第四百話 床の上と下
モルパの家に入り込んで来たのはマリーと護衛四人、それに加えて大工道具を持った男が三人という大所帯だった。
「モルパ様ご協力ありがとうございます。この様な邸宅の下水の現状が確かめられます。対策も考えていた物を実地で試せます。感謝この上ありません!」
(実地で試すだとお〜?!)
マリーの言葉に大いに驚くモルパ。
そこまでやると聞いていない。
どんどんっ
床下から叩く音が聞こえる。
「王妃様〜、ここです」
真下から作業員の声が聞こえた。
マリーは台所の床片膝をつき、下に向かって返事をした。
「どうですか〜状態は〜?」
「先が何も見えませ〜ん。ゴミもつっかえてます〜」
「分かりました〜、ご苦労様です〜!」
マリーは床を見つめながら呟いた。
「市が下水路に蓋をして宅地を分譲したのでこの様に下水路が清掃できなくなったのです。以前は貯水槽とポンプが使用可能だったと聞いてます。それができなくなったのでゴミが溜まる。蓋をした下水道も多少の隙間、あるいは蓋を開く余地があったりします。この家の庭辺りの下水道にもありますね。多くの家がゴミをそこから捨てるのです。下水が流してくれるだろうとでも思っていたのでしょうか。そんな軽い気持ちで捨てられては下水路が滞るのも無理無いです」
モルパはふくれっ面になった。
国の指導で禁止されていたとは言えゴミを下水に捨てる行為は実質野放し状態だ。
そもそも一軒一軒取り締れるものでは無かったのだからとやかく言われる筋合いは無い。
「まあ元々下水路の上に宅地を分譲する事に無理があったのですけどね……だから何とかしなければ!」
マリーは立ち上がった。
「では何とかしましょう! 下水道の掃除をしやすくする為改装計画を実施します。ええと、ここは蓋の上に床が張ってありますね。では大工の皆さん、お願いします」
「ははっ!」
マリーの呼び掛けに大工三人が大理石の床目掛けて金槌を振り下ろし始めた。
「わっ!!」
いきなりの事に仰天するモルパ。
どかっどかっ!
床が躊躇なくぶっ壊されていく。
「何をするんじゃ〜!?」
叫ぶモルパにマリーが穏やかに答えた。
「床を剥ぎ取り下水路の蓋を剥き出しにします。ゴミの除去を円滑に行う為に」
「そ、そんな事を……」
「国王様のご依頼を了承頂きありがとうございます」
(え〜!! 、あれってこういう事〜?!)
床は完全に剥がされ下から木製の蓋が剥き出しになった。
「あら、木製ですか。こっちは手軽にできますね」
下から蓋が押し上げられ作業員が腐臭と共に現れた。
「うわっ」
顔を顰めるモルパとユルリック。
「王妃様、ここからゴミを運び出します!」
「なんだと〜!?」
モルパの屋敷での調査? 作業。
最早工事と呼べるレベルとなってます。
果たしてモルパの家はより住みやすくなるのでしょうか?




