第三百九十八話 床下対策へ
「もうそろそろ掘り返しが終わりますね…………建物の下の分以外は」
マリーは最後の差し入れ先の仮設テントで手を洗っていた。
桶に沈めた石鹸を撫でながら汚れを落としている。
「下水路に蓋をした上に建てた家屋。潰さずに下水路に水を通せる術があるなら……」
「だから家屋によって違うでしょう。できるとことできないとこが」
バジーの言葉にマリーは頷いた。
「できるできないの基準が欲しいですね」
「その基準って……マリー様が調べるんですか?」
「はい。やってみます」
人任せにするつもりは無い様だ。
「掘り返しが終わる前にマニュアルを作れないものでしょうか?」
カークが不機嫌そうに問うた。
「然るべき人に任せられませんか?」
「私がやりたいのでやります」
布で手を拭きつつにっこり笑う。
ふう〜っ……
ため息が複数重なった。
カークのみならず他の護衛達も同じ気だるさを共有していたのだ。
マリア・テレジアの渡仏の日取りが本決まりになった。
ヨーゼフ二世が使ったルートをそのまま利用し、九月一日出発。
旅のスケジュールも同じで十八日にパリ到着。
身分を隠してお忍びでというとこも同じ。
「うむむむ〜っ」
テレジアは便箋を前にして唸り続けていた。
もう一時間も机にかじり付いている。
「え〜い、もう…………」
眉間に皺が寄る。
「最適最良な世を忍ぶ仮の名前が思い浮かばない〜!!」
九月初旬。
母がオーストリアを出発したとの報を聞いたマリーは仕事を一段洛させるべく精力的に動いていた。
蓋のしてない下水路の掘り起こしは初旬中にほぼできた。
次は民家の下を通る下水路を掘り返しながら調査を始める事必要がある。
家ごと壊す必要があるか、別に方法があるか。
家の大小、種類によっても違いがあるだろう。
できるだけ立ち退く人間を出さぬ様工夫を凝らすつもりでいた。
そして九月半ばとなり…………
九月十七日、朝。
ヴェルサイユ宮殿、国王の執務室にて。
「国王様。例の家屋の下の下水道の調査をするのでパリへ行きます。ですので昼食は申し訳ありませんがご一緒できません。悪しからず」
「う〜む、こんな日に行くのか。明日は君のお母上がパリに到着する予定だぞ」
「はい、なので今日中にやってしまいたいのです」
「働き者だな」
「いえ、物好きです」
明るく微笑む妻に夫も苦笑した。
「そうか。あまり遅くならないようにな」
「はい!」
旅を続けるテレジアの一行は順調にパリに向かっていた。
そう、順調過ぎるくらいに…………
マリーが床下に向かいテレジアはフランスに向かう。
一体どうなるかってとこですが…………
まだ体が痛い。
更新に支障が……
なんとかかんとかしたいけど、もし休んだらごめんね。




