を作るのです。容易くメンテナンスできるように。そうすれば下水路が詰まる事もなくなりますので。その為にもご協力願いますね」
「もうやってるではないか〜!!」
モルパの突っ込みを意に解さずマリーは懐から石鹸を取り出した。
「それでは大工さん達の作業が終わるまでに床掃除をしましょう」
「な、何?」
「泥を外に運んだので床や壁が汚れました。なので私が責任持って掃除します!ビスケさん?」
「は、はい!」
いつの間にかビスケはバケツと布巾を持っていた。
バケツを置き布巾を差し出しながら問いかけた。
「あの、本当にマリー様がお掃除を?」
「当然! 今回の事は…………私が首謀者ですから!!」
(首謀者って自覚があるのか〜!!)
モルパは心の中で思いっきり突っ込むのだった。
最早工事になった床下点検。
汚れたら自ら掃除する。
しかし母テレジアがパリに近付いてるのにこんな事やってていいのでしょうか?




